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魔法少女グレイプニル! 〜正義の魔法少女になれない私は、魔法少女を助ける為に暗躍します〜  作者: 鈍色錆色
第一編 Aルート 斬撃と蟻

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第三十一話

 やっべぇです。


 認めましょう。正直言って、私は自分の力に酔っていたんだと思います。


 つい先日まで魔法少女に憧れるただの女の子で、闘いなんて知りませんでした。

 そんな私が、大人の、それも裏組織の軍勢を相手に八面六臂の大活躍。

 弾丸すら弾くこの鎧は無敵だと、そう感じてしまうのも我ながら無理からぬことだと思います。


 しかし、その酔いは今覚めました。


 体の中心がグラグラします。骨も、多分折れているでしょう。どこの骨かは分かりませんが。

 パラメデスさんは私を殺せる。認識しました。

 同時に、少し、ほんの少しだけ楽しくもなって来ましたね。


 さて、どう勝ちましょうか?


『やはり、()()があったか』


 ボソリと、今度は私にも聞こえない声で、ガノンさんが何かを呟きました。


 その呟きをおきざりにして、私は一歩、パラメデスさんの方へ踏み込みます。



 □ □ □



 実のところ、最初の一発が通じたのはパラメデスにとっても予想外のことであった。

『順転拳』その正式名称を『浸透順転拳』という。


 その特徴は、()()()()()()()()、そして()()である。


 インパクトの長さ、とはその名の通り、拳が触れてから離れるまでの長さのことである。順転拳のそれは、他の拳と違い、異様に長い。

 殴るではなく、むしろ相手に体重をかけ、拳を押し込む様なイメージで放たれるそれは、衝撃を通常の打撃よりも深く叩き込む。


 重心をほとんど預ける技、故に放った後で一瞬の膠着がある。


 回転、というのもその名の通り、拳に乗せる回転の事だ。ただし、尋常のものではない。

 通常、渾身の拳を放つ時には、まず渾身の踏み込みから始まり地面から伝わるその衝撃を相手に伝わる様に、拳に乗せる。

 順転拳は、その流れに沿って回転を()()()()()のだ。


 踏み込んだ右足の足首の関節を左回転、そこから始まり次は膝関節、股関節、腰関節、背骨関節、肩関節、肘関節、そして最後に手首の関節を左回転。


 そうやって少しずつ、衝撃に回転を加え、衝撃にドリルの様な貫通性を付与する。


 全身の関節を酷使するため、体に大きな負担がかかる。


『浸透順転拳』は、決して連続で使える様な都合のいい鎧通しではなく、むしろ諸刃に近いデメリットと威力を兼ね備えている。


 予想外であったのは、突如現れた甲冑の魔法少女が順転拳を避けなかった事。そして、その後に発生した隙間で見逃した事。


 更なる予想外として、自身の持つ奥義の一つとも言える順転権をもろに喰らって、目の前の相手が死んでいない事であった。

 つまりは、他の技ではろくなダメージも期待できないとい。

 前述の通り、順転拳には回数制限がある。


 パラメデスが放てる奥義は、残り二回。


 パラメデスは、この限られた弾数の奥義を確実に当てなければならない。


「は、ははは」


 思わず、その口から笑みが溢れる。


「上等です」


 銀騎士が一歩、その歩みを進めると同時に、パラメデスもまた()()()()()()()()()


「『(ウルフ)』 半人半獣」


 魔法番号24番 (ウルフ)

 狼化する魔法。嗅覚をはじめとする感覚機能の強化と、身体能力の強化をもたらす。


 パラメデスの表情が、瞬間的に凶暴な獣のものに、更にそれが輪郭や骨格ごと歪んで凶暴な狼のソレになる。

 同時に、コスチュームを上から包み込む様にして、全身から長い獣の毛が生え揃った。


 その様相は物語の狼男、否、狼女とでも言うべきだろうか。


「ぐ、るるるる」


 声帯すら変化し、もはや人間の言葉は喋れない。ただ、その脳味噌だけは肥大化した本能の海で、確かに人間の理性を保持したままでいた。


 対する銀騎士はただ一言


(ソード)


 獣を狩る刃を装備した。



 □ □ □



 あーたーらーなーーい!


 なんですかこの人、さっきから攻撃が全っ然当たりません。

 何度剣を振っても全て空振りしていきます。


 いや、もちろん剣を振ったことのない私の剣筋が出鱈目なのはあるでしょう。

 でも私の身体能力は『変身』で超強化されているはずです。


 その攻撃が、一切合切、()()()()()()()()()


 間合いの内側で避けられるってならわかるんですが、こっちの攻撃に対して、明らかに余裕を持って避けてます。


 流石の私も分かります。この人は間違いなく何度も闘いを経験した格上。


 初戦の相手にしてはちょっと荷が重すぎるかもしれません。


 ん?


 あれれれ? 違和感です。


 自分の間合いだけでことを考えていましたが、冷静になって考えると、この人にも間合いはあるはずですよね。


 パラメデスさんは多分、『殴ってくる人』です。

 ならこの人の間合いは見たまんま『腕の長さ』のはず。

 一方で私の剣の間合いは『大きくなったら私の腕の長さ+大きな剣の長さ』。


 こっちの方が長いです。

 ならば、パラメデスさんが距離を詰め、こちらは距離を取ると言うのが、この戦闘の正しい流れな気がします。


 試しに、剣を振るった直後に距離を取ってみます。

 パラメデスさんもさっきと同じ様に距離を取るわけで……


「………」

「………ガァ?」


 こうして、お互いの間合いが被らない謎の時間が生まれます。

 パラメデスさんも困惑しますね。私が急に間合いを詰めるのやめたから。


「…………」

「……………」


 なんだこれ。


 ではなくて、多分、これが戦闘における『様子見』のただしい距離なんだと思います。どう間合いに入るか、あるいは、どう間合いから逃れるかを考える距離だと思います。


 にしてもこの距離はいいですね。なんとなく落ち着きます。この距離のまま戦えたらいいのに。


 あ。


 出来るじゃないですか、それ。


 私は手に持っていた剣をポイと()()()()()()()


 ポイ捨ては、ダメです。良い子は真似しない様に。


 幸い、魔法で編まれた私の剣は、地面につくよりも早く宙に溶ける様に消えていきますので、ポイ捨てにはなりません。

 実にエコです。


「来イ、(ボウ)

「!」


 私が手にした武器はパラメデスさんに劇的な反応を引き出させました。


 まぁ、正直思いつきですが、近距離戦しかない相手にはこれがベストな気がしますね。


 では、弓と矢で狩人ごっこと行きましょう。


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