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Unlimited World ~生産職の戦いは9割が準備です~  作者: あきさけ
第7章 都市防衛戦 都市ゼロ
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249.【防衛戦1日目】初日・戦闘終了

「やったぞ!」

「俺達の勝利だ!!」

「イエーイ!!」

「見たか運営!! ナイトメアだかなんだか知らんがクリアしてみせたぞ!!」


 防衛成功のワールドアナウンスが流れると同時にプレイヤー達の間で大歓声が巻き起こる。

 俺の側にいるイリスも満足げな様子だ。


「お疲れ様、トワくん、イリスちゃん。大丈夫だった?」


 支援部隊に組み込まれていたユキが俺達を見つけて駆け寄ってくる。


「あ、ユキちゃん、おつかれー。こっちは大丈夫だったよー」

「そうだな。俺達は遠距離アタッカーだし危険な場面はほとんどなかったな」

「そっか。それならよかったよ」


 実際、遠距離アタッカーが狙われるような攻撃はしてこなかったしなぁ。

 これで難易度ナイトメアって言うのはかなり温い気がする。

 ここの運営の事だから、何かさらなる仕掛けが用意されていてもおかしくないはずなんだが……

 少なくとも今日のところは打ち止めか?


「防衛戦に参加してくれた諸君、お疲れ様! まずはこの南門の防衛成功を祝おう!」


 総指揮官であった白狼さんがプレイヤー達に対して演説を始める。

 お祭り騒ぎだったプレイヤー達も落ち着きを取り戻し、耳を傾け始めた。


「南門の防衛は完了したが、この様子だと南門以外の防衛戦はまだ続いているみたいだ! 余力のあるプレイヤーは、他の門の……」


《東門の防衛に成功しました。門の損傷率は11%です》


 白狼さんの演説の途中で東門の防衛も完了したようだった。


「東門も防衛に成功したようだね。残った北門、および西門の援軍に向かってほしい!」


 白狼さんの演説は終わり、プレイヤー達もそれぞれ行動を始める。


 ダメージや精神的疲労、装備の損耗などが激しくこの場に残るもの、他の門の防衛に向かうためにすぐさま街に戻っていくもの、仲間達と今後の予定について話し合うものなど様々だ。


 かく言う俺達自身はというと、ひとまず状況整理待ちだ。

 前線で敵の攻撃を受け続けていたタンク達は消耗が激しく、これ以上の戦闘は難しい。

 かといってアタッカー陣やヒーラーなどの余力があるかと問われればそれもまた微妙である。

 バッファーであるユキは直接戦闘はしていないものの、ポーション類はほとんど使ってしまっているらしい。

 ポーションが足りていないのはヒーラー陣も一緒だ。

 そして俺も含めたアタッカー陣はと言うと、メインウェポンの耐久値が気になるところだ。

 これだけ激しい戦いをくぐり抜けた後である以上、武器の損耗もかなりなものがある。

 ……もっとも、俺やイリスに関して言えば武器の消耗は少ないのだが。

 長距離攻撃メインになることはわかっていっため、メイン武器として使っていたのは輝竜装備のオリジン武器。

 イベント報酬として与えられた耐久値無限の特殊装備だ。

 なので、武器の損耗だけを考えれば援軍に行く事も可能なのだが……


「おう、トワ。そっちの調子はどうだ?」

「霧椿か。俺の方はポーション不足と言ったところだな。武器はなんともないけど、明日のことも考えるとポーションを節約したい」

「なるほどなぁ。あたしとしてはまだ戦いたいところなんだがねぇ……」

「それなら他の門に行ってきたらどうだ? 東門以外はまだ戦闘中だろう?」

「うーん、一応、あたしもレイドチームの一人だからね。勝手な行動はどうかと思う訳よ。ポーションだって明日のことを思えば消耗が少ないに越したことはないしね」

「まあ、それはそうだよな。さて、どうしたものか……」

「おや、皆、何を悩んでいるんだい?」


 総指揮官だった白狼さんが俺達の元に戻ってきた。

 白狼さん自身はグレーターデーモンがそばに来るまで戦闘をしていないから損耗はほとんどないだろうな。


「ああ、白狼か。いやね、あたし達も他の門の援軍に向かうべきかって話をしてたんだよ」

「他の門の防衛か……難しいところだね。僕はほとんど消耗していないから問題ないだろうけど、他の皆はそうでもないだろう? 特にタンク陣はこれ以上の戦闘は無理だろうしね」

「そう言う訳だよ。それで、どうしたものかとね」

「それなら、ここで一度レイドチームを解散としようか。後は各自の判断で援軍に向かえるようにね」

「……それで構わないなら、あたしは行かせてもらうけど、いいのかい?」

「ああ、大丈夫だよ。ただ、明日の分の余裕は残しておいてほしいけどね」

「わかったよ。それじゃあ、また明日な!」


 霧椿はレイドチームを抜けると街の方に向けて走り去っていった。

 他にも、3名ほど同じように抜けていったメンバーがいる。

 どうやらそれなりに余力があるメンバーがいたようだ。

 あるいは、サーバー内ランキングを上げるための詰めかもしれないけど。


「トワ君達は援軍にいかないのかな?」

「うーん、俺達は様子見ですかね。援軍に行くにしろ行かないにしろ、ポーションの在庫が怪しいのは変わりませんから」

「なるほどね。トワ君は特に派手にやっていたようだし、ポーションが足りなくなるか」

「流石に援軍に行った先では大技を出すつもりはないですけどね。どちらにしても、今日のところは予想以上の消費をしてしまったのは間違いありませんね」

「そうか、わかったよ。とりあえず街まで戻ろうか。情報系クランのところにいって、状況確認と今日の戦闘でわかったことの報告をしないとね」

「わかりました。それじゃあ、いきましょうか」


 白狼さんも含めた『白夜』のメンバーとともに街の中に戻り、作戦本部になっている中央の転移門広場へと向かう。

 転移門広場に向かう途中で北門の防衛に成功したとメッセージが流れた。

 門の損傷率は21%、それなり以上に奮戦した様子だ。


 そして、作戦本部へと戻った俺達であったが、作戦本部の様子は想像以上に慌ただしいものだった。

 白狼さんは近場にいたプレイヤーに声をかけて様子の把握を試みた。


「南門から戻ったよ。何やら騒がしいようだけど何かあったのかい?」

「ああ、白狼さん。戻ってきてくれたんですね。お疲れ様でした。実は西門が少々危険な状態になってまして……」

「西門が? あそこも有力なクランが指揮をとってるはずだから、そこまで問題になりそうな気配はなかったはずだけど……」

「それについては私が説明するのである」


 作戦本部の奥から教授が現れた。

 教授自身からはあまり焦った様子は窺えないな。


「まずは南門の防衛成功お疲れ様である。それで、西門の様子であるが20分ほど前から連絡が途絶えたままなのであるよ」

「連絡が途絶えたままって、何かあったのか?」

「うむ。まずは防衛戦の最中は門を越えてのチャットは使えないのである。これについては早い段階からわかっていたので早期に伝令を使うことで解決したのである」

「そうだね。そこは理解しているよ。それで西門が危険な状態になっている理由は何かな?」

「一つ目の問題は西門が一番プレイヤー数が少なかった事である。西門だけは参加者が150人に届いていなかったのであるよ」

「そうなのかい? 特別手薄になる理由はないと思うんだけど」

「理由については今のところ不明である。だが、戦力的に薄かったことは事実である」

「わかった。それについては解決しているのかい?」

「早期に遊撃として残っていてもらった『UW愚連隊』と『百鬼夜行』に参戦してもらったのである。予備戦力がなくなるのは痛いのであるが、あちらとしてもそれなりの成績を残す必要があったためすぐさま行動してもらったのである」

「それならとりあえず問題なさそうだけど……。他にも何かあったのかい?」

「二つ目の問題は、敵が街門に到達すると引き離さない限り門を通行不可能になることである。実際、最後に戻ってきた伝令は、もうすぐにでもグレーターデーモンが門に到達する、という内容だったのであるよ」

「なるほどね。それで、その後は?」

「伝令も門を通れない状態が続いているのである。増援として他の門から集まってくれたプレイヤーも、おそらくは門の前で待ちぼうけを食らっているはずである」

「……それは穏やかじゃないね。何とか解決の糸口はないのかい?」

「一度でも伝令を送り出せれば、正面からのノックバック攻撃が通用することを伝えられるのであるが……それすらできていない状況であるなぁ」

「つまりはこのまま様子を見るしかないという訳だね」

「そう言うことであるよ。少しでも門が通れるようになれば、他の門からの援軍を送り込めるのですぐにでも決着がつくのであるが……」

「そのためには西門のプレイヤー達が自力でノックバックのことに気付かなければいけないと」

「そう言うことである。ただ、時間的に見てもそろそろ決着がつくはずなのであるよ」

「それじゃあ、僕達はここで待機という事で構わないかな?」

「そうしてほしいのである。今のうちに手の空いてるものは装備の耐久値回復を行っておいてほしいのであるよ」

「了解。それじゃ、様子を見させてもらうよ」


 状況確認が終わったため作戦本部から離れて休憩という事になった。


 装備を消耗しているプレイヤー達はそれぞれ装備の修理へと向かっている。

 イリスも自分の装備の修理ついでに装備の修理を手伝いにいった。

 装備の修理を行っているプレイヤー達の中には柚月やドワンの姿も見受けられる。


 俺とユキはと言えば、今のところ何も出来ないため待機状態だ。

 西門に向かってもいいのだが、西門の外に出られないなら一緒のためここで待機している。

 クランホームに戻れるなら俺とユキもアイテム作成ができるのだが、防衛戦中はクランホームに行けないためそれもできない訳で。

 ……つまりは暇をしているのである。


「トワくん、防衛戦はどうなるかな?」

「少なくとも今日のところは負けはないだろう。『UW愚連隊』や『百鬼夜行』がいれば早々やられはしないだろうし」

「そっか。それならいいんだけど。……ただ、待っているというのもじれったいよね」

「それはあるかもな。かといって、俺達が出来る事も……」


 俺達が出来る事も無い。

 そう言おうとしたときワールドアナウンスが届いた。


《西門の防衛に成功しました。門の損傷率は67%です》


「……とりあえず勝ったらしいな」

「そうだね。でも、かなり被害を受けてしまっているから大変かも」

「そうだな。明日はきついかもしれないな」


《全ての門の防衛戦が終了しました。これにて防衛戦1日目の戦闘を終了いたします。各種ランキングについては集計完了後発表いたしますのでしばらくお待ちください》


 とりあえず初日の防衛戦は終了したらしい。

 ランキングには興味がないから構わないけど、これから先が大変なんだろうな。

 どちらにしても明日に備えてポーションを作りにクランホームに向かうとしよう。

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