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SSS1.日常の一コマ

本日より書籍版発売記念のSSストーリーを連日公開します

目標:一話2000文字程度


「やっぱり安定の輝竜装備だろ!」

「いや、継続ダメージのでかい樹竜だろうが」

「その辺はいままでも狩り続けてるだろ! ここは新しい素材にも目を向けようぜ!」


 目の前では、クランメンバーたちが侃侃諤諤(かんかんがくがく)とした議論を繰り広げている。

 議題はどの竜帝を狩りに行くかなんだけど……もう、わけがわからないレベルだ。

 確かに、輝竜と樹竜は何回も倒してるから素材も集まってるけど、希望しているメンバーの分は全然足りていない。

 ……それ以前に、うちのクランの錬金術士いわく、もう少しスキルレベルを上げてから竜帝装備を作りたい、らしいので、装備の数は圧倒的に足りてないんだけどな!


「よう、クラマス。あの議論、止めなくてもいいのか?」

「おっす、ターフ。いや、いま止めても仕方がないかなと思って……」

「あそこまで白熱しているとそうなるか。……ただ、さっさと結論を出して狩りに行かないと、竜帝二戦は厳しいぞ?」

「……そこなんだよなぁ。いや、春休みイベントは嬉しいけど、竜帝戦を二回って考えると時間が……」

「俺らの攻撃力じゃ結構厳しいよな。素材は集めたいが、毎日二戦戦うには戦力や補給能力が厳しいというジレンマ」

「だな。消耗品は数を集められたけど、戦闘時間まで考えるとなぁ……」


 相互協力関係にあるクランから、お互いにアイテムを融通しあって消耗品だけは揃ったんだよ。

 でも、レイドボスを周回するには、攻撃力も必須でして……。


「……そういえば、上位クランってどうしてるんだろうな?」

「聞いた話だと、メンバーを割り振って狩りたい竜帝に行ってるらしいぞ? 上位クランだと普通の竜帝装備ってそろそろ型落ちらしいから、適当にしかやってないんだと」

「なにそれうらやましい」

「いや、そうじゃなきゃおかしいだろ。俺らとは台所事情も違うんだからよ」

「……そっかぁ。とりあえず、どうするべなぁ」

「俺らのクランじゃ、二部隊も作れないわけだし。まずは、目の前の話し合いを終結させてこいよ、クラマス」

「うぃ。じゃあ、いってくるか」


 なにをしようにも、目標が決まらなきゃなにもできないからなぁ。

 できるところから、やってかなきゃならん。


 あ、俺、このクランのマスターをやってる、ロックンロールです。



―――――――――――――――――――――――――――――――



「疲れた。装備的にもしんどいけど、精神的にしんどい」

「……誰だよ、竜帝二周連チャンしようって言ってたの」

「お前だよ。俺もだけど」

「くっ……俺たちじゃ効率的な竜帝周回はできないのか!」

「いや、無理だろ。『百鬼夜行』みたいな一戦30分の高速周回とか俺らにゃできん」

「せめて、一時間! 現実は二時間……」

「でも、今日の努力が明日の希望につながるんだ……」


 うん、竜帝戦を二回やってきたけど、ボロボロだな!

 まずはお試しということで、一番戦い慣れてる輝竜を二回やってきた。

 ……結果はお察しの通りだったけど。

 春休みの一周年記念イベントのひとつで、竜帝戦を毎日二回勝利するまでできるけど、時間的に無理。

 俺らはガチ戦闘クランじゃないんだから、一回二時間のレイドバトルを毎日二回とか無理だって。


「なあ、クラマス。明日以降に向けて戦力を整えないか?」

「なに、びふー? なんか思いつくことでもあんの?」

「とりあえず、今の状況で毎日二周とか無理っしょ。で、私に考えがある」

「……なに、その不安になる言い方」


 びふーはターフと同じように、『シューティングスター』結成のころから中心メンバーとして活動してくれている。

 ただ、今回の提案、めっちゃ怪しいんだけど。


「前提条件として、俺らにゃ一戦二時間を二回もこなすのは無理ゲーなわけだ」

「そうだな。一週間に一回とかならまだしも、毎日二戦とか無理だわな」

「春休みとはいえ、社会人とかは夜しか接続できないしな。で、これを根本的に解決するには、攻撃力不足をなんとかしなくちゃいけない」

「その通り。防御力は十分に足りてるっぽいから、あとは攻撃力だよな」

「つまり、武器を強化できれば万事解決ってことだよな」


 ……そうなる、のか?

 でも、攻撃力不足になってる最大の原因は、武器の性能が上がってないことだし。

 間違ってはいない、はずだ。


「で、その問題を解決するプランがある」

「なに、そんなプランがあるの?」

「ああ、ついさっき仕入れた情報だ」


 ほう、なんだかすごい話が飛び出しそう。


「まずは、最上位の装備生産者で噂になっている『刻印装備』ってものがあるらしい」

「なにそれ?」

「なんでも、耐久値と引き換えに攻撃力や防御力を引き上げてくれるんだと。俺も詳しくはわからんけど」

「……せめて、詳しく調べてくれよ」

「俺だってようやくつかめた情報なんだよ! 最上位生産者って掲示板もパスワードを知らなきゃ閲覧すらできない、非公開掲示板で情報共有してるらしいし」

「情報屋関係は?」

「いまはまだ話せないとさ。調査不足もあるけど、刻印装備を作れる生産者っていうのがほとんどいないから、負担が偏らないようにもうしばらくは公開しないって」


 情報屋が公開していない情報か……それはすごそう。


「でだ、もうひとつの情報だが。イリスちゃんに聞いてきたけど、トワさんがそろそろ装備受注を再開するってさ」

「え、それマジ?」


 トワさん……生産クラン『ライブラリ』の錬金術士が受注を再開するのか。

 それは嬉しい情報だな!

 詳しくは知らないけど、冬休み前から受注できなくなって装備やポーションも出回らなくなったから、一時は引退説も出回ってたけど……そうか、再開するのか。


「それは嬉しいな!」

「まあな。俺ら、なんだかんだと世話になってるしなぁ」

「それじゃ、トワさんに装備作りを依頼すればいいのか?」

「それが手っ取り早いんじゃね? 受けてくれるかどうかはわからんけど」


 トワさん、結構受注を絞ってるから……。

 なにはともあれ、復帰したなら挨拶にはいくべきだよな。


「よし、とりあえず挨拶だけでも行ってくるよ」

「いてらー。ついでに、受注できるかどうかも聞いといてくれ。明日以降の竜帝レイドについては、こっちで話し合いしておくから」

「任せた。じゃあよろしく!」


 さて、受注してくれるかはわからんけど、とりあえずダメ元で行ってみますか。

 トワさん、機嫌がいいといいなぁ……。


いつもお読みいただきありがとうございます。

毎回の誤字報告本当に助かっています。

感想もありましたらよろしくお願いします。



~あとがきのあとがき~



というわけで、SSSシューティングスターストーリー開幕です。

個人的には5話程度書きたいところ。


書籍版もよろしくね!

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― 新着の感想 ―
[良い点] シューティング・スター・ショート・ストーリーなら、S、S、S、S でグリッドマン風味に。 まあ原作見てないんですけどね? 忙しくて(別名:自業自得)
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