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新神くんとでこぼこフレンズ  作者: 花招舞
第一章 冒険の始まり
5/10

冒険者ギルド

少し遅くなりましたが、今回は少々長めにしましたのでどうかご容赦を(涙)

 俺はカウンターの奥にある個室に案内された。


 「で、なんで僕が偽装していると思ったんですか?」

 「それはですね……あ、ギルド長!」


 俺と受付さんこと、ルーシャさんがいた部屋の中にギルド長と呼ばれる大柄の男が入ってきた。


 「えーと、貴方は? ギルド長とか呼ばれてますが」

 「いかにも。僕の名は、ガイロス=フォン=ネイロスト。ネイロスト国王の弟で、今はこの国のギルドの長をしている。さっき前を通りがかって、声がきこえたから寄ってみたが中々に面白いことになっているではないか」


 そのままどっかりと向かい側のソファに座ると、ルーシャさんと何やらひそひそと話し始めた。しばらく話しながら踊りたり、恐れたりする顔が見えたのはなんか意外だった。雰囲気的にもっと無表情で厳つい感じだと思ったからだ。やっと話し終えたかと思うと、やはり、などと言いながら僕の方を見てきた。


 「うちの職員はネックレスのような物をつけてるでしょ。あれは看破の宝玉って言ってね、大抵の偽装には反応して看破することができるんだ」


 そこまで前置きしたうえで今度は若干身を乗り出して話す。


 「ところが、君の魔力は強すぎた!君のステータスは非常に強い力で偽装されていたんだ!ステータスを見るとね、鎧のように君の魔力が付き纏ってくる。そりゃあ簡単にに感知できたさ。けどね、看破が一切できなかった。こちらとしてはそんな安全性も保障できない君が自由に街中を歩き回るのを易々とは認められないんだよ。どうしたらステータスを見せてくれるかい?」


 うーん。俺がもしこの人に正体を見せたらこの先どうなるだろう。きっと王に伝わることは逃れられない。最悪の場合、戦争に駆り出されたりもするのだろうか。今までの修行の日々を思い出す。俺はまだ魔法は下手だと思っていたが、それはあくまで天界内での話。途中の騎士たちとしていた雑談から推測するに、俺は人間相手なら軽くねじ伏せられる力を持っているだろう。だとすれば最小限の人間に素性を明かし、隠蔽の協力を仰ぐべきか。

 ギルド長以外の人間、受付のお姉さん以外に外で聞き耳を立てていた野次馬たちも部屋から一旦離れさせる。その上で念のため結界を張った。


 「ギルド職員には秘密保持の義務がある、それはこの僕も例外じゃない。まあ、もしかしたら兄上への報告や詰所への引き渡しの可能性もあるかもしれないけどね。第三者への情報提供は君の承諾を得るまでは行わないから安心してくれていいよ」

 「今から見る内容は絶対に勝手に誰かに言わないでくださいよ。場合によっては全力で消しに行きますので」


 そこまで伝えると彼はそれは怖いと、冗談でも聞いているかのように話すので、今度は少しトーンを落として本当ですからと釘を刺しておく。本日2回目の鑑定を受けたのだが、先ほどとは感覚が違った。偽装を解いたからだろうかさっきのようなまとわりつく感じはなく体を通過する感じがした。


 「ふぃるあ!?」


 俺がおとなしく鑑定を受けていると突如、ガイロスさんが素っ頓狂な声を上げて後ずさろうとする。しかし幸か不幸か彼は居たのはソファの上だったので後退は失敗に終わった。


 「かかかっかっかかみさまが、ななんでこんな人間の里へ?」


 やっぱりか。『種族:神族』 なんて見たらそりゃあ驚くよな。


 「言ったでしょう。俺は冒険者ギルドに入りたいんです。それともうひとつ、この際だから人探しを手伝ってもらえませんか」


 さすがギルド長とでもいうべきか、そこまで聞いた彼はすぐに姿勢を正した。


 「それは何用で?先ほども申し上げました通りギルドには情報の保持義務がある。あなたが探していると伝えることはできても、相手がどこにいるかをあなたに流すことはできませんよ」


 さっきまでの優男といった感じのギルド長はどこへやら、急に敬語を使い始めて上司におびえる会社員みたいになってきた。


 「それでもかまいません、僕がこの国で彼らを探していることさえ伝わればそれでいいので」


 元クラスメイト達の特徴(日本人特有の顔立ちなど)を一通り伝え終えると、ガイロスさんは承諾してくれた。個室を出ると、来た時と同じように活気であふれている。ギルドカード作成に少し時間がかかるようだったので併設されている喫茶店へ向かう。小腹が減っていたのでホットケーキを注文しようとすると


 「あんたそれ古代銀貨じゃないかい。どっからそんな状態のいい骨董品入手したか知らないけどさ、ここでは使えないよ」


 神様たちからもらった路銀がまさかの古代硬貨だった。パンゲノン銀貨と呼ばれるこの銀貨が使用されていたのは今から200年は前のことで、魔力である程度の状態保存がきくこの世界でもかなりのレア度があるようだ。でも、俺が欲しいのは食事であって骨董品ではない。


 「どうにかこれで支払えませんか?」

 「うーん、兄ちゃんが損してもいいってんならかまわないさね。でもそれ、銅貨1枚で原価2000バルンだよ。ここのパンケーキなら5皿は食べれるよ」


 「じゃあ一皿食べていきます、それと器はあるので持ち帰り用に一皿分用意してもらえますか」


 「あ、ああそれでいいよ、まいどあり」


 番号札を受け取って席で待っていると蜂蜜のかかった2枚のパンケーキの真ん中に白いアイスクリームが乗ってやってきた。行儀よくナイフで切ってフォークで食べてみる。


 「うまいっ!」


 味はまさに地球で食べたものそのものだ。もしかしたら地球から来た誰かが考案したのかもしれない。もしかしたらと思って、理由をはぐらかしつつこの料理の考案者は誰か、とウエイターに聞いてみると


 「さあ、なにせ十数年前から徐々に流行り始めて今に至ったものですので」


 なんとも微妙な答えだった。そんな前にも地球人が来たのか?最近になって地球人アレンジが加わった可能性も考えられるが、わざわざ店主のとこまで行って怪しまれるのは避けたいので今日はここまでにしておいた。

 完成したギルドカードは地球のICカードを連想させる見た目で、表面は鉄の塗装をしてあると聞いた。中心には異世界後でCランクと書かれている。ギルド長が配慮してくれたのだ。同時に国王への簡単な報告があることが決まってしまったが、何があっても冒険者として戦争に駆り出されたりはしないと断言していたのでひとまずは大丈夫と言えるだろう。することが済んだのでギルドを出ると、ガイロスさんが居た。


 「最後に一つ、忠告させていただきたいことがあります」


 忠告?なにそれ、怖っ。聞いといたほうがいいかな、聞かないとダメなんだろうなぁ。


 「あ、はい。何でしょうか」


 「あなたがこれからも偽装状態で過ごしたいというなら、レベルは半分にしてください。そして、ほかの数値は1桁下げておくとよいでしょう。あと、称号に関しては寧ろ無い方が普通なのですべて隠しておくべきだと思います」


「そ、そうなんですか……。ありがとうございます」


 俺ってそんな規格外だったのか。いい収穫だったな。







 「これは困ったな」


 大まかな地図は頭に入っているので大丈夫なのだけど、どこに何のモンスターがいるかも分からない。俺はとりあえずお金が欲しかったので、Dランク用の少々危険地帯での薬草採取クエストを受注していた。流石にこのままってわけにもいかないからお金が入り次第なにか参考になる本を買わないとな。

ギルドの外に出るとまずは北へ向かい、コンクルシオの森が見えてきた。そろそろ森へ入るかという所で奥からだれかの悲鳴が聞こえてくる。俺の体は普通でないので、悲鳴なら数キロ先でも聞こえてしまうことがあるのだが、今回はすぐ近くだった。


 「これはまずいな。先を急ごう」


 一瞬、『これぞ異世界!』という言葉が頭をよぎったが、悲鳴の後に響いた地鳴りで思い直した。今の言葉は俺の中に永久封印、二度と出ないようにしないと。

基本週末更新にしようと思います。書きだめができたら臨時投稿も

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