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145話

 「ミーア大丈夫か」

「う、うん。ここ赤鳳のいた広場よね」

これまでの事を話すと、どうも僕もミーアも同じ体験をしたようだ。

「なんだったのかしらね」

「恐らく、なんだけど。僕達に幻のようなものを見せて試したのかなと思う。印ってのが何なのかは分からないけど」

「でも、これで赤鳳はいいのよね」

「多分ね。それにこれって四神獣それぞれにこなす条件があって、単なる力押しじゃダメなんだと思う」

「そうすると、残りの西と北でそれぞれにってことね」



 今僕達の目の前には巨大な4つ足の神獣。

あれから西の山では白き巨虎に僕達の愛情を試され、北の巨蛇亀には道を問われた。

 そして全ての印を得た今、中心の山の上で麒麟と相対している。

「4つの試練を乗り越えた人の子よ。お前たちは何を望むか」

「力を、自分の力をきちんと使えるような力を」

僕が答えると続けてミーアも口に乗せる。

「あたしも、これ以上大きな力が欲しい訳じゃない。でも十分に使えるようにしたい」

僕達の答えに

「ならば、我の影を打倒して見せよ」

麒麟が言った途端に、その横に影が立ち上がる。ドラゴンにこそ及ばないものの身の丈10メルド近い巨体の麒麟の影が目の前に現れた。

 僕達があっけにとられていると、その影の麒麟の目が虹色に光り1歩踏み出してきた。僕もミーアも慌てて剣を取る。麒麟、おとぎ話の中でしか聞いたこともない神獣。どんな動きをするのか、どんな攻撃をするのか魔法を使うのか、ブレスはどうなのか、何も分からない。それでも、ただ見ているだけでは埒もあかない。となれば、まずは僕が一当て。最近は僕の主武器ともいえるオリハルコンの両手剣を手に駆け寄り首を狙い振るう。『ガッ』硬い手ごたえ。それでもまったく歯が立たないということでは無さそうだ。手ごたえを感じている僕に、麒麟の前足が振り下ろされてきた。とっさに飛び退り躱す。動きも速い。見ると打ち下ろした前足の威力で地面が大きく陥没している。やはり攻撃力も巨体に見合ったもののようだ。そうして僕が麒麟の敵意を稼いでいるうちに、するするとミーアが麒麟の後ろに回っている。もう一度、今度は右前足を狙ってみる。一度下がったところから一足で近づき右前脚の膝を狙う。『グリン』何かを抉った手ごたえ。そうして僕が前面で打ち込んでいる向こうで、ミーアがいつもの通り麒麟の左後ろ足に両手に持った片手剣を振るい切りつけている。ミーアの剣撃が当たった瞬間、麒麟の敵意がミーアに向きかける。そこに僕が両手剣を振るう。一瞬でも意識が離れたところからの一撃に麒麟に与えるダメージも大きめだ。ここからは本当に大物を狩るときのいつも通り。僕が前面で敵意を稼ぎ、ミーアが後ろから切りつけ、相手の足を鈍らせる。このまま行けるか、そう思ったところに麒麟の角がバチバチと光を放つ。頭を大きく振るい僕を狙って角を振り下ろしてくる。とっさに左に剣をかざし盾にしつつ右横に飛んで躱す。わずかにかすった角からバチッと衝撃が走った。左腕がしびれて動きが鈍い。動きの鈍い左腕を諦めて両手剣を右腕1本で振るう。スピードの落ちた僕の剣は度々躱される。そうしているうちにミーアからの攻撃が気になってきたのだろう、麒麟の敵意がミーアに移りかける。とっさに両手剣に身体を預け、身体ごとぶつけた。かなり深くに刺さったらしく剣を抜くのにやや手間取ってしまった。剣が抜けたところに麒麟が前足を突き出してきた。とっさに身体の前に両手剣をかざし直撃を避けたものの勢いを殺しきれるものでは無く吹き飛ばされてしまった。地面を2度3度と跳ね、膝を着き止まる。ダメージはまだ許容範囲内。すぐに顔を上げ麒麟に向かい駆けだす。麒麟の顔がミーアに向いている。幸いなことに今の攻防で左腕のしびれが取れた。僕は両手剣を大上段に振り上げ横を向いた麒麟の首に振り下ろした。麒麟がガクンと身体を揺らした。影の麒麟だけにダメージが分かりづらかったけれど、そうとうに効いてはいるようだ。

 危ないところはその時までで、徐々にダメージによって動きの鈍ってきた影の麒麟をどうにか討ち果たしたときには2度目の夕日が空を茜色に染めていた。

僕もミーアも肩で息を継ぎながらも、麒麟本体に目を向けている。

「よくぞ我が分身を討ち果たした。そなた達の力を十全に発揮できるようになったと言ってやりたかったのだが、そなたたちの力は大きすぎる。すべてを発揮するには今少しの試練が必要だ。もし望むのならば北の魔竜ガイアドラゴンをその剣で討ち果たすがよい。しかし、いまのままでも半ばの力は出せよう。人の世においては十分な力よ。お前たち自身で選ぶがよい」

そう語ると麒麟は空高く飛び立ってしまった。

「次は北の魔竜か。それでもとりあえず、今回はここまでかな」

「そうね、一度エイリヤに帰りましょう。イングリッドとエルンストの顔も見たいわ」


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