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Unlimited World ~生産職の戦いは9割が準備です~  作者: あきさけ
第7章 都市防衛戦 都市ゼロ
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237.【4日目】レイドとイベントに向けての準備

 一夜明けて、イベント4日目。

 今日は土曜日なので、『妖精郷の封印鬼』に向かう日だ。

 今日、レイドクエストを行うことは参加者の間で確認が取れているので問題ない。

 問題があるとすれば、イベントサーバーにいられる時間をどうやって過ごすかだろうな。


 昨日の打ち合わせの話で行くと、この先さらにモンスターが強くなる可能性がある。

 それに対抗するためには、強力な装備や消耗品が必要になる訳なんだけれど、どちらも作れる量には限りがある。


 特に俺の場合、回復の要となり得る最上位ポーション類の作成スキルと、おそらくサーバーで最上位のガンスミスとしてのスキル、この両方を併せ持つ形になる。

 銃の製造数を増やせば当然ポーションを作れる数は減ってしまう。

 かといって、銃を作らないとなると多くはないとは言え、銃使いの攻撃力を上げることができなくなってしまう。


 可能なら、どちらか一本に絞った方がいいのだろうけど、結構難しい話だよな。

 バランス良く作っても、余ってしまったら意味がないんだし。

 とりあえず、ポーション作成を優先しているけど、この方針で行って問題ないのかどうかが疑問だよな。


 色々問題はあるけれど、午前中は巻物の解読に集中することにしよう。

 このスキルが手に入れば、防衛戦イベントの時に役に立ってくれるはずなんだから。

 それから、イベントサーバーでの作業時間の割り当ては教授にでも相談しておくか。

 教授ならその辺の事情に詳しいだろうし、何か助言をしてくれるだろう。


 そう言う訳で、午前中は昨日と同じように巻物の解読作業に割り当てた。

 ユキも昨日と同じように屋敷に来ていて、俺の作業を眺めていたり、休憩の準備をしていたりと色々と気を使ってくれた。

 俺一人だとどこまでも没頭してしまうから、本当に助かるところだよ。


 午前中のログインが終わったら、昼食を挟んで午後のログイン。

 今日の夜はレイドクエストで不在になるから、イベントサーバーのログイン時間は使い潰してしまっても構わないんだよな。

 今日の予定を考えつつ、師匠のところから仕入れてきた薬草をポーションに加工していると教授がやってきたらしい。

 何でも、俺の相談事について話があるそうな。

 今やっている作業が一段落ついたら教授とあって話をすることに。


「やあ、お邪魔しているのであるよ」

「こっちこそ。わざわざ来てもらって済まないな」

「そんな事はないのであるよ。確かにトワくんの生産能力は他のプレイヤーと比べても貴重であるからなぁ」


 貴重って、どういう意味だよ。


「それってどういう意味で言っている?」

「替えが効かないという意味であるよ。確認しているプレイヤーの中で蘇生薬まで完璧な品質で作れる生産者はトワくんを含めて4人のみ。そして、★12の銃を作れる生産者はトワくんしかいないのである」

「なるほどな。そうなってくると、俺がどっちを作るかって部分でその配分が難しくなると」

「そう言うことであるな。正直なところ、ポーションはどれだけあっても困らないのである。トワくんはいなかったようなので知らないのであろうが、前半イベント最終日のレイドボス戦は最終的にゾンビアタックで倒したようなものであるからなあ」

「話には聞いてるよ。実際、その翌日はポーションの在庫を増やすのにかなりの時間を費やしたからな」

「そう言う訳なので、可能な限りポーションを増産してもらいたいのである。銃の製造については、我々で必要数を把握してその数だけ作ってもらうだけでいいようにするのである」

「それはありがたいが、そんな事が可能なのか?」

「情報系クランが全力を挙げれば造作もない事であるよ。掲示板や口コミを利用して希望者の数を正確に把握するのである。そうすれば必要のない銃の作成は避けられるのである」

「それが可能ならそうしてほしいかな。……ちなみに、募集した結果、俺の生産能力を超える数が必要になった場合はどうするんだ?」

「その時はその時で対処出来るのである。一応、★11の銃を製造できるプレイヤーは知っているのである。そのプレイヤーにも協力してもらい、★12と★11で装備を揃えられるようにするのであるよ」

「それなら構わないんだが。ちなみに、その★11を作れるプレイヤーって都市ゼロの所属か?」

「もちろんそうである。今まではフリーでやってきた生産系プレイヤーらしく、知られてなかったのであるが、今回のイベントでかなり有名になっているのであるよ」

「……それなら、そのプレイヤーに銃の製造は全て任せたいところなんだけどな」

「彼本人もガンナーであり、トワくんの銃を欲しているプレイヤーの1人であるからして。流石にそこまで上手いことはないのであるよ」

「そう言うことなら仕方が無いか。それじゃあ、悪いけど調整は頼んだ」

「任せるのである。調整に2日ほどもらうのである。月曜日にはおおよその製造数を把握できるはずなのである」

「了解。それまではこれまで通り、ポーション作成に全力で構わないんだな?」

「それで大丈夫なはずである。どうしても急ぎで作ってほしい場合は、明日にでも知らせるのであるよ」

「わかった。それじゃあ、俺はこの後こっちのサーバーで作業が終わったらイベントサーバーの方に向かう事にするから、調整はお願いするよ」

「承知したのである。それではまたである」


 教授を見送り、工房へと戻ってポーション作り。

 今作っている分のポーションについても、いざとなったらイベントで消費することを考えておかないとダメだろうな。

 通常サーバーからの持ちだしはなるべく少なくなるようにしたいところだけど、ケチって防衛失敗にならないようにしないといけないからな。


 1時間ほどでこちら側でのポーション作りは終わったので、都市ゼロに移動してポーション作成を行う。

 ポーションの材料は相変わらず山のように出品されているので素材に困ることはない。

 逆を言えば、これだけの素材が宙に浮いている形になるのだろうけど、それはそれでしょうがないことだろう。

 途中でハルやリク達のパーティがやってきて、そちらの分のポーションを作る事になった。

 正確に言えば、素材分の作り置きポーションを渡したのだが。


 俺が忙しいのは理解している様子で、ポーションの引き渡しが終わったらすぐにまた出かけていった。

 何でも、他の生産系プレイヤーを護衛しながら色々な素材を集めているらしい。

 どちらのパーティも夜はレイドクエストを控えているので、夜までの間にイベントサーバーのログイン可能時間を使い潰すつもりらしい。

 俺達も同じようにログイン時間を消費してしまおうと考えている以上、その辺は似通ったところなのかねぇ。

 ……まさか、ここまで廃人プレイみたいな真似をすることになるとは思ってもみなかったのだが。


 ひたすらポーションを作り続けること7時間ちょっと。

 上級ポーション素材の在庫がほとんど市場から消えてしまったため、一息つくことができた。

 談話室では他の皆も休憩中である。


「……流石にこれだけの素材を使って、遠慮なく装備を作れるとなると楽しいわね」

「そうじゃのう。普段はある程度手を抜く……と言うべきか、最高品質にならないように注意しながら作っておるからのう」

「そうだよねー。普段からこうやって作れれば結構楽しいのになー」

「そこは難しいだろうよ。あまり俺達が本気を出した結果、市場をいくつかのクランだけで占めてしまうような真似はできない訳だし」

「そこの辺りはどうにかしてもらいたいところよね。できれば、このイベントが終わったくらいには、この都市に来ている生産系プレイヤーだけでも★11がコンスタントに作れるようになっていてくれると嬉しいのだけれど」

「それもどうだろうな。教授情報によれば★11の銃を作れる錬金術士は見つかったみたいだけど」

「あら、それだけでもすごい事じゃない。今までだと、市場に★10の銃だって出回っていなかったくらいなんだから」

「確かにそうじゃの。他の装備はたまに★10が流れるようになってきておったが、銃については見かけたことがないからのう」

「確かにねー。銃を作れる錬金術士って結構少ないのかなー?」

「錬金術士自体が少なめな気がするけどな。他の生産職に比べたら、メインで作れるアイテムって言うのが少なめなんだから」

「……確かにそうじゃの。メインとなると銃の最終工程くらいで、他は薬草の下処理などの中間素材の作成がほとんどじゃの」

「一応、ボム関係はメインで生産できるとも言えるけど……今はあまり使われていないものね」

「まあ、そういうことだ。縁の下の力持ち的な役割はあるけど、メインになれない関係上、あまり人口が多くなさそうなのが錬金術士なんだよ」

「それも不憫な話じゃのう。メインになれない故に人口が少なく、かといってまったくいないとなると問題が生じる。難しいところじゃのう」

「だねー。もうちょっと目立つ事があるといいのにねー」


 なんだか話していたら、錬金術士の不遇さの話になってきてしまったな。

 話の内容を切り替えるとしようか。


「ところで、柚月。昨日渡した銃ってもう納品したのか?」

「え、ああ、もうしたわよ。お金は後で渡すことにするわ」

「そうか。ところで、どこからの依頼だったんだ?」

「1人は『百鬼夜行』のガンナー。他は全部、生産系クランのメンバーからの依頼よ」

「……なるほどな。生産系クランのメンバーはサブウェポンとしてか?」

「今だとどちらがメインウェポンかわからないって言ってたけどね。ライフルに慣れると、近づかれる前に倒せてしまうって言ってたから」

「それは重畳。役に立ってくれているみたいで良かったよ」

「あれだけの装備だもの、役に立たないなんて事は無いと思うけどね。……そろそろ私はログイン時間がなくなってきたわね」

「わしもじゃの。ログイン時間に余裕があるのは、来るのが遅かったトワくらいじゃろう」

「ボクももうすぐ時間切れかなー。そろそろ通常サーバーに戻らないとだね」

「私もそろそろ時間ですね。トワくんはこの後どうするの?」

「俺の方もこれ以上作る必要はなさそうだからな。皆と一緒に戻ることにするよ」

「そう、わかったわ。それじゃ、引き上げるとしましょう」


 こうして4日目のイベントサーバーでの活動は終了した。

 4日目だけどほぼルーチンワーク化してるから、慣れてしまったというか、新しい刺激がほしいというか、そんな感じだな。


 さて、それじゃあログアウトして夕飯の準備としますかね。

いつもお読みいただきありがとうございます。

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