お部屋の整理整頓です
お部屋の整理をおこないます。タイトル回収までお待たせしますが今しばらくお待ちください。
「リリ、取り敢えず必要な家具を配置して、荷物を取り出して整理しましょう」
「はい、お嬢様。では、位置的にベッドはこちら、衣装タンスはこちら、机はこちらで、真ん中にテーブルセットをお願いします」
「こんな感じでいいかしら?」
「はい、大丈夫です。それにしても相変わらず、思った場所に重い物を綺麗に置けるのは凄いですね。動かす必要がありませんもの。普通だったら人手を頼まないと出来ませんから、凄いです」
「褒めてくれてありがとう。まぁ私も最初は思った通りにならず、かなり練習したもの。特訓の成果ね」
「では、すいませんが侍女用の部屋に私の荷物も宜しいですか?」
「指示をお願いね。リリの部屋だもの、使いやすいよう好きな場所を教えて」
「ベッドはこちら、衣装タンスはこちら、机はこちらでお願いします」
「これでいいわね。後は食器棚はどうしましょう。お茶なんかはお部屋でも飲めるので私の部屋に出してもいいのだけど、棚の中には食事に使うものまで入ってますから、後でエミリア様との食事の際、説明と一緒にお聞きしましょう」
「そうですね、それが良いと思います」
「いざとなれば、内緒で一部屋拡張してキッチンも作れば、二人この部屋で生活が全て済んでしまうのだけれど」
「お嬢様の魔法ですか。収納の魔法にしても空間を拡張する魔法にしても、私はもう見慣れましたので驚きませんが、それをすると他の誰もお招きできない部屋になってしまいますね」
「そうなのよね~。父上からも辺境伯のおじさまからも、絶対に他人に周知しない様、それはもう、厳重に言い遣ってますからね~」
「お嬢様が使う以外、見た事も聞いた事もない魔法だらけだと、高位貴族である辺境伯様が仰ってましたから。そうなのだと思います」
「自分たちが便利に生活するのに使う分は良いのだけれど、周知されれば他人に強要されるようになる、と真剣に教えて頂いたのですものね。それは守ろうと思います」
「本当ですよ。お嬢様は油断すればポンポン無自覚に使おうとなさいますから。ここはもう実家のある田舎ではない事を、常に心に留めておいてくださいね」
「はいはい、判りました。それはそうと農具なんかは何処に置きましょう。裏には花壇があったみたいですが、勝手に色んな物を育ててもいいのかしら?」
「それもエミリア様に確認してからがいいと思いますよ。野生児が誤解でなく本物だと認識されたら大変ですから」
「それでも悩むところなのよね~、今から必要になる薬草や植物は前もって育てておきたいのだけど、説明のしようがないのよね~」
「それはお嬢様以外判らない事なので仕方ないのかと。実際必要になった後になって、やっと皆このためだったと気付くのです」
「その事を起こる前に伝えたら変人扱いですから。言わない方が良いとは判ってます、が判っていながら病気で苦しむ人が大量に出るのを良しとは思えませんから、なんとか事前に揃えたいわね」
そんな事を話していたらノックの音が。扉の向こうからエミリア様のお呼びになった声が掛けられたので、
「リリ、お話はまた後で。取り敢えず向かいましょう」
「はい、お嬢様」
リリが扉を開き部屋から出ると、エミリア様がお待ちになっていらっしゃいました。
「お待たせして申し訳ございません」
「今、お声をお掛けしたばかりです。全然お待ちしてはおりませんけど、逆に急がせてしまいましたか?」
「いえ、着いたばかりですので、それ程急いでこなすほどの用事もまだありませんので、大丈夫です」
「では、食堂に向かいましょう」
そのお声がけの後、先を歩くエミリア様について行くと、さして時間も掛からず食堂に着く。結構広いそのスペースには長い大きなテーブルがいくつも並んでいたのですが、誰もいませんでした。端の方に準備された料理が並べられていて、今にも夕食が始まりそうです。でも、取り敢えず先に一言。
「エミリア様、申し訳ありません。失礼を承知で申し上げます。侍女であるリリシアを同じテーブルに着かせても宜しいでしょうか?」
「ええ、構いません。むしろ今からこちらからお話しようと思っていた所でした。実を申しますと、現在この寮には私達三人しかおりません。もう一方、入寮を今年申し込まれてますが、学園の二年生ですので、不自由なく通われてますので先に理由をお聞きしようかと、保留にしております」
「そうなのですね」
その後は、食事をしながらの会話が進んで行きます。
「で、この状況なのですが、学園の創設者が初代国王様なのですが、理念としては国中の子供達を貴賤を問わず学ばせたいと建てられたのですが、地方の子供達は立派な働き手でもあるので、理想としては判るのですが、現実問題としては叶ってはおりません。なので先ず、働き手以外の子供となると貴族と豪商の子供位ですのでそちらで運営を試すという事で、無駄にならないよう学園を続けてこられたのですが、国自体がまだまだ貧しいままなので、庶民まで学ぶ、という処まではいっておりません」
「それで」
「はい。王都に屋敷のある貴族、豪商位しか学園に入学出来ておりませんので寮はこの状態です」
「なら、仰っていらした決まり事というのは?」
「先ず、使われていない二階以上に勝手に上がって使用しない事。食事は学園内に採用されている料理人が人数分、朝の分を夕方に、夕方の分をお昼に作り置きし、こちらの厨房に来られて温め直したものを出して頂くことを了承して欲しい事。この件に関しては先程お話したように三人のみなので、侍女のリリシア様ですか、その方の食事を別の時間にとって頂く事の方が大変ですので、一緒にして頂いた方が助かります。それと個人個人の部屋に必要な物は従者の分を含め個人で購入して頂く事。その他の事は要相談という事なのですが宜しいでしょうか?」
「はい、構いません。丁寧な説明を頂きありがとうございます」
「あの・・・」
「はい、何でしょうエミリア様」
「ご実家や辺境伯様から、何かお伺いですか?」
「いえ、特別何も言われておりません」
「備え付けの家具とかが有るなど言われませんでした?」
「いえ、そのようなことはお聞きしておりません、何か問題でも?」
「いえ、お二方とも、小さな手提げかばん一つしかお持ちでなかったので。今日おやすみになる寝具なんかは、もしや備え付けてあると伺っていたのかと。普通であれば令嬢が入寮される前に、道具類は運び込まれるのが常と寮館長をお受けする際聞いておりましたので」
「それでしたら御心配には及びません。既に設置されておりますので。それよりも私達の分の食器などは、どうすれば良いのでしょう。料理人様が人数分用意されるのでしょうか?実家から持ってきている分が御座いますので、個人分置く場所が有るのであれば、二人分置かせていただきますが。それと裏庭にある花壇なのですが、使用には許可など必要でしょうか?」
「え~と、ちょっとお待ちくださいフェリ様。私、揶揄われたりするのがあまり好きではありません。なので家具などはちゃんと相談していただければと。食器に関しては大丈夫です、こちらで料理に合わせ用意します。それと裏庭にある花壇でしたら好きにお使いください。好きなお花などお有りなのですか?」
「え~と、花壇の件は了承を頂きありがとう御座います。で、家具の件ですが本当に大丈夫ですよ。ご心配かけて申し訳ありません」
「フェリ様のご実家は噂では金銭的な余裕はないと伺っておりましたので、差し出がましいようですが本当に大丈夫なのでしょうか?」
「え~と、見にいらっしゃいます?大変心配して頂いてるみたいですので。エミリア様の懸念を晴らす為にも」
「ええ、是非」
という、食堂での食事を済ませた会話の後、また三人で来た廊下を戻り、扉を開けて中に招待したところ、無言で自室に戻られました。エミリア様だいじょうぶかな?
楽しく読んでいただけたら幸いです。