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その時侍女は、なのです

侍女とのお話し・・だけ・・なのです?

 「そろそろですね。様子を見に行く事にしましょう」


 そう呟きながら、皆を起こさない様、こっそりと部屋を抜け出します。そして、レーネ様の宿泊施設に辿り着くと、端正な顔を歪められているお姿が、目に映ります。


 「うっ、・・・いっ・・」


 「お、王妃様、お待ちください、すぐにお薬をお持ちします」


 慌てて、動こうとする侍女を確認して、ああ、やはり来て正解でしたと、溜息を吐く。


 「そこの貴女、何をなさろうとしているのです」


 「何を、って、王妃様が苦しんでおられるんです。お薬をお持ちして楽にして差し上げないと・・・」


 「貴女のその、首から上についているのは、お飾りなのですか?あれ程説明致しましたよね?」


 「貴女こそ、何を言っているの?こんなに苦しんでおられるのに。そのお世話を任されているのです。こうするのが当然でしょう。なのに、何故、貴女の様な方の本当かどうかも判らない言葉を信じて、言う事を聞かねばならないのです」


 「厳しい事を言いますが、貴女は王妃様に仕える資格はありません。明日にでも、そうエマ様にもお伝えしたいと思います」


 「何ですって?何故、貴女の様な小娘に、そのような事を言われねばならないのです?たかが、この様な辺境の、子爵程度の令嬢が、私に対して無礼ですよ」


 「貴女は王妃様が、なぜこんなに苦しんでおられるとお思いなのですか?」


 「貴女が、王妃様をそそのかし、訳の分からない行いをさせたのが原因でしょう」


 「聡明な王妃様は、確たる理が無ければ、無暗な事はなさいません。そんな事も判らないのですか?」


 「何を仰ってるの」


 「貴女の仰る通り、王妃様は立場上、本来、こんな事をなさる必要はないのです。なのに、私のお話しをお聞きになり、行動に移されました。それは、今以上に、ご自身が出来る事を増やそうとなさる、王妃様の高潔な心の証です。その行為に貴方は水を刺すお積りなのですか?」


 「で、ですが、こんなに苦しんで・・・」


 「その事は、事前にお話したはずです、こうなると。それでも、この道を選ばれたのは、他ならぬ王妃様ご自身なのです。ならば、王妃様の選ばれた事を見守り、その意に沿う事こそが、貴女のなすべき事です。なので、こういう場合は、冷やした布をお持ちなさい、そして、脇の部分と、頭を冷やしてあげて下さい、それだけで充分です。それと、その事を、エマ様の方にもお願いします」


 「わ、判りましたわ。そうさせて頂きます」


 「はい、宜しくお願いします。私もレーネ様のこの様に苦しむお姿は出来れば見たくはないですが、この国の王妃として、民の為、少しでもできる事をなさりたいのでしょうね。先程も狩りの際、仰っておられましたから」


 「私は同行する事が出来ませんでしたが、王妃様は何と仰っておられたのです?」


 「魔物を前にされ、退治なされた時、今までは民からの魔物被害を黙って聞いてあげる事しか出来なかった、と。そして王妃なのです、聞かされたことは、魔物被害だけではないはず。それを今までは、何とかしてあげたくても、出来なかったのです。ですが、解決の糸口をつかまれ、それをご自身も確かめられたかったのでしょう。そして、苦しまれているという事は、逆に試みが成功したという事なのです」


 「それはどういうことですか?」


 「基礎能力が大幅にお上がりになられているという事です。前のままなら、苦しむ事は無いのですから」


 「あ、ああ、確かに」


 「ですので、明日には逆に、喜びに満ちた笑顔を見せて頂けると思いますので、その事を胸にお世話の続きをお願いしますね。私は自分の部屋に戻る事にしますから」


 「判りました、後のお世話はしっかりさせて頂きます」


 「はい、元々、エマ様が選ばれた素晴らしい侍女の方々だと伺っておりますので、理解さえして頂ければ問題ない事は承知しております。なので、他の方々にもお伝えされ、交代されても同じことをされない様に注意して下されば大丈夫です。では、失礼します」


 「あ、あの、今しようとしたことは・・・」


 「王妃様やエマ様には言いません。と言うか、私はこの場に来ておりませんので、なにも見てはおりませんですので、ご心配なく」


 「あ、ありがとう御座います」


 「いえいえ、来ていないのですから、感謝なんていりませんよ。では、本当に失礼しますね」


 そう言って、その場を立ち去りました。まあ、予想が出来ていた事です。ご自分が慕う方が、目の前で苦しまれているのです、ましてや、何もするなと言ったのが、私の様な小娘なら尚の事、信じられず、何とかして差し上げようとする事くらい。なので、様子を見に行こうと思っていたのですが正解でした。これで安心して、休む事が出来そうです。

 そうして眠りについた、その翌朝、早く、


 「フェリちゃん、おはよう。本当に言われた通り、とても体が軽いわ。ありがとうね」


 「いえ、レーネ様が頑張られた結果です。私ではなく、ご自身を褒められてください」


 「だそうよ、エマ。貴女も自身を褒めなさい。フェリちゃんへの感謝はしてもいいとは思うけどね」


 「フェリ様、感謝いたします。おかげで、まだまだ現役として王宮で頑張る事が出来そうです」


 「それは、良かったです、エマ様。貴女様から、今後も礼儀作法を教えて頂ける令嬢が続けば、この国のマナーは素晴らしいままだという事ですから」


 「フェリ様ご自身にそう思っていただけて、嬉しく思います。これで遠慮なく指導できますわね」


 「え、私ですか?え~と、私には必要ないかな~なんて?」


 「いえ、是非学んで頂きたいと思います」


 「頑張ってね、フェリちゃん。それと、夜はありがとうね、彼女を諫めてくれて」


 「何の事でしょう、レーネ様。今の今まで、此処で、こうして寝ていましたので、何のことか判りません」


 「そうね、まあ、そういう事で。苦しくて寝れてなかった時に、聞こえた幻聴という事にしておくわ」


 「起きておいででしたのですか?」


 「いいえ~、フェリちゃんと同じで寝ていたわ」


 「はい、お互い寝ていました、ちゃんと」


 「よね。ふふふっ」


 「さあ、お二方とも、早朝からじゃれ合わず、ご準備を。でないと、今日は行けなくなってしまいますよ」


 「まあ、それは大変。早く準備をしてしまいましょう、フェリちゃん」


 「という事は、今日も?」


 「勿論行くわよ、ねえ、エマ」


 「はい、当然かと」


 「なのですね。では、今日も他のメンバーの準備も終わらせてから、表に行きますので、レーネ様もお願いしますね」


 「ええ、素早く済ませるわ。なので、フェリちゃんも、ね」


 「はい、皆さんにも急いでいただきます」


 「では、また後でね~~」


 朝早くからの、レーネ様の襲撃でしたが、元気なお顔を見れて安心しました。ですが、皆と同じで、翌日も、なのですね。まあ、私もRPGのレベル上げよろしく、毎日喜々として通いましたから、気持ちは判りますけどね。なので、今日も皆さんと一日、頑張る事に致しましょ~、お~~。

 楽しく読んでいただけたら幸いです。

 励みにしたいと思いますので、よろしかったら、評価等々頂けたら嬉しいです。でも、くれぐれも酷評は避けてくださいね、お願いします。作者、メンタル紙ですので書く気力が・・・無くなる可能性があるのです。

 読み手様が増えてくれるのを願いたいです~。

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