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Unlimited World ~生産職の戦いは9割が準備です~  作者: あきさけ
第8章 新たなる知識を求めて
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268.エルフの国の首都【ブリーズウッド】

ブリーズウッド探索回

あまり深くは探索しませんけど


 おっさんのハンドガンの見積もりを送り終えた俺は、2人に少し遅れつつもブリーズウッドへと向かった。

 ブリーズウッドはまさに、森の中に街があると言うイメージで、普通の木造建築や、ツリーハウス、それに大きな木そのものを家に改造しているのか木の中に向けてドアがついているところもある。

 とりあえず俺は、話を聞きながら調合ギルドへと向かった。

 調合ギルドも背の高い木々に挟まれる形で建っている建造物だったので、場所を聞かないと見つけられなかった公算が高い。


 俺はギルド内に入ってすぐのところにいた案内係に今回の訪問の目的を伝える、2階の受付に進むように案内されたのでそれに従い2階の受付にやってくる。

 やっぱりこのギルドも、1階の受付はそれなりの人数がいたが、2階に来るとまばらにしか人がいなかった。

 おそらく、ここも上位調合士専用の窓口なのだろう。

 俺は空いている窓口を適当に見つけて、受付嬢にセイルガーデン王国のギルドでもらった紹介状を渡す。

 紹介状の差出人と宛名を確認した受付嬢は、ギルドマスターに取り次ぎをすると言うことでしばらく待つことになった。

 この機会なので2階の受付全体を見渡してみる。

 エルフの国なので何か特徴的なものがあるかと思ったが、特別他のギルドと変わった様子のものはなかった。

 これはギルド全体で雰囲気を揃えてるのかね?


「お待たせしました。ギルドマスターが面会するそうですのでこちらへどうぞ」

「ああ、わかった。今行くよ」


 周りを見渡しているうちに、随分時間が経っていたようだ。

 受付嬢に案内されるままギルドの3階部分へと進み、一際重厚な扉の前で止まる。

 受付嬢が一言断ってから部屋の中に入ると、そこには1人のイケメンエルフがいた。


「ようこそ、異邦人の調合士君。私がこのギルドのギルドマスターだ」

「初めまして、調合士のトワです。よろしく」

「うん、よろしく。まあ、まずは掛けたまえ。そんなに長い話ではないが、落ち着いて話が出来た方がよかろう」

「そうですね。では失礼して……。それで今回の本題ですが」

「ああ、わかっているよ。フォレスタニアで開発された強化型回復薬『メガポーション』系の作成レシピと、『メガポーション』を作るのに必要な素材類の購入許可だったね。それについては問題なく準備できるから心配しなくても良いよ。『メガポーション』の素材類は一日に卸せる量が限られているから、済まないが毎日買いに来てもらえると嬉しいな。……ああ、少し時間はかかるが君のクランでも買えるように手配はしておこう」


 どうやら、今日、ここを訪れた目的の一つは早々にクリアできたようだ。

 クランへの納品が遅れるという事ならば、毎日の仕入れルートの中にこのギルドも含めてしまえば良いだけだしな。

 幸い、このギルドのそばにもサブポータルがあったし。

 ……ああ、そう言えば、サブポータルから直接クランホームと行き来できるようにしなきゃ。


「さて、紹介状に書かれていた用件はこれだけであったが。他に聞いておきたいことはあるかね?」

「そうですね。『精霊魔術』と『精霊魔術研究所』について教えてほしいのですが」

「ふむ、それか……。済まないが君は精霊と契約しているかな? 契約しているなら見せてもらいたいのだが」

「構いませんよ。眷属召喚・エアリル」

「呼ばれて参上! 今回の用事は何かな?」

「あー、特に用事は無いかな。『精霊魔術』の事を聞くために呼んでもらいたいって事だったから」

「なーんだ。まあ、それでも構わないけどね」


 言いながら、エアリルは俺の左肩へと腰掛けた。

 ……そう言えば、精霊の次の進化ってレベルいくつなんだろうな?

 夏休みイベント中にオッドが進化可能になっていたので、慌てて進化させたのはつい最近の出来事だ。


「……ふむ、しっかり精霊と契約出来ているようだね。それだけ懐かれているなら問題なさそうだ。『精霊魔術研究所』に紹介状を書くから少し待っていてくれ」


 ギルドマスターは自分のデスクに戻ると、一枚の便箋を取り出してそれへと認めていく。

 エアリルと待つこと数分、紹介状の準備が出来たらしいのでそれを受け取った。


「私の方で用意できる紹介状はこの程度だな。これだけでも問題ないと思うが、他のギルドにも顔を出す予定なら、そちらでも紹介状をもらっておいた方がいいだろう。『精霊魔術研究所』の連中は頭が堅いものが多くて困る」

「はは……、わかりました。この後、錬金術ギルドとガンナーギルドにも顔を出す予定なので、そちらでも聞いてみます」

「その方がいいだろう。……ああ、錬金術ギルドに行くのはこの後すぐかな? もしそうなら、済まないが手紙を一通持っていってもらいたいのだが」

「わかりました。その程度でいいのでしたら」

「助かるよ。これがその手紙だ。そこまで急ぎではないが、今日中に届けてくれ」

「わかりました。それではこれで」

「ああ、気をつけて行ってくれ」


 調合ギルドのギルドマスターとの面会が終わったら、早速各種メガポーションのレシピと生産用素材を買えるだけ買ってしまう。

 帰って調合してみたいところだけど、時間的に厳しいから明日以降、時間があるときにだな。


 調合ギルドをでると、すぐさまサブポータルを使って錬金術ギルド前に移動する。

 調合ギルドと錬金術ギルドはそんなに離れているわけではないが、ブリーズウッドではサブポータルを使う程度には距離があった。

 ……全体像を把握していないから何とも言えないけど、ブリーズウッドはセイルガーデン王国の王都よりも広いんじゃなかろうか。


 錬金術ギルドではこれまた2階の受付に案内されて、ギルドマスターと面会することになった。

 まずは調合ギルドで預かってきた手紙を手渡して、頼まれていた用事を終わらせる。

 錬金術ギルドマスターも中身を確認しないで、デスクの中にしまい込んだという事は中身も把握済みと言う事だろう。


「ところで、その手紙の内容は聞いても大丈夫ですか?」

「うん? ああ、特に後ろ暗いものでもないからね。内容は素材の流通に関する内容の事だ。錬金薬士なら知っているだろうが、上位のポーションを作成するには錬金術が不可欠になってくるからな。それについて、素材の供給量をあげる事ができないかという相談だ」

「なるほど、難しい問題ですね」

「……なんだったら君が手伝ってくれても構わないぞ。凄腕の錬金術士、それも錬金薬士となれば薬草類の下処理という意味では得意分野だろうからな」


 ああ、これはクエストとして受けるかどうかの選択肢だな。

 悪いけど、今回は切羽詰まってるわけでもなさそうだし、こっちの予定もあやふやなのでお断りさせてもらおう。


「すみません、時間が無いですね。この後、『精霊魔術研究所』に向かわなければいけないので」

「『精霊魔術』か。それならば仕方がないか。どれ、どこまで効果があるかはわからないが、研究所宛ての紹介状を用意しよう」


 錬金術ギルドマスターはデスクに戻り、一通の手紙を認めて手渡してきた。

 これが錬金術ギルドの紹介状という事なのだろう。


「さて、これで錬金術ギルドでの予定は終わりかな?」

「そうですね、これで終わりですね」

「それならばついてきてくれ。ガーゴイルの作り方を教える」

「ああ、この国でもガーゴイルの作り方を教えてもらえるんですね」

「銀時計を持っているなら問題ないからな。さあ、こっちだ」


 ギルドマスターに案内されて入った部屋には数種類のガーゴイルが安置されていた。

 ジパンのガーゴイルは鎧武者や金剛力士像だったけど、こちらのガーゴイルは騎士像のような一般的な彫像と言った感じだな。


「さて、これが我々フォレスタニアに伝わっているガーゴイルの製法だ。持ちだしは厳禁なのでここで覚えていってくれ」

「わかりました。それでは読ませてもらいますね」


 ガーゴイルの製法自体はジパンでみたときと大差ないようだな。

 種類によって微妙に素材の必要数が増減しているくらいか。


 レシピを全て登録した俺は、レシピをギルドマスターに返却する。


「もう覚える事が出来たのか。……相変わらず異邦人の錬金術士には驚かされるな」

「……前にも異邦人の錬金術士が来たことがあるんですか?」

「ああ、前に一人来たことがある。その者も、レシピを軽く流し読みするだけで覚えたと言っていたな」


 うーん、ゲームとしてのシステムアシストがあるからな。

 それが無くちゃ、あんな複雑な製法なんて覚えきれないし。


「ともかく、覚えられたのならよいことだ。出来る事ならば完成したガーゴイルも見てみたいものだがな」

「ガーゴイルを作る予定は今のところありませんからね。まあ、機会があればその時にでも」

「そうか、わかった。……ああ、くれぐれも『精霊魔術研究所』では気をつけるようにな」

「わかりました。それではこれで」


 錬金術ギルドを後にしたら、今度はガンナーギルドに訪問だ。

 また、街の端の方にあると思っていたが、フォレスタニアでは割合、街の中心部付近に居を構えていた。

 中に入ってギルドマスターに話を聞くと、ギルドを設営する際にたまたまこの建物が売りに出ていたため買い取ったらしい。

 そんな、ギルドの裏話も交えつつ、ガンナーギルドでも『精霊魔術研究所』宛ての紹介状を書いてもらった。

 なお、このギルドの運営自体は非常に好調で、製造クエストも急ぎでヘルプに入らなくてはいけないようなものはないそうだ。

 ……ヘルプに入ってくれるなら大歓迎だとは言われたけど。

 ヘルプの件は丁重にお断りして、時間があるときに訪れる機会があればという事で話がついた。


 さて、俺の方はこれで3つのギルドを訪れることが出来たわけだけど、他の2人はどうなったのかな?

 そこにちょうど、柚月からのフレチャが飛んできた。


『はーい、トワ。そっちの挨拶回りは終わったかしら?』

「今ちょうど終わったところだ。そちらは?」

『こっちはもう終わってて、ユキも合流してるわ。転移門広場にいるから合流しましょう』

「わかった。すぐにそっちに向かうよ」


 サブポータルから転移門広場へと直接ジャンプする。

 転移門広場は人影もまばらだったので、すぐに2人と合流できた。


「おかえり、トワ。それで、そっちの首尾はどうだったの?」

「行った3つのギルドでそれぞれ紹介状をもらえたよ。そっちは?」

「私も魔術士ギルドと裁縫ギルド両方で紹介状をもらえたわね。……個人的にはエルフ独特の裁縫技術というのが気になるところだけど」

「私も2つのギルドで紹介状を書いてもらえたよ。私の魔術の腕前なら問題ないだろうって」

「……そのセリフから察するに、一定以上の魔術スキルを覚えてないとダメなのか?」

「可能性は高いわね。……明日にはイリスもログインするだろうし、その辺りについてはイリスにも確認してもらいましょう。イリスの魔法系スキルはそんなに高くなかったはずだからね」

「だな。それじゃあ、今日はこれで解散か?」

「そうね。私はこれから生産ギルドに行って販売品目の更新を行ってくるわ」

「……あ、販売品目の更新忘れてた」

「……すぐに済むんだから、寝る前に済ませておいてよね」

「うい、了解」

「それじゃあ、私は先に休ませてもらいますね。お疲れ様でした」

「お休み、ユキ」

「お疲れ様、明日以降の調査もよろしく頼むわよ」


 ログアウトするためにクランホームに戻っていくユキを見送り、俺と柚月はクランホームでの販売品目の更新を行う。

 柚月にはサブポータルのクランホーム直接転移についてもお願いしておいた。

 クランホームに帰ろうとすると、既にサブポータルからクランホームに直接転移出来るようになっていた。

 さすが柚月、仕事が早い。


 さて、今日のところはこんなところか。

 明日はおそらく『精霊魔術研究所』とやらに行く事になると思う。

 色々な場所で注意されたけど、一体どんな場所なんだろうな。

いつもお読みいただきありがとうございます。

「面白かった」「これからも頑張れ」など思っていただけましたらブクマや評価をお願いします。

作者のモチベーションアップにつながります。

毎回の誤字報告本当に助かっています。

感想もありましたらよろしくお願いします。



~あとがきのあとがき~



毎日更新継続中なので忘れてましたが、これが平成最後の更新ですね。

明日からもよろしくお願いします。

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