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魔法少女グレイプニル! 〜正義の魔法少女になれない私は、魔法少女を助ける為に暗躍します〜  作者: 鈍色錆色
第一編 Aルート 斬撃と蟻

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第四十二話

 俺は、家族が嫌いだ。

 けど、最初から嫌いだった訳じゃ無い。


 母が死んだ後、父は義母(あの女)から逃げ、俺たちを見捨てた。


 そしてもう一人、俺のことを見捨てた家族がいる。


 俺の姉だった女。最初は俺と同じく、母親から暴力を受けていた。

 なのに、ある日突然俺を置いて家を出て行った。


 姉が家を出た時、リビングには『必ず迎えに戻る』とだけ書き置きが残されていた。

 もし見つけていたのが私ではなく義母であったなら、と思うと背筋が凍る思いだった。


 暴力を振るう対象が減ったことで、義母から俺への当たりはかなり強くなった。


 俺は、待った。必ず戻るという姉の言葉を信じて耐え続けた。それだけが俺の希望だった。




 そして姉が迎えにくる前に、俺は義母を殺した。



 正確には、先に俺を殺そうとしたのはあの女だが、俺にとって重要なのはそこではない。俺は、姉をもう待つ必要が無くなったこと。そして、おそらく姉はもう迎えになど来ないということ。


 義母の葬式に出席したのは、俺と、茫然自失状態の父のみ。

 義母の葬式に姉は来なかった。仮にも家族、呼ばれなかった筈はない。ならば、姉は自分の意思で俺を捨てたのだろう。


 夢から覚めた様な、しがらみが解けた様な気分だった。


 俺は自由と力を手にして暴れ、捕まり、気づけば裏組織にいた。

 下っ端として働いて、殺して、殺して、初めて魔法少女を殺して、俺は墓場の幹部にまでなっていた。

 俺は炎城と名乗り、その名が定着した頃、ふと考えてしまった。


 姉はどこで何をしているのだろう、と。


 別に心配になったとか、今更恨みを晴らそうと思ったわけじゃない。


 俺にとって姉のことはすでに過去、片手間に調べられる、力ある立場になったから調べ始めただけのことだ。

 すぐに、姉の行方は分かった。



 姉は、とっくの昔に死んでいた。自殺だった。



 脳の奥がじりじりと痺れる。姉は、魔法少女になっていた。否、魔法少女になったからこそ家を出たのだ。

 その魔法が強力であったが為に学園の直属のチーム『Blue』に半ば強制的に所属させられた。

 そしてある日、敵の怪異から特殊な『呪い』を受けた事が原因で、同じチームの中でいじめが発生。


 同じ学園直属チームのWhiteとは違い、Blueは遠征組織。

 大人の手が入らない、少女だけの独立したグループであるが故に、誰にも止められる事はなく、姉は壊された。


 同時に、理解する。

 日付から逆算して、姉が死んだその後で、義母は俺を殺そうとした筈だ。


 ()()()()()()()()()()()()。 


 父がなぜ、愛していなかった筈の義母の葬式でやつれていたのか。

 二連続だったのだ。その余りにむごい遺体の状態からか、俺に知らされなかったが、義母と父は姉の葬式に出ていた。

 そう、流石に父も葬式では義母を避ける事はできなかった。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 父に会う為に。


 姉は義母の葬式に来なかったんじゃない。もうその時には死んでいたのだ。


 かつて解けた筈のしがらみが、もう一度形を変えて俺を縛る。


 頭の中で、何度も何度もくだらない考えがリフレインする。


 魔法少女に選ばれなければ、姉はずっと共にいてくれたんじゃないのか?


 魔法少女に選ばれなければ、姉はずっと生きていられたんじゃないのか?


 姉を殺したのは『呪い』を付けた怪異ではなく、いじめた他の魔法少女じゃないのか



 俺は魔法少女が嫌いだ。

 特定の魔法少女が嫌いなんじゃない。きっと、魔法少女っていうシステムそのものが嫌いなんだ。


 だから、最後に言う言葉もそれでいい。


「俺は、魔法少女が嫌いだ」


 □ □ □


「『領域拡大、範囲指定、対象捕捉』」


 ハイエンドの周囲を浮かぶ領域の一つが、炎城に近づき、巨大化してその身体を完全に包み込む。


「『巻き戻し、十分前』」


 そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 十分前、炎城はそこにいなかった。当然、領域の中から炎城は消え去る。


 こうしていとも容易く、炎城は時間の矛盾に巻き込まれて死んだ。


 死体すら残らないそれは、およそ人間の死に方ではない。

 攻撃力が高いという次元ではない。対処不能、防御不能の絶対即死。


 これが『最優』の魔法少女、ハイエンド


 □ □ □


「分からないな」


 思わず、ハイエンドはつぶやいた。


「ただの人間が、魔法少女に勝てるわけないのに。頑張って鍛えても、意味なんて無いのに。それに、あんな無意味な遺言を残すなんて」


 それは、侮辱ではなく。また、悪意による言葉でも無い。

 ハイエンドには、本当にわからなかったのだ。


 なぜ、炎城が戦ってこれたのかを 


「そりゃ、おぬしにはわからんじゃろな」


 だが、その独り言に、返答があった。

 その声の主は、いつのまにかビルの入り口に立っていた。

 巫女服のコスチューム。鎖で繋がれた二刀。黒いマフラーをした、魔法少女


「不統合同盟所属魔法少女『メタルシップ』…………おぬしを殺しにきたぞ」




 エクストラマッチ成立


『不統合同盟』魔法少女メタルシップ

 対

『学園最優』魔法少女ハイエンド


豆設定

ハイエンドの領域内時間停止による空気の盾は、一応『イージス』という名前がある必殺技である。

ちなみに、必殺技の定義は

①魔法を使った技であること

②それ一つで勝敗や生死を覆すほどの力を持つ強力な技であること


である。故に『浸透順転拳』は威力は必殺級でも必殺技扱いされず、使いづらくても『スカイリッパー』は必殺技として扱う



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