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魔法少女グレイプニル! 〜正義の魔法少女になれない私は、魔法少女を助ける為に暗躍します〜  作者: 鈍色錆色
第一編 Aルート 斬撃と蟻

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第四十四話

「苗、先に救急車に乗っといてくれ。後ですぐに『飛行』で追いつくから」

「うむ、任せろ」


 クラウンと救急隊、そして瀕死のダムドを見送った後、ゴッズだけがその場に残った。


「気絶したフリはもういいだろ。さっさと出てこいよ」

「クク、流石に見逃しちゃくれねぇか」


 ゴッズが声をかけたのは、崩落した天井の瓦礫の山の一角。

 その一角から、銀色の腕が飛び出し、瓦礫を吹き飛ばしながら巨体が這い上がる。


「あわよくば、このままスルーして欲しかったんだがなぁ。ま、しゃーねーか」

「…………お前、そんなキャラクターだったか?」


 首の骨をゴキゴキとならした銀騎士が立ち上がる。


「気にすんな、フリじゃなくて本当に気絶しちまったんだよ、()()()()

「二重人格の真似事か? 生憎、厨二病キャラは間に合ってんだよ」

「クク……だからここで俺を倒すつもりか?」


 楽しそうに拳を構えた銀騎士を、ゴッズは冷めた目で見つめる。


「いいや、お前とは戦わない」

「あ? なんでだよ」

「学園はこの件から手を引いた。もうそろそろWhiteの『最優』が来て、ここら一体のいざこざを()()()()()()()()ことにするだろう。いや、もう来ていても不思議じゃない時間だ」


 その最優がすでに殺されているという可能性に、当然ゴッズは思い至らない。

 最優の強さとその万能性を、ゴッズはよく知っている。


「あれは結構雑な女だ。こんな場所で戦闘してたら、丸ごと領域に包まれて『巻き戻し』に巻き込まれて死にかねない。だから…………」


 すっ、と。銀騎士に指を突きつける。


「お前の正体や所属はこの際どうでもいい。お前がここに来た目的だけ教えろ」

「かわいそうな、売られちまった女の子助けるのは、理由になんねーか?」

「茶化すな、殺すぞ」

「リアルに、第一目標はそれなんだがな……第二目標は『リスト』だ」

「なるほど、あの文書のコピーか」

「これで、見逃してくれるのか?」

「あぁ、次にあった時は殺す」

「そうかい」


 銀騎士は悠々と広い空に飛び立ち、あっという間に逃げていった。


「『リスト』が実在していたとはな。充分な収穫だ。この成果でなんとか、ダムドの命令違反分の罰を軽くできるか」


 ゴッズは既に信じている、確信している。

 友人が、死の淵から戻ってくることを。


「はぁ、本当に久しぶりの再会を台無しにしやがって……」


 忌々しそうに、ゴッズはため息をついた。


 □ □ □


「おはようございます」

「あ……貴方は?」


 とある廃ビルのなかで、男は全身黒装束の女に担がれていた。

 女の名は、アルドレアルフス。裏組織『闇市』のメンバーである。


「この度は、取り引きにおける重大な不手際により、多くの不自由、不利益を生み出してしまったことを謝罪させていただきます」

「あっ……はい」


 アンドレアルフスは深く頭を下げて、男に謝意を示す。

 男はとあるオークションに参加し、商品を高額で落札した。

 否、させられたにも関わらず、商品を受け取れず、殴り飛ばされ、挙げ句の果てに瓦礫に押しつぶされて死にかけた。


 その補償として、オークションの管理人である『闇市』が直々に出向き、謝意を伝える。


「まずは、コチラを」


 アンドレアルフスは恭しく、本来取り引きに使われる筈の小切手を手渡しする。

 男はそれを見た瞬間、それまでの記憶がフラッシュバックしたかのように、苦虫を噛み潰したような顔をした。

 衝動的に小切手を破り捨てようとしたその手を、アンドレアルフスが掴んで止める。


「それでは、今回の補償についてですが。実は此方も出せる物はそう多くありません。不統合同盟や墓場の方にも賠償としての金が必要でして」

「それで、ま、まさかこの金を返せと言うつもりか?」

「いえいえとんでもございません。ただ、貴方に特別に買ってもらいたい商品がありまして」

「は、はぁ!? な、なに無茶苦茶言ってるんだよ! あ、あんたも俺を舐めて、馬鹿にしているのか!?」

「そのようなことは決してございません。今回、『闇市』の顧客の中でも、選びに選び抜かれた極一部の方にのみお渡ししている、特別な商品をご紹介させていただきます」

「! そ、それって……ほ、本当にあるのか! 闇市の『裏カタログ』が!?」


 思わず、男は目を乗り出す。


『裏カタログ』


 それは、闇市に関する噂であり、都市伝説。

 あらゆる欲望が煮詰められた、黒い一冊。


「本来ならお金で買える物では無いのですが、今回は特別に、その小切手と交換させていただきます」

「ほ、本当か!?」


 ゴクリ、と男の喉が鳴る。もし噂通りの一冊なら、そのチカラは世界をも動かす。


「か、買う! 買わせてくれ!」

「はい、毎度ありがとうございます。この場でのご注文も可能ですよ」


 男は小切手を渡し、重厚な革表紙の本を受け取った。


 その場でパラパラとめくる。


『好きな人を三人暗殺!』『幻のフルコース』『ステルス戦闘機』『海外旅行』『好きな人を二人人奴隷にする権利』『伝説の玩具詰め合わせ』『核ミサイル二発』『人類を終わらせる権利』『好きな政治家を十人当選させる権利』『孫の代まで裕福な生活を保証!』


 くだらない物からあり得ないものまで、多種多様な贅沢の極みがそこにはあった。

 男は急いで『魔法少女』の項目を探す。


『好きな魔法少女を暗殺!』『魔法少女の秘密をぶっちゃけた本』『マスコットの秘密をぶっちゃけた本』『魔法の裏技を完全解説』『伝説の超越魔法少女の五体フルセット』『魔法少女五体パーツフルセット十人前(細やかな解説付き)』


 その中で、男の目に止まったのはたった一つ。


『お好きな魔法少女誘拐します。(傷なし、オプション付き)』


 男は思わず、自分の最も好きな魔法少女の名前を口に出していた。


「これ…………Whiteの魔法少女『メジアン』でもお願いできますか?」

「はい。もちろん」


 闇市は全てを知っている。

豆設定

『好きな人を三人暗殺!』と『好きな魔法少女を暗殺!』とで分けられているのは、闇市や多くの裏組織で魔法少女は『商品』か『怪物』として扱われる為。

かつて魔法少女を所詮少女と侮って潰れた組織がいくつもあったらしい。

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