もう直ぐ到着?なのです
期待はつぎに?なのです?え~と、何が期待かは判らないです~。
「お嬢様、本当に素通りしてよかったんですか?」
「大丈夫です、話はつけておきましたから」
辺境伯領都を通り過ぎた場所で最後の休憩を取りつつ、オークランドさんが、そう訊ねて来ました。辺境伯様と、両親に顔を見せないで良いかの確認ですね。
「春香、もうすぐ着くの?」
「はい、咲姫ちゃん。もうすぐ着きますよ、開拓村に。宿泊施設は既に作ってあります、安心してください」
「さっき通り過ぎたのが、ご実家のある領都なのでしょう?それでも結構離れてますのね。もっと近いと思っておりましたわ」
「そうですわね、キャロライン様。私もフェリノア様のお話しを聞いていたので、もっと近いのかと」
「お二人とも、どうしてそうお考えに?」
「あ、カトリーナ様、それはそうでしょう。なにせ、ご本人が五歳の頃から、その足でお出掛けになられていたのでしょう?馬車も使わず。なので、子供の足でも簡単にいける、近場にあるのかと」
「ああ、そうですね。普通ならそう考えますよね、キャロライン様」
「どうかなさいました?お三方」
「いや、春香。領都と開拓村、結構距離があるな~と、皆で話してたとこ」
「そうなの?でも、嘆きの森から魔物が溢れた際の、最終防衛拠点が領都ですので、間近かでは準備すらできませんから、それなりの距離はあけてますよ」
「では、開拓村は相当過酷なのでは?森の傍なのでしょう?」
「その森の調査の為の、冒険者の宿泊施設兼、森がそれ以上広がらない様に、防ぐ意味での開拓村ですから、仕方がありませんよ」
「そうなのですね。それでも大変なのには変わり在りませんわね」
「ええ、ですので、村長をしている方は、領都の当時の兵士長ですから」
「え?そうなの?」
「はい、村人を護衛する意味を兼ねて、兵士たちと少数での移住でしたので、弱い者では意味がないと、本人がそう言って都を出たそうです。なので、開拓村の人達から慕われてまして、いつの間にか村長にされていたと、そう言ってました、リリが」
「リリシアさんが?」
「ええ、彼の娘ですから」
「「「ええ~~?」」」
「当然です。お嬢様に仕えるのは、村の代表の娘である、私以外にはありえません」
「と言う感じで、押しかけ侍女をして頂いてます。でも実際、心強かったです、一緒にいてくれて」
「お嬢様~、ありがとう御座います。そう言っていただけて、嬉しいです」
「でも、フェリノア様にはお姉様がいらっしゃるのでしょう?そちらにはお仕えしないのですか?」
「愚問ですね。村でそれを問えば、鼻で笑われてしまいます。誰があのような方々に仕えるかと。その点お嬢様は競争率が高かったです。男女問わず、子供達が希望しましたから。ですが、全て蹴散らしてやりましたとも」
「そうなのね、リリシアさん。楽しそうな話なので、もっと聞きたいわ。特にフェリノア様の小さい頃のお話しとか?」
「「「ですよね、アマンダさん」」」
「ええ、構いません。宿泊場所について、時間が出来る夜にでも、お話しさせて頂きます」
「「「楽しみです、リリシアさん」」」
「余り変な事は話さないでね、リリ」
「お嬢様のお話しに、変な事など御座いません。初めてお会いした時の格好以外は。あ、後あの変な体操も」
「何を言ってるの、全然変じゃないでしょう、リリ」
「はっはっはっ、楽しそうなお話しですな、当時のお嬢様ですか、ですがそれは後程に。もうそろそろ出発しますよ、お嬢様方。と言っても、もう、そう時間も掛からず到着しますがね、開拓村」
「どんな所でしょうね?今までの道程からして、のどかな景色の処かしら?」
「なにもなさそうなイメージですよね、辺境の開拓村って」
「それは、見られてからのお楽しみですな、では、馬車に乗り込んでください、皆さん」
「「「はい、オークランド様」」」
「父に~様は~要りません~、ね、フェリ様~~」
「私達はそうかもしれませんが、皆様は初めてお会いするので、仕方ないと思いますよ、マリエラさん」
「「「あ、商会のご令嬢でした、マリエラ様」」」
「忘れていたのですか?皆さん」
「はい。なにせ、いつも放課後、部室に来ては、フェリノア様の傍で、うっとりしてあるだけですから」
「それが一番大事な事なのです。皆さんもいずれ判ります。一時も逃さず、フェリノア様を記憶する大切さが」
「余り変な事は言わないでね、マリエラさん」
「はいです~、フェリ様~~」
「相変わらず、お嬢様相手だと態度が違うわね、マリエラさん」
「当然ではないですか、リリシアさん」
「まあ、貴女の存在は否定しますが、その意見には賛成ですね」
「「「賛成なんだ、リリシアさん」」」
「春香、幼馴染二人、いつもこんな感じ?」
「そうだよ、咲姫ちゃん。小さい時からこんな感じ。賑やかで良いでしょう」
「そう思うのね、春香は。まあ、あんたが一番変わっているからね」
「え、何を言ってるの、咲姫ちゃん。私は全然普通の女の子です」
「「「・・・・」」」
「何で皆、無言になるのです?」
行きの旅の終わりの、休憩時間、そんな事を話しながら、皆で過ごすのでした。さあ、目的地です。皆驚くかな?
楽しく読んでいただけたら幸いです。
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