お迎えの日、なのです
お迎え・・・のまえ?
「ねえ、フェリちゃん。あの二人、迎えになんか行かないで、今日も森に行きましょう」
「いえ、一応ちゃんと約束しましたので、迎えには行かないと、駄目ですよ、レーネ様」
「え~、やっと身体も慣れてきて、皆と同じ様に動ける所まできたのに~。そう思うでしょ、エマも」
「いえ、フェリ様の言われておられる事の方が、正しいかと。しかし、この効果を体感した身といたしましては、エイレーネ様のお気持ち、よくわかります」
「でしょ、だからね、約束の日を間違えたという事にして、今日も皆さんと狩りに行きましょう」
「駄目ですよ、レーネ様。ルイネス様達も待っておられるはずですから。それでなくとも、陛下に合わせる為、数日遅れになられたのですから、これ以上お待たせしたら可哀想です」
「まあ、そうね。私が先に行く為に、あの子を犠牲にしたようなものだし、流石にそれは可哀想ね。でしたら、フェリちゃん、私も一緒にいくわ。それならお城に直接行っても、平気でしょ。そして、連れてきたら、部屋の整理の間に、私達だけで森に行きましょう。それなら、大丈夫でしょ?」
「え~と、まあ、向こうの準備が早く終われば、可能ではあるかもしれませんが、陛下の準備、早く終わりますか?」
「では、フェリちゃんの負担になるかもしれませんが、エマも一緒に良いかしら?エマがいれば、早くなる事、請け合いだから」
「ええ、構いません。人数増えても、余り負担は変わらないみたいでしたので」
「そうなの?じゃあ、男どもを、パパっと連れて来ちゃんましょう。そして、女性陣は今日も狩りね」
「でしたら、他の皆にもそう伝えてきますね。皆も行きたがるでしょうから。では、伝えて来ますレーネ様」
「でも見て、エマ、この肌。軽く五歳は若返ったわね」
「はい。私なぞは、十歳ほど若返ったように思います」
「あ~、これがちょっとの間だけなんて、惜しいわ~。出来たらある程度、長期間居座りたいわね、この村に。食事も美味しいしね~~」
「本当にフェリ様は、多芸で博識です。王宮でも見た事の無いような料理を作られるのですから。それも絶品のものを」
「うちの料理人に、是非教えて欲しいわね、あの料理の数々」
「はい。あの料理を食べてしまえば、普段食べていたものが、物足りなくなる事でしょう。しかし、仲の良い、レーネ様がお頼みになられれば、快く教えて下さるでしょうが、此方からの対価を如何すべきか悩むところだと思います。
あの方は対価なんていらないとは、仰るでしょうが、それをしてしまえば、料理人たちのレシピ自体の価値を、無くすことになってしまいかねません。長い時間を掛けて開発した料理を、あの子はただで教えてくれたぞ、なんて言われれば、ただで渡さなくてはならなくなりますから」
「そうよね~、でもあの料理の対価ね~。考えつかないわ~。いっそ、早く本当に娘になってくれれば、娘の手料理ということにできるんだけど」
「まだ学園に入学されたばかり、最低でも後五年は無理な話だと思います、エイレーネ様」
「そうよね~、惜しいわ~。せめて、正式に婚約でもしてくれないかしら、うちのと。そうすれば立場は同じだし」
「ですが、今の時点では、ルイネス様はまだ成長が足りないかと。いえ、ルイネス様が普通より劣っているのではないですね、フェリ様が突出され過ぎてらっしゃるのかと」
「まだ、つり合いがね~、もう少し頑張る様に、お尻を叩いてあげなきゃ~ダメかしら?」
「いいえ、最近は考え方も変わられて、良い方向に努力もされております。ただ時間が足りないだけかと」
「だけどね~、エマ」
「何でしょう?エイレーネ様?」
「その時間、フェリちゃんがじっとしてると思う?余計差が開かないと良いけど」
「・・・・それに対する、正確な答えは控えさせていただきます」
「よね~、ふぅ~。いい意味で規格外だわ~、フェリちゃん」
「お二方、お待たせしました。皆に伝えて来ました。なのでさっそく行く事にしたいのですが、宜しいですか?」
「ええ、何時でもいいわ、フェリちゃん。男性陣を連れに行くだけだもの」
「では、来た時の、あの建物から、一気にお城に行きましょう。良いですか、レーネ様」
「勿論よ。時間なんてかけてられないもの、直ぐに済ませてしまいましょう」
「はい、レーネ様。じゃあ行きますよ」
そう声を掛けて、お城に部屋に繋げると、
「来る時も、寮まで歩かずこうすればよかったわね」
「でも、私が数日城から出てこないとなれば、門の衛兵様達が困られるのでは?」
「そこは、フェリちゃんの言う通り、ちゃんと伝えておかないと駄目かもね」
「エイレーネ様、私は侍女達に、陛下たちのお荷物がどうなっているのか、確認して参ります」
「そうね、エマ。お願いします。で、私達はあの人の処に行くわよ、フェリちゃん」
「あ、はい、お供します、レーネ様」
そうして、前回この部屋を訪れた時の様に、レーネ様に手を引かれ、陛下の前へと連れていかれるのでした。
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