表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
415/466

354.マイスタークラス終了

今回も短め

おのれ残暑


「いやー、さすがだっぺな。『ライブラリ』の職人相手に勝てるとは思ってなかっただが、惜しいところまではいけただよ」

「きこりーやさん、おつかれー。ホント、あと一歩で負けてたよ」

「だなぁ。やっぱり、バフアイテムだよりでは厳しかっただよ」


 バフアイテムって最後のほうで飲んでたポーションだよね。

 あれってどういう効果があったんだろう?


「使ってたポーションってどんな効果があったの?」

「ああ、あれだか。『フォースドクーリングポーション』ってヤツだ。『効果時間中はスキルのリキャストタイムがなくなるが、効果時間が切れると強制スタンする』ってアイテムだっぺな」

「そんなポーションあったんだね」

「おんや? トワ殿にはもらっていないだか?」


 トワがくれたポーション、多すぎて把握しきれていないんだよね。

 もらったポーションを一覧にして見てみるけど、そのポーションはないみたい。


「えーと。……もらったアイテムの中にはないね。トワなら作っててもおかしくないんだけど」

「効果がピーキー過ぎるから、渡さなかったのかも知れないだな。ともかく、楽しい試合だったっぺよ。……鉄鬼殿との試合は、一方的だったでなぁ」

「鉄鬼は相性がもろにでるからね。仕方がないよ」

「んだな。それじゃ、お疲れ様だ」

「はーい。またねー」


 試合も終わったし、このまま舞台上に残ってても仕方がない。

 きこりーやさんも帰っていったし、ボクも戻ろっと。



 ―――――――――――――――――――――――――――――――



『ライブラリ』の皆がいる観戦スペースに戻ると、トワとユキちゃん以外の全員がいたよ。

 おじさんはさっきいなかった気がするけど、いつの間にか来ていたみたい。


「お疲れ様だね、イリス。最後、かなり危なかったねぇ」

「うん。かなり危なかったよ」

「だよねー。なんで最後、いきなり止まったんだろうね?」

「そういう効果のポーションを使ってたんだって。スキルを連発できる代わりに、効果が切れると強制スタンになるポーション」

「それはまた珍しいものじゃのう。イリスはもっておらんかったのか?」

「持ってないよ。トワがくれたポーションには含まれてなかったみたい」

「へぇ。トワが作っていないとは思えないし、なにか理由があったのかしら?」


 柚月が言い出した疑問に、全員が考え込んだ。

 でも、結局、答えは出ないので、明日トワに聞いてみることに。


「それで、このあとはどうするの? 決勝戦が終わったら表彰式のはずだけど」

「うーん、それなんだけど、ボク、もう眠い」

「じゃろうの。すでに現実では10時近いからのう」

「表彰式って、全員参加だっけ?」

「ええと……任意参加みたい。できる限り、参加してほしいようだけど」

「だったら、無理してまで参加する必要はないと思うけどねぇ。明日は学校なんだし、早めに休まないと」

「……それもそうだね。運営に欠席のメールを送ったら寝ることにするよ」

「おやすみ、イリス」

「皆、おやすみー」


 さて、メールも送ったし、ログアウト。

 今日は、このまま寝ちゃおう。



 ―――――――――――――――――――――――――――――――



「おはよー、皆ー」

「あ、立華ちゃん、おはよう」

「おはよう、立華」


 翌日、昨日の反動か、まだ眠い目をこすりながら登校した。

 ゲームばっかりに集中して、勉強をおろそかにしたら、怒られちゃうし。


「そういえば、立華ちゃん。昨日の試合、みてたよ。大活躍だったね」

「え? ああ、ゲームの話? 私がイリスだってこと、教えてたっけ?」


 あれ?

 学校の友達には〈Unlimited(ゲー) World()〉をやってることは教えたことがあるけど、プレイヤーキャラの話をしたこと、あったかな?


「ううん。聞いてないけど、顔とかみればわかる人はわかるよ。でも、さすがに運動神経バツグンだよね」

「そうかなー。センパイたちには敵わないんだけど」

「先輩たちって?」

「トワ先輩とか鉄鬼先輩」

「……さすがに、その辺の人たちは無理なんじゃない? だって、武闘大会で優勝するような人たちでしょ?」

「……まあ、そうなんだけどね」


 でも、目標としては、いつかは本気の勝負で勝ってみたい。

 まだまだ遠い目標だけど。


「それよりも、立華ちゃん。今度一緒に遊ばない?」

「うーん。時間があればいいけど、しばらくは時間がないよ?」

「そうなの?」

「まだ、武闘大会が終わってないからね。お仕事の依頼が残っているんだよ」

「そうなんだー。でも、『ライブラリ』の職人だったら仕方がないのかな」

「どうなんだろうね。そろそろ、私たちの技術に追いつく人が出てきてもいいころなんだけど」

「……それは難しいんじゃないかな。あ、先生が来たから席に戻るね。この話はまた今度」

「うん。またね」


 そんなにわかりやすい格好だったかな。

 目の色や髪の色、髪型を変えてるから気付かれないと思ってたのに。

 ……でも、リアルの友達と一緒に遊ぶのも悪くないかな。

 さて、勉強勉強。



 ―――――――――――――――――――――――――――――――



「こんばんはー。トワ、いるー?」


 学校が終わって、夜のログイン。

 表彰式を欠席したから、賞品はメールで届いていた。

 スキルチケットはさっくり処理して、副賞の楯は工房に飾っておく。

 なんでも、少しだけ生産品の品質が上がる効果があるらしい。

 ……他の人との差がつかないように、気持ちだけだって。


 そのあと、残ったポーションを返却しようとトワの工房に行ったら留守だった。

 留守番をしていたオッドとクロユリに聞いたら、トワとユキちゃんはジパンの家に行ったって。

 返却は早いほうがいいだろうし、ボクもジパンに来たんだけど、ふたりとも家にいる気配がない。

 ここにいるって、聞いてきたんだけどな。


「グルゥ」

「あ、シリウス。こんばんはー」

「ガゥ」


 玄関でどうしようか悩んでいたら、シリウスがやってきた。

 シリウスがいるってことは、やっぱりトワは家の中にいるんだろうか。


「ねえ、シリウス。トワっている?」

「ワフ」


 ボクの質問にシリウスは一度吠えると、庭のほうへと歩き始めた。

 少し進んだところでボクの方を振り返ったから、ついてこいってことかな。


「それじゃあ、案内お願いね」

「ワフゥ」


 シリウスに連れられて辿り着いたのは、家の奥にある道場。

 中からは、剣と剣がぶつかり合う音が聞こえてくる。

 でも、カンカンとか、キンキンじゃなく、シャインシャインって感じなんだよね。

 一体どういう稽古をしているんだろう?

 シリウスは、障子を開けて中に入っていったので、ボクもそれに続く。

 中で稽古をしていたのは、トワとユキちゃんだった。


「……あれ、イリスちゃん。遊びに来たの?」

「うん? イリスか。どうかしたのか?」

「こんばんはー、ふたりとも。ポーションの返却に来たよー」

「……ああ、別に全部もらってくれてもよかったんだけどな」

「持っていても、使い道がないからねー」

「そうか。なら、受け取るとしよう」


 トワに残っていたポーションを全部返す。

 使った分のポーション代を払おうとしたんだけど、それはいらないっていわれた。


「……思ったよりも減ってないな。使う機会がなかったのか?」

「うーん、使うタイミングがよくわからないんだよねー」

「それもそうか。そうそう、三位入賞、おめでとう」

「おめでとう、イリスちゃん」

「ありがとー。ところで、なんで急に稽古を始めたの?」


 普段は滅多に稽古なんてしてなかったはずなんだけど。

 たまには運動がしたくなったのかな?


「……ああ。実はオープンクラスに出場することになってな」


 ……ボクが思っていたよりも、大事だったよ。


いつもお読みいただきありがとうございます。

毎回の誤字報告本当に助かっています。



~あとがきのあとがき~



今回でイリス編は終了。

次話からトワ視点に戻ります。


……本当は、これで本章を終わりにして次章に行く予定でしたが、変更することに。

まあ、そんなに話数は増えませんけどね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍版 Unlimited World 第1巻
2019年12月20日発売です!
UW表紙

小説家になろう 勝手にランキング


↓モフモフ好評連載中です お時間がありましたらこちらもよろしくお願いいたします↓

【新装版】うちのモフモフが最強! ~かわいさ最強(当者比)ワンコと行くVR冒険記。目指すはモフモフパラダイス!~


↓新作VRゲーム小説連載始めました 応援よろしくお願いします!↓
銀翼の冒険者がゆくVRMMO冒険譚~ときどき(彼女が)配信中~
仮面鍛冶士は今日も装備を作る ~Braves Beat~


小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ