347.マイスタークラス決勝トーナメント第一回戦
スキル【銃聖】【弓聖】をそれぞれ【銃聖術】【弓聖術】に変更しました。
過去話についても修正しています。
……職業名とスキル名がかぶっているのは想像以上に面倒でした(´・ω・`)
晩ご飯を食べてクランホームに戻ってくると、トワとユキちゃんがログインしていたよ。
「お、イリス。決勝トーナメントまで勝ち進めたんだな。おめでとう」
「おめでとう、イリスちゃん」
「ありがとー。決勝トーナメントも頑張るよー」
昼間はいなかったふたりに激励され、ボクのやる気もグンと上がったよ!
「それで、第一回戦の相手はどんなプレイヤーなんだ?」
「ガンナーだって。トワと一緒だね」
「そうか……。大丈夫か?」
「大丈夫だと思うよ。トワと戦うことでガンナー戦は大分慣れたからねー」
これは実際本当のことなんだよ。
マイスタークラスが始まるまで、時間があるときはずっとトワが練習相手だったから、ガンナーの戦い方ははっきり覚えている。
……むしろ、トワは【銃聖術】の効果で武器種関係なくスキルが飛んでくるから、ガンナーとしては非常にキツい相手だったんじゃないかな。
「それにしても、一戦目から遠距離職同士の戦いになるとはな」
「そうだね。イリスちゃん、ほかに勝ち残った遠距離職の人っている?」
ユキちゃんの疑問ももっともだよね。
遠距離職でバトルロイヤルって不利だもの。
「いないよー。魔術士がいるかどうかはわからないけど、ほかの参加者は全員近距離武器使いだったと思う」
「……魔術士さんもいないのかな?」
「予選がバトルロイヤルなのは予想できてたし、近距離武器を鍛えていたんじゃないかな。基本が魔術士なら、【魔法剣】系のスキルも簡単に覚えられるだろうし」
トワの言うとおり、近距離戦を想定して、武器の扱いを覚えたのかもね。
ユキちゃんも納得したみたいだし、あとは第一回戦で確認しよう。
「あ、そろそろ受付時間だから行かないと」
「わかった。頑張ってこいよ」
「イリスちゃん、ファイトだよ」
「うん。またあとでねー」
さて、それじゃあ、受付を済ませて控室にいこー。
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『さて、決勝トーナメント第二試合、出場者が出揃いました!!』
ボクの試合の番がきて舞台上に移動すると、対戦相手の人はすでに待っていたみたい。
第一試合を見てた関係で遅くなっちゃったかな。
前の試合は、ランサー対魔術士だった。
結果は魔術士さんの勝ちだったけど、次の相手って鉄鬼なんだよね。
鉄鬼はトワ相手の装備を固めてるだろうから、対魔法戦もできるはず。
くじ運の問題だけど、ちょっとかわいそうかな。
「来たようだね。ゆっくりしていたみたいだけど、前の試合を見ていたのかな?」
「うん。どんな人が参加しているのか、見ておかないとねー」
「そうか。ただ、この試合に勝てないと意味がないぞ?」
「大丈夫だよー。ガンナー対策はバッチリだからねー」
「わかった。これ以上は試合の中ではっきりさせよう」
相手の人との会話も終えて、ボクたちは開始位置まで移動する。
最初の装備は……短弓でいいかな。
『さあ、両者準備は整った模様! 第二試合カウントダウン開始です!!』
実況さんのかけ声と同時にカウントダウンがスタートする。
ここからは気を抜かないようにしなくちゃ。
『……5……4……3……2……1……始め!』
「クイックアロー!」
「バックステップ!」
ボクがクイックアローで先制攻撃を仕掛けたけど、相手はバックステップで間合いを広げた。
クイックアローが当たるとは思ってないし、フォワードステップで間合いを詰められた場合の保険だったから初手としては問題ない。
あっちは、武器をライフルに変えて長距離戦の様子だね。
ボクも魔導弓に装備を変更して応戦しなくちゃ。
「スピードリローディング、ハイチャージバレット、チャージショット、ハイチャージバレット」
「サイドステップ! ラピッドアロー! アローレイン!」
向こうの攻撃パターンは、ライフルを使う場合の基本に忠実だね。
トワに言わせると、ライフルだけで戦う場合、スピードリローディングで攻撃間隔を短くして、ハイチャージバレットとチャージショットを交互に繰り出すのが便利らしい。
一回攻撃するごとに少しずつ移動するのも、トワが言っていた通りかな。
それに対抗して、ボクはサイドステップで大きく移動、そのあとは連射力のあるラピッドアローで牽制して、アローレインで範囲攻撃をする。
あの戦い方の弱点は、いきなり横方向に移動されると狙いをつけ直すのに少し時間がかかることらしい。
なので、サイドステップで狙いを外してから、相手の動きを封じ、当てやすい範囲攻撃を使った。
「っ!! サイドステップ、バックステップ!」
「あー、やっぱり躱されるかー」
でも、さすがにボクの攻撃も外れちゃったね。
少しでもダメージを与えられたらラッキー、程度だったから気にしないけど。
ステップ系スキルは硬直もないし、ここは準備時間が必要な攻撃はできないね。
「クイックドロー、チャージアロー、チャージアロー、チャージアロー」
「くっ……、嵐の防壁!」
『おおっと、シフト選手。遠距離攻撃封じの嵐の防壁を使った!! だが、自分も遠距離攻撃が封じられるぞ!』
うーん、そうきたかー。
物理系の遠距離攻撃をすべて封じる、正確には一メートルくらい飛んだら消してしまうスキル、嵐の防壁を使われてしまった。
これで、60秒くらい遠距離攻撃は封じられちゃったよ。
「ウェポンチェンジ・ツインダガー、縮地、瞬撃」
「わっと」
あっちはサブウェポンに切り替えて、一気に間合いを詰めて攻撃してきた。
でも、接近戦だとトワのほうが何倍も鋭いね。
最初の一撃はぎりぎりかすっちゃったけど、それ以降の攻撃は全部回避できてる。
躱してばっかりでも負けちゃうから反撃しないとね!
「ロケットアロー!!」
「なにっ!?」
ボクは装備交換せずにゼロ距離ロケットアローを撃ちこんだ。
ロケットアローは、基本的にチャージしてから強力な一撃を放つスキル。
でも、0秒チャージで放つと、どんな態勢からでもいきなり攻撃できるっていう特性を持ってる。
あと、使った瞬間に自分が後退、矢が当たると相手もノックバックっていう距離を離すには最適なスキルだったり。
「ここからはボクのターン! 縮地、ラピッドアロー、クイックアロー、ブラストアロー!」
「がっ!!」
嵐の防壁は物理系遠距離攻撃を一メートルくらいしか飛ばなくするスキル。
でも、逆に考えると一メートルは有効なんだよね。
縮地でゼロ距離まで近づいたら、ラピッドアローとクイックアローの速射コンボでダメージを与えて、ブラストアローで体勢を立て直される前にもう一度吹き飛ばす。
相手も遠距離攻撃職だけあって、物理防御は低いみたい。
このコンボでHPを一気に削ることができたね。
でも、ボクの攻撃はまだ続くよ!
「からのー、フォワードステップ、アッパーサイクロン! そしてロケットアロー!!」
フォワードステップで再び接近し、【嵐魔術】のアッパーサイクロンで今度は上空に吹き飛ばす。
最後は、落ちてきたところにフルチャージのロケットアローを当ててフィニッシュ!!
『イリス選手の華麗な連続攻撃!! シフト選手のHPは……かろうじて残っている!!』
あれ、倒しきれなかったか。
それじゃあ、トドメだね。
「瞬速の矢!」
攻撃を放つと同時に命中するスキルを使い、残りのHPを奪う。
『勝負あり! 第二試合勝者はイリス選手!』
うん、危なげなく勝てたね。
……やっぱり、トワを練習相手にしていると、ほかのガンナーは動きが遅く感じちゃうよ。
いつもお読みいただきありがとうございます。
毎回の誤字報告本当に助かっています。
このあとストックが続けば2日間隔更新を頑張りたいと思います。
とりあえず、次回更新は30日予定。
~あとがきのあとがき~
戦闘シーンは雰囲気で乗り切って行きたいところですが、いちおうスキル等の解説
クイックアロー:【短弓】スキル。発動と同時に矢を放つ・攻撃力は通常攻撃と等倍
バックステップ:【格闘】スキル。使用と同時に3メートル下がる
スピードリローディング:【ライフル】スキル。通常攻撃およびスキル攻撃の間隔を短縮する
ハイチャージバレット:【ライフル】スキル。威力の高いノックバック効果のある攻撃
チャージショット:【銃】スキル。やや威力の高いノックバック効果のある攻撃
サイドステップ:【格闘】スキル。使用と同時に左右いずれかに3メートル移動
ラピッドアロー:【弓】スキル。高速で5本の矢を放つ。射出方向の微調整が可能
アローレイン:【弓】スキル。矢の雨を降らせて攻撃
クイックドロー:【弓】スキル。単発系スキルおよび通常攻撃の攻撃間隔を短縮する。複数射撃スキルを使うと効果が切れる
チャージアロー:【弓】スキル。チャージショットの弓版
嵐の防壁:補助アイテム。物理系遠距離攻撃の射程を強制的に1メートルまで短縮。一部スキルには効果がない
ウェポンチェンジ:特殊スキル。武器を一瞬で変更する
縮地:【格闘】スキル。15メートル以内の任意の地点に瞬間移動する
瞬撃:【短剣】スキル。高速攻撃
ロケットアロー:【魔導弓】スキル。任意時間のチャージ後に矢を放つ。攻撃倍率およびリキャストタイムはチャージ時間によって変わる。攻撃後自分は2メートル後退。ノックバック効果あり
ブラストアロー:【魔導弓】スキル。着弾すると爆発し周囲にダメージとノックバック効果を発生。攻撃後自分は3メートル後退
アッパーサイクロン:【嵐魔術】スキル。当たった相手を上空へと吹き飛ばす。吹き飛ばされた相手はノックダウン状態となり行動不能になる
瞬速の矢:【魔導弓】スキル。矢を目標の目前までワープさせて攻撃。目視できていれば途中に障害物があっても無視される
※瞬速の矢は嵐の防壁の効果を無効化します