幼馴染の登場です
主人公が自由人です。作者も・・・申し訳ないです。
「ふわぁ~、通りに並ぶ露店も立ち並ぶお店も、とても賑やか。お祭りでもあってるみたいね、ねリリ」
「人も多くて、呼び込みの声も賑やかで、本当にそうですね、お嬢様」
お店を出た後、私達はエミリア様の案内で商店街に来ています。
片田舎で生活していた私やリリは、数ヶ月に一度、辺境伯様の御厚意により来ていただいている商隊を村の住人共々とても楽しみにしていました。
人の生活に欠かせない塩や、繕いはしているものの、綻れてしまう作業服など中古の品ではありますが、皆競って選んでいました。他にも調理器具や生活用品など、この日ばかりはと、財布のひもを緩めていたものです。
私が村に顔を出す様になった頃には、大人達もたまの贅沢とお酒などを皆で少量購入したり、子供達も珍しい玩具などが有れば、守らない約束ですがお手伝いをするからと、おねだりもしていました。仕方なさそうに買い与えている親達の顔が思い浮かびます。
そんな思い出の光景よりも賑やかなこの景色が、この街ではただの日常だと思うと、凄いと感じてしまいました。前世で言う交通網も電気や機械の力はなく、道具も人力で作り上げてるのです。一種の感動です。まぁ魔法は有るのですが、ね。
「魔道具屋、雑貨屋、薬屋、最後には食料品を扱うお店も行きたいですわね。エミリア様、調味料なんかは食料品店に一緒に売ってあるのでしょうか?」
「お店の規模によりますわね。やはり小さなお店だと貴重で高額な調味料は扱いづらい商品の様です。ですが、丁度私がご案内しようとしているお店ならば扱っていると思いますわ。フェリ様が寮に入られた時、少しお話した女子生徒の関係するお店でして」
「確か伺ったのは、今は王都から通ってらっしゃる二年生の方ですわね」
「そうなのです。まだ詳しく事情をお伺いしておりませんので、フェリ様がお買い物をされている間にお話しできたらと」
「それなら大丈夫です、エミリア様。お嬢様は食材選びに関しては妥協はされませんので、お時間はかなり掛かると思いますので」
「ならばリリの分は時間短縮の為、手を抜いて探しましょう」
「そんな~あんまりです、お嬢様」
「冗談ですよ。二人の分を分けて購入などしませんから。安心してください」
「はい。美味しいお料理お待ちしております」
「あの、フェリ様は料理をされるのですか?リリシア様という従者がいらっしゃるのに?」
「エミリア様、家庭料理で普段食べる様な物なら私も少しは出来ますが、お嬢様の作られる料理は別物です。絶品ですごくおいしいのです。同じ場所で手に入る食材で作られてるのに、私が作ると食材が可哀想と思えるくらい味が違います。これもお嬢様の才能なのだと」
「そんなにですか、リリシア様」
「はい、そんなにですエミリア様」
「それ程言われる料理ならば私も一度味わってみたいですわね」
「大丈夫です、お嬢様は一緒に生活している方をのけ者にされる方ではありません。きっとお呼びしてくださいます」
「リリの分を減らそうかしら」
「そんな~、また意地悪を。お願いします、お嬢様」
「はい、判りました。何時とは今は断言できませんがお作りさせて頂きます」
「やりました、エミリア様。期待して待ちましょう」
「お二人は本当に仲が宜しいですわね。それで、行きたいお店なのだけど、それぞれなるべく信用できる大きなお店を案内させてもらいますわね」
「それは大変助かります。王都の品揃えと売れ筋が判れば作る時に助かりますので」
「あの・・・フェリ様。また不穏な声が聞こえたのですが。魔道具も薬も雑貨もお作りになるのですか?料理だけが趣味でなく。売れる程のものを?」
「お嬢様は多趣味です。本来は村を開拓する際でた色々な素材を無駄にしない為の工夫の様でした。が最後には商品が良すぎて、商隊の商人が挙って競い合い購入していましたから」
「魔法だけでなく、商品も・・・また後でご報告しないと・・・」
「エミリア様、どうしました?小声で何か囁かれておりましたが」
「いえ、何でもありませんわ、リリシア様。では商店巡りに参りましょう」
魔道具店ではブローチの台座と似合いそうな輝石を、雑貨屋では色々な作成に必要な小道具を自作を諦め購入して、薬屋では小瓶を大量に購入しました。
それで最後に案内された食料品店に辿り着いたのです。が、
「お嬢様、あの方の気配がします。退散しましょう」
「オークランド商会・・・」
「お二方ともこのお店をご存じなのですか?今、王都でも一番大きな商会で、北の国との貿易の許可も持っておられるので、珍しい商品も多数そろえられてる事で有名になられたのですが。でもここ数年なのです、ここまで大きくなったのは。元は辺境の・・・そう言えば王都にお店を構えていらっしゃるのに本店はいまだ辺境伯領・・・」
「あ~、フェリさま~~~。お久しゅうございます~。リリさんどきなさい」
「近寄るんじゃありません、マリエラさん。お嬢様が汚れます。抱きつこうとしないで下さい」
「お久しぶりです、マリエラさん。リリ大丈夫です、結界を張りました」
「あう、抱きつけません、悲しいです。フェリさま~解除を」
「抱きつく癖を改めたら、張らないようにします」
「あの~、お三方ともお知り合いなのでしょうか?この方が寮に入りたいと仰っていらした、マリエラ・オークランド様なのですが」
「この二人とは小さい頃からの知り合い、幼馴染です。だから一緒に生活する為、寮に入らせてください、エミリア様」
「侍女としてお嬢様をお守りする為、進言します。断りましょう、エミリア様」
「では、結界を張りつつ勝手に商品を見ておりますので、お話を聞くのはお願いします、エミリア様」
「関係性が判りません。何処から聞いたらいいのか。お嫌いなのですか?」
「「嫌いではありません」」
「フェリさま大好きです」
「マリエラ様、大体今までの会話で判りましたが、もう少し具体的に話を聞かせてください。場所を移しましょう」
「では中の応接室を使いましょ~、うちの商会でフェリさま相手なら誰も反対しませんから。むしろ招かないとお小言が来ます。さあ、どうぞ」
という事で、全員で一旦応接室へと向かうのでした。またまた心が・・・疲れそうです。
楽しく読んでいただけたら幸いです。




