それはきっと、今この時。
待ち続けた食事の時間。
テーブルには自分たちが選んだAランチ(特大盛り)。
隣には、哉(こちらは涎を垂らして「いただきます」を待っている)。
そして、前の席には、さくら(こちらは泣きそうな顔で哉に怒鳴っている)。
さぁ、食事の時間だ。
「「皆さん、おはようございます。本日担当の灘と申します。メニューは、AランチとBランチをご用意させていただきました。朝なのに、ランチ?という突っ込みは受付ません。ご飯・味噌汁のおかわりは自由ですので、ご自分でお願いします。皆さん、取りましたね?席に着いてない方は……いますが…ご自分で頑張って下さい。では、いただきます。」」
哉「いただ…ます!!ガツガツ」
快「いただきます!」
さ「いただきます」
みるみる減っていく哉のAランチに比べて、さくらのBランチが全くへっていない。
快「どうした、さくら。(ぱくぱく)食わないの(ぱく)か?」
さ「…汚いよ快。食べながら話さないでよ。」
さっきまで哉に怒鳴っていたのに、明らかに元気がない。
仕方ないな、とりあえず箸を置いて話を聞こう。
快「ほら、これでいいか?なぁ、元気ないよ。どうしたんだよ?」
さくらはこちらをチラリと見て、また視線を下に向けてしまった。
異変に気付いたのか、哉がどうした?と聞いてきた。 因みに、こいつ既にAランチ(特大盛り)を全て平らげ、おかわりに行ってきたようだ。
さ「あんたは、食べるの早すぎよ、哉。特大盛りなんて食べてるの、あんたと快ぐらいなんだからね。」
朝から、確かに特大盛りは変かもな。
哉「でもよ?俺と快は昨日から飯抜きでしかもだいぶ待ったんだぜ?これくらい普通だろ。な?快。」
同意を求めて来る哉に相づちをうちつつ、
俺は気になっていた事を訪ねてみた。
快「さくら、昨日のことだけどな。」
そこでさくらは本日初めて俺の目を見た。
快「その…心配かけて悪かった。」
悪かった。 心からそう思った。
さくらは何も言わない。 ただ、目をはっきり見つめてくる。
しばらくして、さくらが口を開いた。
さ「…怖かった。怖かった、んだよ。哉はいないし、快も…普通の反応じゃなかったし、私に出来る事なんて…たかが知れてる。だから、引いた、けど…ッで、も…でも、もしかしたら2人、と…会えなく、なる、んじゃないかっ、て…」
後半は嗚咽を吐きながら、途切れ途切れに言葉を紡ぐさくら。
たかが知れてる、か…
さ「わ、たし…夜も眠れなかった、んだよ…」
しまいにはポロポロと涙を流してしまった。
こんな時…どうしたらいい?
哉「さくら。」
静止した時間を動かしたのは、哉だった。
さ「…なに、よ。」
哉「あのさ、俺達は、ここにいる。」
さくらの目が大きく見開かれる。
哉「いるよ。これからも、ずっと。」
さくらの目からするりと涙が流れた。
そして、口元にはいつもの微笑みが戻った。
さ「あ、、当たり前でしょ。…突然いなくなったりしたら…許さないんだからッ」
まだ、涙は残っているものの、もういつものさくらの顔だった。
さ「さっ、早く食べよ!私も昨日食べてないのよ、だ・れ・か・さんのせいで〜」
哉「うるせ!さっさと食え!食わないなら、俺が食うぞ」
さ「食べるわよ!哉こそ、食べ過ぎよ、食べ過ぎ!」
哉「へぇーんだ。平気だっつうの!!なぁ、快。」
哉が俺にふる。
2人の視線が向けられた。
快「・・・あぁ、平気だな。けど、哉は食いすぎ。」
でしょ〜?!とさくらが言ってきたが、俺はなんとなく、あぁ、平和だな。なんて、じぃさんみたいな考えに浸っていた。
あぁ、平和だ。
…幸せに形があるならば、それは、きっと…
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