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魔法少女グレイプニル! 〜正義の魔法少女になれない私だけど、魔法少女を助ける為に暗躍します〜  作者: 鈍色錆色
第一編 Aルート 斬撃と蟻

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第三十九話

 そもそも、今回のこの騒動。中心にいたのはどの組織か。 


 出品者たる『墓場』か?

 護衛たる『不統合同盟』か?

 はたまた『魔法少女学園』か?


 どれも違う。


 この騒動の真ん中にいるのは、この騒動を取り仕切っていた、オークションの開催者。


 すなわち『闇市(やみいち)』である。


 □ □ □


「こんにちは」


 その女は、普通に現れた。


 黒い衣装で身を包み、顔にまで黒子のように黒い布をかけた女は、普通に階段を登って、このフロアまでやってきた。


 その割に、息を切らせた様子も、汗をかいた様子もない。


「誰だ?」


 挨拶を無視したゴッズを、不敬と言うことはできない。ここにいる大人という時点で、ゴッズにとっては敵だ。


 大人。魔法少女のコスチュームのように奇抜な格好をしているが、ピンと伸びた背筋と醸し出す雰囲気が、明らかに少女のものではない。


 少女ではない、女。

 女は、口を開く。


「初めまして、私『闇市』所属の仲介人。かつての名を、『モード』」


 ゴッズの殺気を正面から受け流し、女は淡々と自己紹介を続ける。


「今の名を、『アンドレアルフス』と申します。以後お見知り置きを」


 二つの名前を同時に名乗るという、相手に全く配慮しない女――アンドレアルフスは、深々と頭を下げた。


「『闇市』」


 ゴッズは目の前の敵の所属を確認した。クラウンはまだアンドレアルフスを敵と認識できていない。


「ふっ、初めまして。私の名はクラウン! 魔法少女クラウンだ! 助けて!」


 正確には、クラウンはそもそも敵と認識する気はなかった。他の大人を軽視する魔法少女と違い、彼女は大人を、もしくは他の人間を頼ろうとする。

 そして、それは誘拐された自分のためではなく、今なお気を失っている友達のための助けて(救援要請)だった。


「無駄だよ、苗。コイツが119を押すタイプの人間に見えるのか? 黒子装束だぞ? どう見ても110押される側の人間だ」

「救急車なら呼んでいますよ?」

「ッ…………」


 呼んでんのかよ! と思わず、ツッコミを入れようとしたゴッズはギリギリで踏みとどまった。

 ここで自分までシリアスを捨てることはできない。


「それで、用件はなんだ? 通報が用件なら見逃してやるから今すぐ立ち去れ」

「今日私がここに来たのは、商談の為です」

「商談? 闇市らしいが、誰と商談するつもりだ?」

「はい、今回のオークションは失敗に終わりました。どんな理由であれ、これは私たち闇市の不手際。そこで今回は――――」


 そこで初めて、アンドレアルフスは頭を上げた。


「この場の全員に対し、こちらから損害賠償を支払わせていただきます」

「なるほど……つまり、『お前らの望むものを用意してやるから丸く納めろ』と?」

「はい、まずは魔法少女学園様にお話を通させていただきました。」


 アンドレアルフスは懐から通話状態のスマートフォンを取り出し、ゴッズへ投げ渡した。

 空中のソレを受け取ったゴッズが警戒しながら耳に当てる。


「誰だ?」

『私だ』

「っ! 学園長(クソババァ)、テメェ闇市と繋がってた訳じゃねぇよな」

『当然、手を結んだつもりはない。だが、学園はこの件から手を引く。』

「…………それが、手を結んだって言うんじゃねーのか? あぁ!?」

『それは違う。あくまで取引だ。とある情報と引き換えにこの件からは手を引く。それ以上でも以下でもない』

「情報だぁ?」

『オマエが知る必要はない』


 その言葉を最後に、電話はプツリと切れてしまった。思わず、ゴッズはスマートフォンを握り潰す。

 パラパラとゴッズの手から溢れる残骸を見つめながら、アンドレアルフスは悲しそうな顔をした。私物だったのかもしれない。

 ゴッズはそんなアンドレアルフスを睨み付ける。その目から敵意の光は消えていなかった。


「学園が手を引くとしても、俺に手を引けと言った訳じゃねぇ。俺個人でオマエを相手取ることはできる」

「はい、ですのでゴッズ様には別の報酬を用意してます」


 アンドレアルフスは再び懐に手を突っ込むと、アタッシュケースを引き抜いた。

 明らかに、懐に入る大きさではない。


「待て待て待て、今のどうやった?」

「私、体に色々と仕込むのが得意でして」

「いや、そう言うレベルじゃねぇだろ。四次元なポケットでも持ってないとありぇねぇだろ」

「大袈裟ですね、ただの手品です。さて、こちらですが」


 大きく開いたそのスーツケースの中には、輸血用血液やピンセット、縫合糸や消毒液などの専門的な医療セットが入っていた。

 ご丁寧に、使用方法が細かく載ったマニュアルまで付いている。


「あちらの方、誤魔化しているようですけど、このままじゃ救急車がくる前に死んじゃいますよ?」


 それを聞いた直後、ゴッズは駆け出していた。アンドレアルフスの手からケースをひったくり、ダムドの元へと駆けつける。

 さらに再変身を行い、『獅子』から『絶対(アブソリティー)』へ、固有魔法を切り替える。


「毎度ありがとうございます。それでは次に――」


 アンドレアルフスの黒い布の奥の瞳が、クラウンを捉えた。

豆設定

ゴッズは『絶対』の効果を期待して再変身を行ったが、この様な場合『絶対』は発動しない。

ゴッズは最低限の医療知識を持っており、応急処置が完全なもので無いと自覚しているからである。

逆にもし、ゴッズがアホで応急処置したけばとりあえず命は助かると勘違いしていれば、『絶対』は発動し、ダムドの生存は確定する。

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