狩るのです
森での狩りのスタートです。
「あ、あちらの方にそれらしい気配がありますね、早速参りましょうか」
「「は、はい、フェリノア様」」
そう言って、なるべく静かにその場に向かえば、三匹ほどの集団がこちらに気付き、威嚇しています。今にも飛び出しそうなその魔物に、
「えい、っとね。はい拘束終了です」
と、土魔法で四肢を、三匹とも固めてしまい、拘束してしまいました。
「流石はフェリノア様ですね、鮮やかです。こちらに向けて、唸ってはいますが、身動きは取れないみたいですね」
「アマンダさんの言う通りなんだけど、あらためてみると、兎て言っても大きいわね~。普通の犬くらいの大きさはあるんじゃない?春香」
「うん、そうだね。なので、食べ応えあるよ。それに毛皮も売れるしね。良いお小遣いにもなるし、食料にもなるし、強くなれる。うん、一石三鳥だね」
「まあ、言いたい事は判ったけど、どうやって倒すの、春香?」
「フェリノア様みたいな体術は出来ませんわ、私達」
「咲姫ちゃん、アナスタシア様、ちゃんと用意してます。じゃん~、これです」
「また何もないとこから、突然取り出して。それって槍なの?」
「そう。拘束してるんで、剣でもナイフでも行けるんだけど、感触が直に伝わるからね~、最初は無難に、槍か弓でと思って。でも、弓はね~よく考えたら、当てるのに結構修練がいるから、こちらだけにしました。あ、後で練習したいなら的場を作るんで言ってね、弓も渡すから」
「でも、槍なんて使った事もありませんので、上手く倒せるか判りませんわ、フェリノア様」
「なので、最初は私が補助します。後ろから支えて、握り方と、身体の動かし方をサポートしますんで大丈夫です」
「まあ、フェリノア様が?後ろから?」
「はい。で、誰から行きますか?」
「はい、私が参りますわ。私でも出来たならば、皆様も安心でしょうし、フェリノア様と最初に共同作業する事は、他の方には譲れませんわ」
「では、最初はアナスタシア様で。後お二人、順番を決めておいてくださいね。すぐですから。あ、それと心配しなくても、今日中には、一人につき数匹倒してもらいますから、それ程譲り合う必要はないですよ」
「さ、さあ、参りましょうフェリノア様」
「はい、では、初めはゆっくり近づいて、槍の射程の近くまで来たら、敵に向けてこう構えます」
「は、はわわ、フェリノア様が、私の手に、手を添えられてますわ」
「で、体の向きはこうですね」
「ま、まあ、包むように、私ごと身体を動かされるなんて」
「で、そのまま、この形で踏み込んで、急所の喉にドンっと」
「ギューーー」
「はい、これで倒せました。今は拘束して急所を狙えますが、一人で狩りをする時は、身体を狙わないと難しいかもしれませんね。でも、二回三回と突く事になりますので、毛皮の値段が下がります」
「春香、ここに毛皮の値段を気にするメンバーは居ないって」
「そ、そう?大事な事だと思うんだけど」
「フェ、フェリノア様。もう倒してしまったんですか、私」
「はい、お見事でした、アナスタシア様」
「ざ、残念です。もう少しこうしていたかったですわ」
「またすぐ順番が回ってきますので、待っててください、アナスタシア様」
「は、はい、フェリノア様。待っておりますわ」
「どうでした?倒された感覚は、忌避感みたいなのは御座いました?アナスタシア様」
「キャロライン様。それが、意識がフェリノア様にしか向いておりませんでしたので、気付いた時には終わっておりましたわ」
「そ、そうなのですね。では次は私ですので、行ってまいりますわ」
「まあ、次はキャロライン様ですの?」
「ええ、三匹でしたし、アナスタシア様が最初に行かれましたので、皆さんが貴族令嬢三人に先をお譲りなると言われまして。なので、次は私で、その次がカトリーナ様ですわ」
「頑張ってくださいませ、キャロライン様」
「よろしくお願いしますね、フェリノア様」
「はい、宜しくお願いします、キャロライン様。最初は私が補助しますので、身体の力は抜いてて構いません。身体の動かし方を学ぶつもりで頂けたら、それで大丈夫ですから」
「は、はい、判りましたわ。やってみます」
「それでは、アナスタシア様がされたように、槍を構えて」
「は、はい。これで宜しくて?」
「はい。で、体の向きは、半身になるように、こう向けて~、此処で踏み込んで、ドンっです」
「ほ、本当に私を包んだまま動けるのですね、フェリノア様」
「はい、ほら見てください。しっかり倒せましたよ、キャロライン様」
「ほ、本当に私が倒せたのですね。感動ですわ」
「では、次は私ですね。春香、ちゃんと優しく教えなさいよ」
「まかせて、咲姫ちゃん。一人前のハンターにしてあげるから」
「あんたね~、そこまでは言ってないでしょ。それに、それ、違うゲームだから」
「だね。まあ、今日は慣れる為に、気を張らずに楽に行こう」
「ああ、皆の緊張をほぐすための軽口なのね。でも、ちゃんと、教えるのよ」
「了解だよ、咲姫ちゃん」
そう言って、先ずは、三人に最初の魔物討伐の体験をしてもらいました。もう少し怖がったりするかと、思ってたのですが、最初の三人は順調でしたね。残りのメンバーもこうだと良いですね。そうすれば、今日のノルマは楽にこなせるかな。
楽しく読んでいただけたら幸いです。
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