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軽く運動するのです

中継ぎなのです。退屈しのぎに、お読みください、なのです。

 「フェリ様、学園に入って初めての休息日ですが、本日のご予定は?街に行かれる用事などは御座いますか」


 「エミリア様、最近慌ただしく過ごしておりましたので、お庭のお手入れをして、その後少し体を動かして、過ごしたいと思います」


 「少し身体を動かされる、ですか?」


 「はい。領地に居た頃は、毎日の様に身体を動かして過ごしていたのですが、最近魔法だよりだと、反省しまして。軽い運動から身体を均していきたいと思います」


 「判りました、フェリ様。では今日は寮から出られないという事で宜しいでしょうか?」


 「はい、エミリア様。今日は大人しく寮で過ごそうと思います」


 「では、私は今日は寮館長の仕事を優先して行いたいと思いますので、御用の際はお呼びください。余りご無理はなさいませんように」


 「気を付けます、エミリア様」


 朝の食事の際、いつもの様に当日の予定を聞かれ、報告を済ませると、一旦部屋へと戻る際、リリに話し掛けられます。


 「お嬢様、昨日学園から帰られてから、中庭で何やらゴソゴソとなさっていると思ったら、もしやお手入れではなく、あれをお作りになっておられたのですか。あの変な連立する人形を」


 「リリ、変な人形とは言い過ぎでは?手合わせする人間を探さず、一人で鍛錬できる優れものですよ」


 「あの的の木に腕を生やした様なものが、ですか?それも最初は木でしたが、いつの間にか鉄の様なもので覆われ、それでも耐えられず、鋼で覆われたあの人形がですか?」


 「私が思い描く、フェリチェン流を訓練するには最適なのです、リリ」


 「判りました、お嬢様。ですが、お作りになられたばかりのお庭を破壊されない様に、お気を付けくださいませ」


 「心配しなくても大丈夫です。軽い運動で済ませますから」


 「はぁ~、では、私は隅で見学させて頂きます、お嬢様」


 生まれ変わる前、病気だった私は、外で思いっきり身体を動かす事など出来ず、軽い運動だけの生活でしたが、憧れはあったので、アクション映画などはよく見たものです。

 似た者同士の同じ入院患者のお友達、咲姫ちゃんとも一緒によく見たものですが、殆どに趣味の合う彼女ともこれだけは意見が分かれましたね。

 彼女はアクションと言えば、ト○様、ト〇様と言っていましたが、違いますよ、咲姫ちゃん。確かに要所要所で繰り広げられる演技は凄いかもしれませんが、それだけです。私に言わせれば、チェ〇様が最高なのです。映画を超え、実際にある格闘術を己の身体で再現されている、あれこそが至高なのです。

 お顔の話もよくされてましたが、確かにそちらは二枚目でしたが、それも違うのです。二枚目とはいかずとも、偶に浮かべられる、はにかんだあの微笑。あれが良いのです、判っていませんね。

 あ、話がそれた上に、過去のことなのに熱くなってしまった様です。なので私は、病室で映画を繰り返し見ては、中二病を発動し、部屋の中にも関わらず、マネをしては、必殺技を作って繰り出していたのですが、やはり、あの身体では無理だったのです。思う様には動けませんでした。


 しかし、今世は違うのです。確かに三歳の頃、身体は思うように動かせませんでした。なので、魔法の訓練からと、魔力を感じる訓練から始め、感じることが出来るようになると、それを身体に巡らせる訓練を行いました。上手に巡らせる様になると次の訓練を考えました。そこで本来なら、前世の小説で学んだ様に、魔法を放つ訓練なのでしょうが、お待ちください。小さい幼子が、部屋で属性魔法を放つ異様さを。水を出し床を濡らしたり、動いてもいないのに、土だらけにしたり、風で物を壊したり、小さな火でもどこかを焦がしたりと、そんなことをしようものなら、監視がついてしまいます<使ってはいけないとは思っていない>。なので出来る事を考えました。それが、巡る魔力を外へは出さず、内側から使う身体強化です。

 最初は私ながら良い考えだと思い実行したのですが、ぎゃあ~~という叫び声を上げ母を呼び寄せてしまいました。訓練により増えた魔力量が多すぎたのか、身体に強化を与えた瞬間、千切れたような痛みに襲われました。暫くすると納まったので、あれっ、という感じで、考え込み何が悪かったのか思いつかず、のど元過ぎた何とやら、何度か繰り返してみたのです<その度、母を召喚しました。すいません>。


 結論から言うと、今世、私は優しい女神様より、凄い贈り物を頂いていたみたいです。それも組み合わせることでスーパーコンボを発生させる、特大チートです。

 先ず一つ目、魔法の素養。これはこの世界では、何々属性魔法というものより劣るものと考えられている様ですが、違うのです。確かに属性魔法を与えられると、火なら火、水なら水などを、意識せず使えるようになる優れもので、使い方が判らないと最後まで使えない素養だけの加護は下に見られていますが、前世の知識のある私は違います。限定された属性よりも思い浮かぶ使い方を訓練すれば何でも使えるようになる、限定の無い魔法の素養の方がありがたかったのです。なので、思いつくまま色々試し開発できたのですから。

 次に、前世病弱だった私に、憐れんでお渡し下さった、健康で丈夫な身体。これが、思いもよらない効果ありありの加護だったのです。なにせ身体強化の魔法、これで確かに壊れた筈の身体が、ある程度で治る不思議は、この加護のおかげだったのです。この身体に異常を感じると発動する加護は最たるチートではないでしょうか。後日、薬を作る際、毒を試した時も効きづらかったようですし。


 なので私は、五歳で家の中からの外出を許可されるようになる頃まで、身体強化と回復を繰り返し、掛けられる時間を引き伸ばし、常時かけていても平気になる位頑張り、ついでに魔力量も増やしつつ時を待ったのです。

 外に出て最初にした事は、思い通りに身体を動かす事。この一点でした。

 強化を掛け、動かす身体は、思った通り、いいえ、それ以上に動くのです。前世病室で真似事の様に動かした動作が、スムーズに、しかも力強く動くのです。なので、前世の記憶のあの映画の動きを思い出せる限り、繰り返しましたとも。後に、リリに披露した際は、変な体操と言われてしまいましたが。

 それで命名したフェリチェン流を、今や鋼人となった人形で鍛錬し、自称鋼〇拳マスターとなったのです。


 さあ、その技の数々をまた披露するときです。見てなさい、リリ。アッと言わせて見せますから。


 「お嬢様、また、その変な体操ですか?飽きませんね~」


 鋼人を相手する私、かっこいいと思うのですが。解せません。やはり、新たなる必殺技を作るべきですね。励みましょう。

楽しく読んでいただけたら幸いです。

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