お茶会なのです
さあ、お茶会開始なのです。まだ続くのです。終わらなかったのです・・・ごめんなさいです。
「さあ、仕上げと行きましょう」
「はい、お嬢様。今日こそ期待しております」
先ずは竈に火を入れ充分熱します。そしたら昨日作っておいたクッキー生地を持ってきて、小分けしていき、鉄板の上に並べて、半分に木の実をパラパラと。で、準備が終わったら竈に入れて、と。
で、クッキーが焼ける間に今度はクレープ生地を作ります。熱したフライパンにお玉で一回分の量をすくい入れ、そのまま底の部分で撫でる様に均等に広げていきます。片面が焦げすぎない位に焼けたら、裏返して軽く焼いたら、一枚完成~。これをひたすら繰り返して、枚数を製造して、皿に重ねていきます。私は裏返す際、森の木で作った菜箸を利用するのですが、此方の方は箸を使いませんので、調理中を見られると不思議な顔をされますね。でも使いやすいんですよ、ホント。で、出来た生地にベリーのジャムを一部に乗せ、それが端に来る様に、半分に曲げたら、底を基点に二等辺三角形に見える位に、か~るくたたんで出来上がりっと。それを数枚作っていると、後ろから、
「お嬢様、私、ベリーも美味しいとは思いますが、リンゴやレモンのジャムも美味しいと思うのです。そちらもケチらず、使っていただけたら嬉しいのですが」
などと、ケチった訳でもないのに、どこかの侍女からクレームが。でも、それをすると皆全ての味を食べたくて、枚数食べますよね?お腹大丈夫?などと思いつつも、まぁ言われた通りに作りましょう。
で、クレープのジャム巻きが完成する頃には、クッキーも焼けたので竈から取り出し一個づつを除いて、両方全て収納に放り込みます。
最後はポテチですね。油を入れた鍋を火にかけて温度を上げて、良い温度になったら昨日乾燥させておいた薄切りのおじゃがさまを投入。パチパチといい音を聞きながら、綺麗に揚がったら、油をきる為一旦樹の薄皮の上に並べます。これは伐採した時に外皮を何枚か剝いた後の、内側の綺麗な皮にクリーンの魔法で消毒したものです。この時もクッキングペーパーが無いのが悔やまれますね。そんな感じで、続けて大量に作っていき、充分油が切れたら塩を振って完成~。これも数枚残して収納に入れておきます。で、後ろで、はしたなくも涎を垂らしそうな顔で待っているリリに、
「さあ、味見の時間です。昨日からお待たせしましたね。少ないですが二人で食べてみましょう」
「お嬢様、二人でこれだけですか?」
「リリが明日、お茶会に参加しないのであれば、その分此処に出しますよ」
「いえいえ、お嬢様。ちゃんと参加はさせて頂きます」
「では、お腹に貯まるほど食べるのは明日にして下さいね。今日はただの完成品の味見なのですから」
「他の人達はできない味見ですから、我慢します、お嬢様」
美味しく出来ていたので、作り直しは要らないようです。今回はジャガイモのみでしたが、次があったら他の野菜もスライスして揚げたいですね、彩も良くなりますし。すべての準備が終わりました。後は明日器に盛りつけるだけです。ということで、本日は終わりです。
寮の食堂で、皆で夕食をいただきながら過ごしていると、
「お菓子の準備は終わりましたか、フェリ様」
「おかげさまで、明日のお茶会に間に合いました、エミリア様」
「必要ならば、料理人に頼むか、街で購入する事も出来ますから、事前にお伝え下されば下準備のお手伝いはさせて頂きますよ、フェリ様」
「いえ、お友達との初めてのお茶会ですので、手作りをお出ししたくて。次回からは、一部お願いするかもしれませんが、その時はよろしくお願いします、エミリア様」
「はい、承りました。何時でもお声をおかけください。でも、今回は学園の皆さま方と。と言うことなので、私は参加できませんが、フェリ様の手作りお菓子は食べて見たかったですね」
「では、近いうちに寮の皆だけで、お庭でお茶会を開きましょう」
「それは、楽しそうですね。お待ちします、フェリ様」
皆での食事も終わり、それぞれのお部屋へと戻り一日の終わりです。感謝を込めて今日あった事を女神様に報告がてらの、お祈りを捧げ、本日はお休みタイムに入りました。明けて翌日。
「全員集まるまでは、私の部屋で待機ですね。揃ったら皆で中庭に行きましょう」
「今は、マリエラさんとお嬢様と私の、寮の住民だけですからね」
などと話していると、玄関より元気な声が。
「「おはようございま~す」フェリさん」
その声に合わせ玄関へとお出迎えに行くと、エミリア様がお笑いになりながら、お通しして頂いていました。
「貴族以外の方をお迎えするのは初めてですが、元気のよい挨拶ですね。お友達付き合いだけなら礼儀作法など、気にすることもないでしょう。初めまして、お二方。この寮館の管理をしております、エミリア・ルーズベルトと申します。今後も遊びに伺われると思いますので、よろしくお願いしますね」
「は、はい、メルシアと申します。宜しくお願いします、エミリア・ルーズベルト様」
「よ、よろしくお願いします。エリザです。エミリア・ルーズベルト様」
「はい、ご挨拶ありがとう御座います。今後はエミリアで構いません。今日は楽しんでくださいね」
「「はい、エミリア様」」
後ろで眺めながら微笑んでいると、此方に気が付いた二人が近寄ってきました、走らずに。部屋の方に戻られた、エミリア様を確認してから、声を掛けます。
「エリさん、メルさん、二人とも、おはよう御座います。ようこそ御出で下さいました」
「後ろで笑ってないで、助けてよ、フェリ~」
「素敵な方ですね、エミリア様。あんなお方、お相手するの初めてで緊張してしまいました」
「まぁ、ここで話し込むのも何ですので、先ずは、私のお部屋に」
「「は~い」」
「お二人とも、いらっしゃい」
「「マリエラ様、おはようございます」」
「ここは学園と違って、フェリさま~のお部屋ですから、お友達同士は無礼講です。緊張せずに気楽に会話を楽しんでくださいね」
「「はい、ありがとうございます、マリエラ様」」
「後は、カトリーナ様待ちですね。馬車で来る上、最後とは、重役出勤ですね」
「カトリーナ様にそう言えるのは、フェリだけだって」
「そう思うのを徐々になくそうというのが、今回の催しです。話してればわかりますが、場さえ弁えれば気にしない方ですよ。それも、場所がらも、どちらかと言うと、私達が周りから非難されない為に注意されるのであって、それが無ければ喋り方なんて気にされません。どちらかと言うと、感覚庶民派ですから」
「そう言えるフェリさんは、凄いです」
「一度にそう言われても、無理でしょうからね。少しずつ仲良くなりましょう、エリさん、メルさん」
「「は~い」」
「あ、馬車が来たみたいですね。彼女はエミリア様との挨拶がありますので、此処に通されるのを待ちましょう。お二人は初めてだったので玄関に見に行きましたが、カトリーナ様は常連ですからね」
貴族とは思えない勢いで、ドアを開き入って来る姿に皆驚きの表情です。
「皆さん、おはようございます。お待たせしてしまいましたか?」
「いいタイミングだよ、カトリーナ様」
「それならよかったわ、フェリ様」
「じゃあ、全員揃いましたし、移動しましょう~」
「「へ?」」
「フェリ様、ここでお茶会ではないのですか?」
「狭いので、別の場所をご用意いたしました。此方にどうぞ」
皆を中庭へと案内します。
「わ~こんな素敵な所が寮にはあるのですね。四阿も見事ですが、そこから見える花々も綺麗です~」
「皆にお楽しみいただこうと、お嬢様が張り切られてお作りになられました。つい先日」
「「「え?」」」
「いえ、皆とのはじめてのお茶会だから、狭いお部屋よりこっちの方が良いかな~と」
「そう思っただけで、普通の方はお作りになりません、お嬢様」
「フェリ~、この前言ってたのこれ?何処がちょっとなの」
「「え、カトリーナ様お言葉使いが・・・」」
「ああ、ここでは庶民同士が話す感じで無礼講という事で。でないと楽しめないでしょう、友人同士の会話は」
「「宜しいのですか?カトリーナ様」」
「全然大丈夫よ」
「ということなので、マリエラさんも、お喋り解禁。貴族だけど無礼とかないから、私の為に抑えるのはこの場所では要らないよ」
「フェリさま~、わかりました~、皆と会話を楽しませてもらいます~。皆様マリエラ・オークランドです。一つ年上では御座いますが、遠慮などせずお話しください。特にフェリさま~、の学園でのご様子などは喜んでお聞きしますわ」
「と言う方なので、カトリーナ様、マリエラさんもお友達としてよろしくお願いします」
「わかったわ。では、此処にいる皆さんは、遠慮などしないお友達という事で今後も宜しくお願いしますわ」
「皆堅いけど、まあ、初めてだし、いっか」
「「フェリ、普段と違って軽すぎ」」
「ここでは、良いのです」
「「そうなの?」」
「そうそう、学園とかの他の方が一緒の時は流石に気を配るべきだけど、ここは言うなれば家だよ。気楽に、気楽に」
「そう言えば、家なんだねフェリの」
「そうそう、エリさん」
「では、会話が弾むよう良いものを出しましょう」
注目を集めておいて、昨日までの成果の品をお出しするのでした。皆気に入ってくれるかな?
楽しく読んでいただけたら幸いです。




