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新神くんとでこぼこフレンズ  作者: 花招舞
序章 気づいたら神になってました
3/10

旅立ち

新章スタート


未だぼんやりとした俺の意識は、小鳥たちの歌声によって徐々に覚醒へ誘われる。


今日であの日から10年が経つ。天界での日々は意外にも快適で、あっという間に修行の日々は終わりを告げられてしまった。この天界には明確な昼と夜がない。しかし、神だって疲れは溜まるので、定期的な睡眠が必要なのである。やっと目覚めてきた俺の頭に決定打の如く鐘の音が聞こえてくる。何も知らない人がこの音を聞けば、きっと除夜の鐘なんかを想像するだろう。しかし残念ながら、これはそんな情趣のあるものじゃない。食事の時間になっても集まらない神々の中で生まれた強制召集手段である。全員集まるまで鳴り止まないので、早く移動しないと他の神々から反感を買うわけだ。


「リューくん!朝ご飯ですよー!」


魔法神こと、ミリル母さんは毎日俺を起こしにくる。母さんという呼び方は、本人が言い出したことだが、10年も一緒に過ごせば自然と慣れるものだ。


「はーい。すぐ行きまーす。」


どのみち鐘が鳴ってるんだから毎日来なくても良いのに。そんな事を思えるほどすっかりここでの毎日が馴染んでしまった俺だが、それも今朝で一旦終わりだ。今日の昼までには下界に降りることになっている。今まで家族や親友といった存在と完全に無縁だった俺だが、この10年間でたくさんの家族ができたと思う。ゼノアス爺ちゃん、ライアン父さん、ミリル母さん、この3人には様々な事を教えられた。母さんにはたくさんの魔法を、父さんには生き抜けるだけの体術を、爺ちゃんには異世界と天界のの常識を。




食堂のいつもの机には既にいつもの3人が集まっていた。ゼノアス爺ちゃんは見送りに来られないとの事で、皆揃っての最後の会話を楽しんでいた。そこでふと、気になる言葉を聞いてしまった気がする。


『まあ、向こうで分からないことがあったら鑑定(アナライズ)でも使えばどうにななるんじゃないのかの。』


そんな魔法があったのか、そういえば今まで今まで攻撃魔法しか教わらなかった気がするな。母さんは戦闘バカじゃないと信じていたが、いや、信じたかったが、もしかすると間違っていたのかもしれないな。


「なんだなんだ?鑑定も教えてもらってなかったのか?」


「だだだだ、だって…だって強くなりたいって言ってたし、それにその辺はもう、ね。自分的には…、その…当たり前過ぎたって言うか、なんていうか………。」


そこまで言って母さんは黙ってしまった。


「となるとリュージ、お前さん自分のステータスすら見た事ねぇだろ。」


「え?ステータス?」


僕の言葉にようやく我に帰った母さんが話しかけてきた。


「ステータスは自分の、鑑定は自分以外の人や物の詳細を可視化できるのよ。どちらも『知りたい』ってイメージで大丈夫だからそのうち試してみると良いわ。」


魔法にはイメージが大きく関わってくる。詠唱をする人も多いが,あくまでイメージを固めるためであり、簡単な魔法や、一度見た魔法なら大抵は無詠唱で発動できる。故に想像力豊かな人が行使すれば、魔力量次第で無数の技を生み出すことができるのだ。




食事を終えたら、出発の支度を始める。


「《浮遊(フロート)》、《異空間収納(アイテムボックス)》」


魔法を使ったことで荷物一式は数十秒のうちに片付いた。普段服などは地上のものと素材から大きく違うこともあり持っていくか迷ったが、異空間収納(アイテムボックス)の容量はまだまだあるようだったのでとりあえず放り込んでおいた。

次はお世話になった神達への挨拶回りだ。こればっかりは流石に魔法でどうこうとはいかない。そこまで積極的に交流をしていた訳ではない俺だが、なんだかんだ多くの知り合いが出来たものだ。知能神のおばちゃんのとこで1時間近く話し込んでいたこともあり、一通り回った頃には昼になっていた。




「リューくん、忘れ物してない?」


「リュージ!鍛え足りない所はねえか?」


ミリル母さんとライアン父さんが見送りに来てくれた。母さんのは分からなくもないのだが、父さんのはちょっと…、もし今鍛え足りないとか言ったらどうする気なんだろうか。今は、10年前の召喚の時にいた場所の近くにある大きな魔法陣の中心に立っている。俺も一応神なんだから転移で地上まで行けないかと思ったが、それをするためには神力を行使する必要があるらしいため、このような形での移動となった。一人前になればできるとか言っていたが、それはきっと俺が思っているよりずっと長い時間を要するんだろう。俺が今、神力を感じ取ることすらできていないのが良い例だ。


「今までありがとうございました。地上に行ったらまずは拠点探しですかね。あと、ここに来る前から思ってたんですが、友達作りをしたいと思っています。」


「おう、友達か。そりゃあ楽しそうだな。まあ今のお前なら女の1人や2人簡単に誑かせそうな容姿だがなー! がはははは!」


俺ってかなり地味な顔だったと思うがどう言う事だろう………あ、そういえば転生したから顔だって変わってるのか。天界には鏡が無かったから気にしなかったけど、俺って今どんな見た目してるんだ?恐る恐る頭に触れてみる。よし、髪は生えてる。体は鍛えてたのもあって見た限りは細マッチョとかの類だと思っているが、髪もちゃんと生えているなら問題無しだ。いつか地上で鏡を見つけたら確認してみようか。


「もう、ライアン!変なことリューくんに教えないの! 自信持って女の子に話しかけて無視されたりとかしてみなさい、きっと物凄く落ち込むわよ。それが原因で性格が悪くなっちゃったりしたらどう責任取るつもりなのよっ!」


「いい? リューくんが守るべき相手はね、1に女の子、2に自分、3に街の人、最後に男友達よ。これだけは厳守すること。いいわねっ!」


男友達の扱い酷くないか。俺の友達ならきっと強いだろう的なやつなのか、それとも母さんの過去に何かあったのか。理由については恐ろしくて聞くことが出来なかった。


「2人とも、僕が居なくなったからって喧嘩を激化させたりしないでくださいよ。」


「はは、きっと無いぜ。そんなこと…」

「え、ええ。大丈夫ですよ。」


あ、今2人とも目を逸らした。神様同士の全力決闘とか、もし起きてしまったら洒落にならない。これだけは阻止しなくてはならない所だと思う。


「それでは、また会う日までお元気で。」


  「おう!」

  「ええ。」


俺の意志に従って足元が光り始める。数秒で光が視界を遮るようになり、俺の感覚を完全に遮った。落下しているような、上昇しているような奇妙な感覚。1分ほど経ったとき、不意に激しい衝撃が体を襲い、意識を手放した。






俺は気がつくと、白光りする鎧の肩に担がれていた。


これから数日間修正作業が優勢になります

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