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買わないのです

え~と、二話になってしまいました~ごめんなさいです~。

 「ほう、お嬢さんも、家具を自作しているのかい?」


 「はい、結構、見様見真似なんですけどね。自分で伐採した木材をそのまま商会に卸しても、値段が余りつかないと思いまして。で、加工して卸させてもらっています」


 「そうなのかい?じゃあ、私の作品が参考になれば良いな。私も最近までは、自分が作ったのが王都で一番なのでは、などと思っていたが、あるお店に飾られてた商品を見て、間違いだと気付かされたよ。なので、参考になるようなら、大いに参考にしてくれ。ところで、お嬢さんの名前は何と言うんだい」


 「あ、申し遅れました。フェリノア・アレイシスと申します。気軽にフェリノアかフェリとお呼びください」


 「家名持ち、か。貴族だったんだな、お嬢さんも。それもそうか、カトリーナ様のご友人だものな」


 「いえ、貴族と言っても、田舎の子爵家ですので、育ちは平民と変わりありませんので、お気遣いなく」


 「それじゃあ、遠慮なくフェリ様と呼ばせてもらうよ」


 「はい、宜しくお願いします、ニクラス様」


 「おっと、着いたな。ここら辺がベットだな。サイズも色々あるんで、好きに見て行ってくれ」


 「はい、ありがとう御座います。見た感じ材質の使い方がお上手です。丈夫さと厚みが適切で、無駄なく組み合わさっている感じが、凄く良いですね」


 「まあ、そこが長く職人を続けてきた事で得られる、勘の様なものだな。これ以上、材料が厚すぎると不格好だが、薄くすると耐久性に問題が出る、というな。それも、さっき言ってもらったように、継ぎ目に独特の加工をしてる事でも、結構丈夫になってるんだ」


 「あ、春香、見て見て、あの商品、飾りの細工も凄いわ。一際豪華よ」


 「ああ、それか。それは残念ながら売り物ではないんだ。さっき言った他所の店に飾られてたものでな、いずれは私もそれ位のものを作れるようにと、自分の作品の横に、置いてるんだよ。違いが判るようにね。まあ、素材自体が違うから、素材を手に入れるところからなんだがね」


 「そうなのですね。でも、他所に飾られてたのなら、このお店に飾ると問題になりませんか?ニクラス様」


 「それがな、家具屋じゃないんだよ、置いてあったのが。普通の商会なんでな、買う時確認したら、構わないと言ってもらったよ」


 「あ・・・」


 「うん?どうかしたの、春香?」


 「う、ううん、な、何でもないよ、咲姫ちゃん」


 「そう?ならいいけど。でも、良い商品ですね、ニクラス様。良ければお店の名前を教えて頂けませんか?私も他の商品が入荷してないか確かめたくなりましたわ」


 「そうでしょう。少しでも見る目があれば惹かれますものな。まあ、個人が気の向いた時だけ作られてるそうなので、いつでもあるわけではないそうなんですがね。まあ、他の商品も品揃えが凄いので、行ってみられれば良いと思いますよ。有名店ですからね、すぐわかります、オークランド商会ですから」


 「うん?待ってください、オークランド商会なのですか?」


 「そうですよ、カトリーナ様」


 「私、作者に心当たりが御座います」


 「おお、そうなのですか?ならば、是非、ご紹介いただきたい。技術もさることながら、素材自体も素晴らしいので、是非仕入れさせて頂きたいのです」


 「だそうよ、そこで、居心地の悪そうな顔してる、誰かさん」


 「だ、誰の事かな~」


 「あんたね~、こんな素晴らしいもの作れるなら、何であんなベットとタンスなんか使ってるのよ。それを使えばいいでしょう」


 「え~と、姉除けだったんだよ、咲姫ちゃん。それに、オークランドさんが、商品が出来たら是非っていつも言ってくるんだもん。しょうがないでしょ」


 「開きなおったわね。まあ、辺境に行って、村の皆さんからも、お姉さんの事は聞かされてるから、納得するけどね。という事は、部室に置いている家具も、買ったんじゃなくて、自作?凄い上品な品々だと思ってたら。なら、自分用に作りなさい、今度」


 「わかったよ、咲姫ちゃん」


 「カトリーナ様、すいません。今のお話しから察すると、もしや?」


 「そうです、この子の作品みたいです」


 「おお、なんという巡り合わせ。お会いしたかったです、フェリ様。で、不躾ですが、他の商品や、材料などはお持ちでは御座いませんか?」


 「材料で良ければ、幾らでもあります。作品でしたら、お茶する時用にテーブルを作ってみたんですけど、大したものではないですよ?」


 「ぜ、是非、お見せ下さい。何という幸運な日だ。違う作品も見れるなんて。あ、いつ見せてもらいにお伺いすれば宜しいでしょうか?」


 「え~と、広い場所があれば、そこで、お見せ出来ますけど?」


 「では、裏の工房にご案内させて頂けます。次回そこにお持ちいただければ」


 「い、いえ、この袋が収納袋ですから、いつでも取り出せます」


 「収納袋ですか?もしや高位冒険者や大商人しか持てないという、あの」


 「え~と、はい。たぶん、それです」


 「そ、それでは、参りましょう。すぐにでも」


 そうして、作りかけの商品や、材料がたくさん置いてある部屋へと連れていかれると、


 「此処なのですが、出せますか?フェリ様」


 「あ、はい、これです」


 「おお、素晴らしい。このテーブルの意匠。それに材質、間違いなく、あの商品と同じ物です。是非譲って頂きたいのですが、無理でしょうね」


 「え~と、レーネ様とお茶する時用にと作ったものなので、これは、ちょっとお譲りする事は出来ません。今度時間がある時、同じような物をお作りしたので良ければ、お持ちします」


 「ほんとうですか?それで構いません。是非お願いします。しかし、この素材素晴らしいですね。私も色々な所の木材を見て来ましたが、これ程素晴らしいものは見た事がありませんでした」


 「お分けしましょうか?木材」


 「よ、宜しいのですか?」


 「はい、故郷に帰れば沢山生えてますから」


 「産地を教えて頂く事は出来るのでしょうか?」


 「構いませんけど、普通の方では伐採できないと思います」


 「採取が制限された場所とかですか?領主から許可が必要とか?」


 「木材に関しては、何処の領でも許可はいるとは思いますが、うちはちょっと違いまして」


 「うち、という事は、フェリ様のご実家の領なのですか?」


 「はい、そうです」


 「な、ならば、是非許可を。必要な対価はお支払いしますので」


 「え~と、大勢の高位冒険者を雇えますか?」


 「どういうことでしょう?」


 「私の木材は、嘆きの森の木々です」


 「な、嘆きの森?も、もしや、あの、入れば帰れないと言われる」


 「たぶん?でも、帰れますけど、ちゃんと。まあ、取り敢えず、作品何個か作れる程度、出しときますね」


 そう言って、木材を集めてある場所へと行き、木材を五本ほど取り出しおろすと、


 「これで良いですか、ニクラス様?」


 「は、はい、ありがとう御座います。これだけあれば、私も作品を作ってみれます。で。お代の方は」


 「う~ん、どうしよう、咲姫ちゃん。値段なんてわからないよ。それに結構余ってる物だし」


 「そうだ、こうしたら?今度自分用の家具を作るでしょう、と言うか作りなさいね。で、その時、此処の工房を使わせてもらえば?道具も揃ってるみたいだし、いちいち辺境に戻らなくても良くなるでしょう?」


 「でも、ニクラス様のお仕事の邪魔にならない?咲姫ちゃん」


 「いえいえ、邪魔などではありません。それどころか、加工するところを見せて頂けるなんて、こちらが更に対価をお支払いしないといけない様なものです」


 「ほら、こう言ってもらってるんだし、そうしたら?」


 「でしたら、テーブルもここで作りますね。またお休みの、時間が取れる時に出直してきます」


 「はい、お願いします、フェリ様。ああ、その時が待ち遠しいです。おっと、そうだ。うちの者達の対応の指導をしておかないといけませんな。今度来られた時に、追い帰そうとしたりしたら、大変ですからね」


 「はい、そこは、是非お願いします。ニクラス様」


 そうして、お店に入ったものの、家具は買うことなく、作る事になってしまいました。結構大変なんだけどな~。まあ、皆さんに褒められてるみたいだし、頑張ってみましょう。

 楽しく読んでいただけたら幸いです。

 励みにしたいと思いますので、よろしかったら、評価等々頂けたら嬉しいです。でも、くれぐれも酷評は避けてくださいね、お願いします。作者、メンタル紙ですので書く気力が・・・無くなる可能性があるのです。

 読み手様が増えてくれるのを願いたいです~。

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