逢えたのです
まさかの登場人物です~。よろしくです~。
「今日はクラスが騒がしくはありませんか?エリさん、メルさん」
「あ~ごめん、それ、たぶん私の所為。ごめんごめん」
「何をなされたのです、エリさん」
「前代未聞の出来事が放課後あるから、用事の無いクラスメイトはなるべく残ってね、と声を掛けておきました~」
「何故そのような事を?」
「いや~、三人だけで、1クラスの人ばかりが見てる、一年用の廊下の掲示板には行きたくないな~と。それに、自己測定の時みたいに、何か言ってくるかもしれないし、味方は多い方が良いかな~と、そう思って」
「でも、それをしたら目立ちますよね?」
「うん、間違いなく目立つね」
「私の生活の邪魔をするのは、悪役令嬢じゃなく、エリさん、貴方だったのですね」
「悪役令嬢って、何?フェリ」
「その場のノリですので気にしないで下さい。それより今からこれでは放課後が大変そうです」
そんなことを話しつつ、当日の授業をすべて終えると、皆が待っている公開処刑のお時間がきました。エリさんの号令で時間を作って頂いたクラスメイトが集まり、集団での順位発表見学ツアーです。
目的地に近ずくと、既にそこには別の集団が存在していましたが、普段冷静を旨としている方々とは思えない喧騒を醸し出しておられました。それでも、ここまで来たのですから、見ずに帰る事は出来ません。なので、気合を入れて先ず私が歩みだしました。
その行為に驚いた、1クラスの生徒が二手に分かれる様に道を開けてくれます。モーゼですね。さあ覚悟を決めましょう。見知ったお顔がちらほら見える掲示板の前へ。
「皆様方、ご機嫌麗しゅうございます。前を失礼させて頂きます」
一位が私、フェリノアで、二位が、同率順位のルイネス様、ヨシュア様、四位がカトリーナ様、飛んで六位が、隣国のユージス様、八位がロイス様、九位がキャロライン様、十位以内の知ってる方々はそんな感じですね。
というか、アナスタシア様、順位が見当たりませんよ。幼い頃、お城で出会った、キラキラ王子ルイネス様をお慕いし狙われるコースなら、王妃教育真っ最中。勉強に、礼儀作法にと頑張っていらっしゃる期間のはず。ならば、成績が悪いなど公爵家としてもあり得ないと思うのですが。
もしや、違う方コース?順位表を見ながらそんな事を考えていると、先ほど見かけたご集団が。男性陣ご三方はこの前からそれなりに見せて頂きましたが、キャロライン様の後ろ髪全部のクルクルドリルと、カトリーナ様の前に持って来られてる両サイドのみの控えめなドリルも、この世界独特の髪型で見ていて楽しいです。前世でコスプレ以外の普通の生活で見る事は叶わない髪型ですものね。そう言えばヒロインのアナスタシア様だけはサラサラのストレートですわね。まあ、プラチナブロンドをドリルには似合わなさ過ぎて出来ませんね。
現実逃避にそんなことを考えていると、声が掛かりました。
「いや、凄いね。この成績には感服したよ、フェリノア嬢」
「そうだな、素直に認めよう、フェリノア嬢」
「いや~、身体能力だけでなく頭も凄いのか~、流石だね、フェリノア嬢」
「ルイネス様、ヨシュア様、ロイス様、お褒め頂き光栄です。今回は先生方が少し意地悪をされていたみたいですので、何とか成績を残せたようですが、次回もこう上手くいくとは思えませんので、今回のみと、素直に評価を頂戴いたします」
「ちょっと失礼しますわね。そこの貴女。この前から場を弁えなさいと申しているのに、目立つために今度はどんな手を使われたのかしら。貴方の様な家柄の者に、この様な成績を出せるはずはありませんもの。さあ、素直に詫びて去りなさい」
「キャロライン嬢、この前から、同じ学園の生徒に対し、少し言い過ぎではないかな。我が王家が運営するこの学園は、通っている間、身分の上下なく皆平等と明言してるはずだ」
「キャロライン様、今回の問題は、教科書に記載無く、それぞれ専門のものしか判らない問題を、各教科一問ずつ先生が混ぜられていたのです。たまたま私が知る問題だったので、目立ってしまいましたが、通常の問題ならこうはいかなかったでしょう。なので、今回の順位は余りお気になさらない方がよろしいですわ」
「ですから、何故そのようなとこを、貴方がお知りになっているのか、という事ですわ」
「アナスタシア様もすいません。うちは辺境の家ですので、自宅で個人の教師を雇うなど、他家では普通の勉強法が出来ません。なので、時間が許す限り、辺境伯のおじさまが、自宅にある書物で直々に勉強を見て下さっていたのです。実務をしながら片手間でしたので、横で話される、専門家の話もお聞きする機会がありましたので、小耳に挟む程度ですが、お伺いしておりました」
「アナスタシア様、キャロライン様、今回は私がお話させて頂きますので、それで納得して頂けないでしょうか?」
「カトリーナ様がですか?」
「はい、私が少しお二人でお話をさせて頂きます」
「それでしたら、ねえ、アナスタシア様」
「ええ、宜しくてよ」
「待ってくれ、カトリーナ嬢。フェリノア嬢は・・・」
「お話を遮り申し訳ありません。ルイネス様、ご心配には及びません。この方に危害が及ぶことは一切ないと、この名に懸けて誓いますわ」
「貴女がそこまで言われるのなら」
「フェリノア様、少しの時間、誰もまみえず、お話したいのですが、お付き合い願えますか?」
「ええ、構いません。何方に」
「案内いたします。此方に」
高位貴族用の控えの間の一つに入ると、二人っきりに。いきなり拳骨を頭に落とされ驚くと、頬に涙を浮かべるカトリーナ様が。痛い頭を撫でつつ、オロオロしながらも、持っていたハンカチを、おそるおそる渡すと、
「今回の成績で知識チートまる判りよ。・・・あなたね~もっと早く探しに来なさいよ。どんだけ待ったと思ってるの。十三年よ。判ってるの?まあ、学園に来るまでは無理だったのかもしれないけど、入ったらすぐ来なさいよ」
「はい?」
「私から勧められた乙女ゲームを私よりやり込んだ、早乙女春香。あなた女神から私の事、判る様にしてもらったんでしょ。頑張って探しなさいよ」
「も、も、もしかして、咲姫ちゃん。清水咲姫ちゃん?」
「そうよ。貴方が亡くなった後、私も何か糸が切れたみたいになって、直ぐだったわ」
私の頬にも知らずのうちに、涙が落ちます。すぐに駆け寄り、抱きしめます。
「探すも何も、知らなかったんだもの。まだ幸せに生きているものと思ってた」
「お互い、治る見込みのない子だったもの。家族もなかなか来なかったしね。ずっとそばに居たあなたが居なくなって心に穴が開いたのね。ほんと、すぐだったわ」
「そうなの・・・」
「でもね、直ぐ迎えに来てくれたシャルティーナ様が・・・」
「誰それ?」
「馬鹿、女神様でしょ」
「あの、優しいお声の女神様。シャルティーナ様と言うんだ」
「あんたね~ゲームの説明書の世界の始まりの話に書いてあったでしょ、この世界の創造神にして唯一神」
「そうだった?」
「相変わらずね、ストーリだけで説明書はおざなりとか、まぁ、いいわ。話が進まないもの。で、迎えに来て下さった女神様に言われたの。輪廻と転生どちらにしますか、と。その時に、親友は転生なされましたよ、と微笑んで頂いた時は、もぅ~速攻で転生します、あの親友の元へ。また一緒に過ごすために、そう答えていたわ」
「ありがと、咲姫ちゃん」
「でね、そしたら、私にはあなたと同じ言語理解と、健康で丈夫な身体はあげられるけど、行き先を自分から指定したあなたには、あと一つしかあげられないって言われたの、なので、病室でも良く暴れてたあなたと一緒なら、回復が必要かと思ってお願いしたら、光魔法を与えておきます、と言われてね、行くのは良いけど、どうやって探そうと思ってたら、先に行ったあなたに前世とイメージが違っても判る様にしてますよと言われたの。それで安心してたんだけど・・・」
「あ、確かに言われた。鑑定。人物の詳細も出来るんだ」
「あんたね~、食べ物とかしか見てなかったんでしょう」
「えへ」
「あんたがしても可愛くない~」
「そんな~」
「でね、生まれ変わって、カトリーナになってる事は判ったんだけど、肝心のヒロインのアナスタシアがあんたのような感じがしなかったの。ゲーム世界だから安易にヒロインかと思って、それからもまだ前世を思い出してないパターンかもと、同じ公爵家で幼い時から会ってたからね、見てたんだけど、どうにも違うな~と思ってたら」
「うんうん?」
「あんたが別にいる決定的証拠。あんた前世でゲームしてた時、私と泣きながら、自分達も治らない病気だったからさ、余計重なって何でこんな悲しいストーリーを加えるの、ハッピーで良いじゃないと言ってた、飢饉と病、事前に用意して潰したでしょ。それで判った。あんたちゃんと、此処に居て、そのままのあんたでいてくれてるって。そうおもったらさ~早く探しに来いって思うでしょ。それなのにあんたと来たら、今日私が会いに行くまで来ないんだから。この前、侍女のとこで見た時鑑定すればわかったでしょうに」
「いやいや、咲姫ちゃん。言ったじゃん、亡くなったの知らなかったって。なので、あの三人の揃い踏みなんか、じろじろ見る訳ないでしょ」
「いや、何か、制服姿拝んでた気がしたけど」
「か、勘違いだよ、きっと」
「やっと逢えたね、春香。また、一緒しよう、ずっと」
「うん、今度は二人とも元気な身体だもん、何でもできるよ。なにせ外に出れるんだよ、自由に自分の意志で」
「じゃあ、取り敢えず皆の元に戻ろうか。心配かけてるだろうし」
「あ、今度、私の友達達紹介するよ、そんなにいないんだけどね。何人かは出来たよ」
「わかった。あ~あ、私も寮に入れないかな~、公爵家といえあなたと同じ三女だし。頼んでみるかな」
「私、これで怖いものなくなったよ。なにせ、前世からの心友が来てくれたんだもん。どんなストーリーでも大丈夫」
「というかさ~、アナスタシア誰狙い?」
「学園来たばかりなんで要観察ね。その相手には近寄りません。断罪はないゲームだけど、巻き添えは嫌だもんね」
「だね。関係ないとこで、仲良く遊ぼ~、昔みたいに」
「そだね」
心強い味方が、世界を超えてまで来てくれました。これからは楽しく一緒に頑張るのです。もう病なんかには負けません。
楽しく読んでいただけたら幸いです。




