お姫様の休暇
今回はかなり短めです。
私は昨日まで温泉地に行ってました。
お城からは少し遠いけど、二日もあれば到着できるので私にとっては幼いころから知るなじみ深い場所なのです。
前に来た時よりもお風呂の数が増えていて、木でできたお風呂や綺麗な石でできたお風呂、泡が噴き出すお風呂もありました。
ろてん風呂?ていうお風呂が外にありましたが、きっとあれは罠なんです。
外にあるお風呂なんて誰かが覗きにくるに違いありません!
だから私はちゃんと部屋の中だけで我慢しましたよ?
帰りの馬車の馬車の外で突如悲鳴が響きました、盗賊に遭ったようです。
いつもなら動じないところですが、今回は少し事情が違いました。
次々と過ぎていく森の影、段々と減っていく太陽の明かり。盗賊の出した爆発音で馬が驚いて走り出してしまったのです。
もうおしまいです、森の中でオーガに囲まれ、騎士たちも全てやられてしまいました…
大きな音で驚いて目を覚ますと、上から誰かが降ってくるのが見えました。
なぜ私だけ生きているのかは分かりませんが、目の前の黒髪の殿方が助けて下さったようです。
異国の方でしょうか、あまり見ない髪色でしかもとても上等な服をお召しになっています。
貴族か王族か。どのような身分かは存じませんが、少なくとも私にとってこの方は——
「……王子、さま?」
来週は本編戻ります