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魔法少女グレイプニル! 〜正義の魔法少女になれない私は、魔法少女を助ける為に暗躍します〜  作者: 鈍色錆色
第二編 Bルート 愛と花

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第五十話

「佐藤さん、入部してくれてありがとう。それでね、この後少し時間あるかな? 話したいことがあるんだけど」



 いや


 いやいやいやいや…………あっぶねぇ、勘違いするところだった。


 初対面で先輩に変なことを言ってしまった私。

 しかしあれから一週間も経っている。そのことじゃないはずだ。


 そうきっとこんな感じだろう。


『入部おめでとう佐藤さん! これから君の入部を祝して歓迎会をやるぞ!』

『やったぜ!』

『君は我が部期待のルーキーだ! これからも私と共に頑張ろう!』

『はい!』


 …………うん、間違いない。コレだ。


 私はウキウキしながら部活の時間が終わるのを待った。


 □ □ □



「佐藤さん、君この前『あなたは魔法少女ですか?』って聞いてきたよね」


 ぱりんっと、私の幻想は薄氷の様に打ち砕かれた。

 思わず膝から崩れ落ちる


「? 大丈夫佐藤さん」

「はい、ちょっとまた自意識過剰を自覚しただけですから」


 魔法少女時代に培われた傲慢と甘い想定をする癖はまだ抜けきっていないらしい。


「? まぁいいか。その時からずっと気になってたんだけどさ…………」


 まずい。


 今度は間違えない様にしよう。相手に魔法少女かどうか聞いてしまった私に、先輩は何を言う?


「君…………もしかしてさ」


 だめだ! 言われる!? 


 白銀先輩は懐に手を伸ばし、何かを取り出そうとしている。


 まさか、私が魔法少女であると、すでに何かしらの証拠があるのか? もしかして、それを探すためにこんなに間が空いていたのだろうか。


 私の額を、緊張の汗が伝った。


「君はもしかして、『超越魔法少女』シリーズのファンなんじゃないか!?」


 は?



 思考が、止まる。

 白銀先輩は、懐からファンシーなステッキを取り出していた。


「初めて会った時、このステッキを持っている私を見て、『あなたは魔法少女ですか』って、『超越魔法少女ネカト』一話のシーンを再現してでしょう! その時から、ずっと貴方と話したかったの!」


 ???


 違う


 というかあの時はテンパっててステッキを持っていることに気づかなかった。


『超越魔法少女』とか知らない。名前は知っているけど見たことない。父親の方針でアニメは見なかった。


 というか初対面でアニメシーンの掛け合いを仕掛ける人間が何処にいるのか。


 そんな思考が頭の中を駆け巡るが、結論はただ一つ。


「はい、大ファンなんですよ」


 そう思ってくれれば、都合がいいや。


 その後、超越魔法少女の話をふっかけてくる先輩の追撃をなんとか誤魔化して、家に帰った私は、玲さんに頼んでこっそり超越魔法少女のDVDを取り寄せた。


 □ □ □


「『重力(グラビティ)』。次、上に参りますわよ」


 ポーン♪


「ほいっと」

「ふふん」

「くっ…………」


 飛行訓練、最終日。


 初日から対応して見せたアニスはもちろん、クラウンも得意げに対応してみせる。


 だが、いまだにクタラガだけは対応出来ずにいた。結局、ニアスにも、パレードにもコツを聞く事はなく、一人で修練した結果である。


 天才(ニアス)に出来たのだから、自分にも出来る。


 それが、クタラガの致命的な勘違いである。凡人が天才に追いつくには、手段を選んではいけなかった。


「今日の訓練はここまで、ですわね」


 訓練終了後、クタラガはひとりグラウンドに取り残されていた。

 いじけた訳ではなく、単純に全身の打撲と強い疲労からその場から動けずにいたのだ。


 既にニアス達もいなくなり、たったひとりで横たわるのみ。

 そんな彼女に、一人の魔法少女が近づく。

 初日に指導した魔法少女『アルギア』である。


「久しぶりだね。クタラガ」

「お前は……」

「こうやって君とボクがちゃんと話すのは初めてだね」


 初対面ではクタラガが喧嘩を売り、アルギアがそれを買って即座に気絶させた。


「……笑いに来たのかよ。大口叩いて無様晒している俺を」

「いやいや、新人だとそういうのはよくあることだからね。ボクは気にしてないよ」

「じゃあ、何しに来たんだよ」

「君は、魔法少女を辞めろ。君は非戦闘員組を志望した方がいい」


 アルギアの提案。それは、決して悪意からくるものではない。それは、声色や表情からクタラガにも伝わった。


「ふざけるな。俺は魔法少女にならなきゃいけねぇんだよ!」


 だからこそ、その発言はクタラガの逆鱗に触れる。


「俺は魔法少女に、誰よりも強い魔法少女になるんだ!」

「向いてない。無駄に死ぬだけだろうね。諦めろ」

「才能が、無くとも、俺は――」

「違う。才能が無いんじゃない。向いてないんだよ」

「向いて、いない…………?」

「性格からして向いていない。君みたいな魔法少女もどきを沢山見てきたよ。傲慢で、周りに頼らず、才能もない。そんな出来損ないをたーくさん」


 ぐしぐしと、アルギアはクタラガの頭を踏みつけにする。


「ほんと、何ができるんだよ。お前らは。他人の足を引っ張って、引きづりおろして、勝ち誇って…………それでも最後には絶対死ぬもんなぁ」

「くっ…………足をどけろ」

「口の利き方がなってないなぁ。どけてください、だろ!」


 アルギアは足を退けると同時に、クタラガの鳩尾を爪先で蹴り抜く。


「がはっ!」

「今月末に君たちを実際の任務に連れて行く演習がある。その後で改めて今後の希望を聞かれるだろう。君は、そこで非戦闘員組を希望しろ」


 言いたいことを言い終えたアルギアは、クタラガの返事も聞かずにその場から立ち去った。


「…………くそっ! くそっ! くそがぁ!!」


 後に残されたクタラガにできることは、ただその場で地面を殴りつけることだけだった。

豆設定

割と忙しいWhiteのメンツがわざわざ新人指導をするのは、もしクタラガのような性格かつちゃんと才能もある魔法少女が襲いかかってきても無傷で返り討ちにできるだろうという判断の為。

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