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回想その2です

取り敢えず、簡素にまとめてみました。領地内でした事などは、また後の話で出していきたいと思います。

 一度暗闇に沈んだと思った意識がなぜか戻り、瞼は重いまま開かないものの、暖かい水面に浮かんでるような感覚を全身に感じながら漂い続けていると耳元に囁く様に、

 

 「恵まれない体質を恨むことなく、一生懸命よく頑張りましたね。それに、私が創った世界を模した作品をあんなに愛してくれてありがとう御座います」


 心に響く優しいその言葉に、作品とはあの乙女ゲームことかな?と思い浮かべ、それならば逆にあの作品があったからこそ、人生を悔いなく過ごせたと心底思いながら、話し掛けられた相手に向かうつもりで心情を打ち明けました。


 「あの物語を経験する事が出来たからこそ、悔いを残すことなく人生を楽しかったと思いながら終えることが出来ました。こちらこそありがとう御座います」


 「そんな貴女に、この後、私の世界でもう一度人生を思いっきり楽しんで頂きたいと思います。今の記憶が残ると思うので、戸惑わない様、新しい世界の言語スキルと、前の世界には無かった魔法の素養と、イメージの違いで困らぬ様、鑑定スキルを、それと今度の生こそ健康で丈夫な身体を与えておきますので、楽しい人生をお過ごしください。では」


 その声が聞こえて来ると同時に、また意識が沈むような感覚が全身を襲い、意識を手放すのでした。


  

 「知らない天井です」


 そんなお約束の言葉を思い浮かべながら、次に意識を取り戻し、確認の為周りを見渡そうと身体を動かそうとしたところ、


 「う、動けません」


 という言葉もまともに出ない私自身に、手だけでもと上に掲げてみると、見事に赤ちゃんの手なのでした。最後に掛けて頂いた言葉をおぼろげに思い出すと、


 「そうか、私生まれ変われたんだ」


 そんな喜びの感情を他の人には赤子の鳴き声にしか聞こえないだろう言葉で、口にすると一人の女性が部屋に入ってきて、


 「あらあら、お腹すいたのかしら?それともおむつの交換かしら?」


 そんな言葉を掛けながら、優しい笑顔で話し掛けて来る女性に、


 (多分あの優しい声の女神様?に転生させて頂いたとして、私の世界と仰ってたとおもうのだけど、あの乙女ゲームの世界よね?くまなくコンプリートしたと思っていたけれど、この目の前の女性を見た事が無いのだけど?誰なの?)


 じっと、相手を見つめつつ泣き止むと、


 「さっきお乳もあげたばかりだし、おむつも濡れてないみたい。きっと寂しかったのね」


 そっと抱き上げながら、あやしてくれる女性に視線を向け、


 (この人が私のこの世界のお母さん?)


 心地よい揺れと抱かれ心地に、考えがまとまらず、またも瞼が重くなると、


 「さあ、もう一度ゆっくりおやすみなさい、私の可愛いフェリ」


 聞こえてきたその言葉を最後にまた意識が途切れるのでした。



 それからは、やっぱり母だった女性に見守ってもらいながら、起きては寝て、起きては寝てを繰り返し、ハイハイからおっきになり、しっかり歩けるようになる三歳位になると、他の家族とも一緒に過ごす様になり、父親と二人の姉がいる事が判り、尚且つ今年、弟が出来ました。お母さん曰く、


 「やっと跡取りの男の子が生まれたんで、子供はこれでもういいわね」


 という事だった。うちはそんなに裕福そうでもないし、四人も生んで育ててる母を尊敬してるので、早くお手伝いできるようになればと、そう思うのですが、やはり私の身体はまだまだ幼い様です、自由自在にはまだまだ動けません。なので、今のうちに魔法の特訓です。今のうちに色々覚えようと思います。

 

 それでも、周りの様子はボチボチ判りだし、やはりこの世界はあの乙女ゲームの世界みたいだという事と、主人公のアナスタシアとは全然関わりのない場所に生まれている事がはっきりしました。なにせ王都どころかかなり田舎で、攻略対象キャラや令嬢達の噂もまだまだこの地には入ってこないので、自由に動いてもストーリーに関わり、変に目立たない事に今のところ安心しています。

 出来れば両親が治めているこの領地(殆ど村)が少しは豊かになる様にしていきたいのですが、余りやりすぎると、目立つので加減が難しそうです。ま~まだ三歳ですので周りの大人が私の話を真剣に聞いてくれるほどの年齢になるのと、皆を納得させる実績を何らかの形で示してからでないと無理そうですが、それでも転生させてくれた女神様から言っていただいた通り、今度の人生は思いっきり楽しんで生きたいと思います。前世で望んでも得られなかった、健康で丈夫な身体と魔法の素養で頑張るのです。


 そんな事を思いながら、いくつかの領地の大きな問題を解消しつつ過ごしていたら、水のみ男爵<水で腹を満たす>と言われてたのが、なんとか馬子爵<馬の餌で庶民を食べさせる>と周りの貴族に言われ噂される程度には出世でき、なぜか王都の学園の入学を言い渡され通う事になり、十三歳になった今冒頭に戻ると相成りました。

楽しく読んで頂ける作品に出来たら幸いです。宜しくお願いします。

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