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書こう作家と幼馴染  作者: akmmdk
3/3

エンドロールのあとでも話はまだまだ続いていく

和哉が雪菜に告白をした次の日。

和哉と雪菜は晴菜に会うことにした。

理由は、和哉の告白が成功したことを伝えるため。

それによって彼女が前に進めるようになるため。

正直言って、こじつけでしかない。

ただ、俺たちが何も言わず、彼女と会っても、よそよそしい感じになる。

そうなることを避けたいという、言い訳にしかならない理由があった。


「PC室、だね」

雪菜は言う。

ゲーム研究会の正式な部室ではないが、活動内容によってはPC部員と兼用してることがある。

「入るか」

前日、和哉は晴菜にLINEを送った。

雪菜を連れて話がある。いつ会えるかと

晴菜から返事が来る。

放課後、PC部で待つと


「お邪魔します」

と雪菜は言い、扉を開ける。

すると、晴菜はやってきた。

「あー、来た来た、二人とも」

突然の晴菜の来訪に困惑する二人。

「早速だけど、ゲーム制作手伝ってよ」

二人に晴菜はそう言った。


RPGメーカー

文字通り、RPGを作るためのツールである。

戦闘、MAP、イベントさえ作れば、例えプログラムに明るくなくても

RPGを作ることが出来る代物だ。

だが、そのツールで誰しも完成まで出来る訳ではない……

なぜなら、有名な大作ゲームを作ろうとして、

戦闘バランスとかイベントのフラグ管理とか想定外の挙動の修正とか

イメージ通りに行かないマップとかざまざまな出来事が起きて

どんどんモチベーションが下がっていく。

そして、どんどんわかってくる自分の実力と理想のギャップ。

それに乗り越えないと、ゲームの完成は難しい。


「これで…何をしてほしいんだ……日岡さん」

和哉は困惑する。

そう、ゲームの制作を手伝うと言っても

イベントの作成とバランスの調整は制作者本人がやるしかない。

「シナリオとバランスに対する意見と、バグの報告かな」

晴菜は紙束を二人に渡す。

「例えばこのシナリオで、気になったところとかざっと見て言ってほしい。

それから、このチェック表から、どう言うバグがあるか、

項目以外でもバグがあったら言ってほしい」

シナリオとゲームバランスについての紙束は和哉が、

バグのチェック表は雪菜に渡される。

「えーっと、シナリオの意見ってことは、

その都度修正するかも知れないってことでしょ、今渡すとしたら早くない?」

雪菜は指摘する。

それをうけて晴菜は言った。

「……そうだね、うっかりしてた」

「じゃあ、私が先にゲームバランスをやるわね」

そう言って、雪菜は実行ファイルを別PCにコピーし起動する。

起動したら、RPGと言うにはメッセージもろくにない。

ただ、マップがあってイベントキャラに話しかけたら戦闘が開始するだけの無骨なものだった。

そこにBGMは存在するが、ボスっぽいキャラに話しかけたら通常戦闘BGMでバトルが始まる。

そんな感じのものだった。


「それで、何でホモが多いんだ」

日岡晴菜から渡されたシナリオに目を通した和哉の感想はこれだった。

何故か主人公は何度も掘られまくるのだ。

「……趣味」

「趣味なんだ……」

晴菜の答えに呆れる和哉。

「まあそれはいいとして、だ」


突如、主人公は覚醒して牢屋を破壊した。


「覚醒のイベントが唐突すぎる!意味がわからない!」

「覚醒するための薬を使ったのよ」

和哉の突っ込みにしれっと答える晴菜。

「それヤバい意味に聞こえるんだが…」

「まあヤバい薬を飲ませてあれこれしてるわけだし」

どうやら、なんかいろいろあって覚醒しちゃったらしい。

などいろいろ突っ込みどころが多いシナリオなのだ。


船の乗ったら座礁したりとか、ホモの恋愛を手伝ったりとかなんかいろいろだ。


「ねー、これ無理、倒せないって、無理だから」

明らかに壊れゲームバランスで序盤からボス戦で死にまくる主人公。

仲間のサムライがいても、すぐ死んだ。


あと、ヒロインと主人公の出会いのシーンがいきなり過ぎてプレイヤーが置いてきぼり。

序盤で魔王を倒したため、主人公と魔王サイドの動機が曖昧で、対立が成立しない。

ヒロインと主人公の対立を描きたくても動機が曖昧。

ヒロインとの関係性がいまいちつかめない。


結構シナリオ、ゲームバランスに穴が開きまくりなのだ。

ガバガバである。


「リテイクだ!リテイクだこんなもん!!!」


こうして、作り直しが発生した。



人間と魔王が対立する世界。

大帝国フィストはその対立に終止符を打つべく、伝説の魔剣を扱う戦士(ニート)を呼び出したのだ。

だが、突如フィストに魔王が攻めてくる!!!


まあ、ここまではありがちな展開だ。


だが、魔王を倒しても次の魔王が誰か魔族同士で争う展開になり

さらに争いは混迷を極める。

魔剣に選ばれた戦士の暴走によりフィストは崩壊する。

そして、正気に戻った戦士は自分探しの旅に出る。

そこで戦士はヒロインと出会う。

ヒロインは次の魔王になり魔族同士の諍いを止めるために奔走する。

人間との共存を果たすようにするために。彼らはこの状況を止めることが出来るのだろうか。とうご期待。


「文章がまとまらねえ…」

「難しいよねやっぱり」


文章力を鍛えるには、なれてる人間に評価を貰うことだ。

そして、修正していくしか無い。

だが、コミュ障な彼らにそれは出来なかった。


「みんな、国語の先生を連れてきたよ」

突如現れた祐司に和哉たちは叫び声を上げる。

「うおっしゃああああああああああ!!!」



文章問題は解消された。

そして、ゲームバランスの修正が完了。


どうにかして、ゲーム制作は完了した。

テストプレイを開始する。


シナリオも、ゲームバランスも、イベントも、つたなかったが。

自分たちで何かを作り上げた、その事実に和哉と雪菜と晴菜は感動を覚えていた。

テストプレイの完了後。

和哉と晴菜は二人でいた。

「やっと、完成したね」

「そうだな」

晴菜の感想に和哉は答える。

「やっぱり、付き合っちゃうのはダメかな」

「駄目だ」

「だよね、雪菜さんが好きみたいだしね」

告白には丁寧に返事をする。

例えそれが、拒絶でも。

和哉はそう考え、実行した。

やっぱりつらかった。

「つらいよね、ごめんなさい、ちゃんと振ってくれてありがとう。和哉君」


こうして、晴菜の恋は終わった。



数日後。

和哉は自室にいた。

雪菜を連れ込んで。

「おうちデートって、何するの」

「まあ、小説の続きを書こうかと」

そういって、無字のディスプレイが和哉の目の前にある。

「非常に長そうだよね」

創作活動は難産でしか無い。

だが、やるしかない。

「TRPGでもやろうかな」

と、和哉は呟く。

「人いないのに」

「日岡を呼べばいいだろ」

「あー、それ、和哉が言う普通」

「でも、日岡、祐司と付き合ったみたいだぞ」

「え、あれまだ付き合ってないんじゃ無い、帰りにゲーセンに行ってるみたいだけど」


ベッドの上で横になって携帯ゲーム機を触ってる雪菜。

なんかハイスコアをたたき出したらしい。


「実質付き合ってるもんだろう」

和哉は言う。

「それもそうだね」

雪菜は言った。


「ねえ、どんな話を書こうとしてるの?」

雪菜の問いに和哉は答える。

「転生ものの続き、なんというか、冒険の後の続きものっていう感じの話を書こうとしている」

そうだ、どんなものだって終わりがある。

だが、終わったあとだって主人公たちにも人生があるのだ。

変化があっても、続けるしか無い。

例えそれがつらい内容でも。

「最終回のエピローグを延々と書きたいのね」

「そういうことだ」

どう言う内容にすべきか、わからないときは

単語を羅列するか、似たような展開を探してメモるか。それでも駄目なら。

「ロケハン、行く?」

雪菜は聞いた。

それに和哉はYESと答えた。


「エンドロールの後の話、私と一緒に書いていこ、和哉」

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