227.【1日目】前説明は踊らない
祝1100万PV&200万UA突破!
いつもお読みいただきありがとうございます。
これからも頑張っていきます。
初日打ち合わせ前半。
完全な説明回なので面倒だったら読み飛ばしてもOKです。
後書きでざっくりまとめを書いておきます。
「それでは時間になったのである。これから第1回都市ゼロ攻略会議を開始するのである」
会議場中央部で教授が会議の開始を宣言した。
それにともない、ざわついていた会議場内も静かになり、会議を始める体制が整ったようだ。
「まずは主催側から挨拶である。この度はこの会議に参加していただき大変感謝するのである。今回、司会を担当させてもらう教授である。この会議に先立って、いくつかの情報系クランで手分けして情報を集めているのであるが、都市ゼロだけは他の都市サーバーと異なる部分が多いのである。今回はその内容についての意識あわせをメインに行っていきたいのである。また、この会議はリアルタイムで中継されているのである。会議の参加者以外にも情報は拡散されることを念頭に発言してほしいのである。」
「ちょっと待ってくれ、都市ゼロだけが違うというのは本当か?」
「本当なのである。その内容については会議の中で説明させていただくのである」
「それじゃあ、他のサーバーの攻略情報は当てにならないって事?」
「そう考えてもらって構わないのである。実際、他のサーバーで使えるサービスが受けられなかったり、逆に都市ゼロでだけ使えるサービスがあったりしているのである。今ここに参加している者で都市ゼロ以外の参加者がいるのであれば退席してもらっても構わないのである。おそらく、都市ゼロ以外のサーバーでは使えない情報が多々含まれることになるのであるよ」
教授の宣言を受けて退席していくプレイヤー達がちらほらと見受けられる。
都市ゼロ以外のサーバーについてはサーバー毎の対抗戦のような形式になっているらしいし、少しでも情報を集めて有利に進もうと考えていた別サーバーのプレイヤーが混じっていたようだ。
だが、どうやら都市ゼロだけはそれ以外のサーバーとかなり違った設定になっているらしい。
情報系クランが合同で情報を集めているのであれば、その内容は間違いないだろう。
と言うか、他のサーバーってどうなっているんだろうな。
「……これ以上質問がないのであれば早速説明に移りたいのである。まずは都市ゼロに行く前の装備の封印について。これは最初にアクセスする前に説明があるのであるが、最初にアクセスする前に選んだ武器1つ以外は装備が封印状態になり性能が低下するのである。具体的には武器装備は攻撃力半減とステータス上昇効果の封印、防具についてはステータス上昇効果の封印のみである」
「質問だ。俺はまだ都市サーバーにアクセスしてないのでわからんが、最初に選べる装備は武器だけなのか? 防具や盾は選べないのか?」
「防具や盾は最初の封印解除では選択できないのである。また、聖霊武器については封印状態にはならずそのままフルスペックで利用できるのである」
「ってことは聖霊武器はあった方が最初は楽という事だな?」
「そう言うことである。ただ、聖霊武器をこれから作る時間があれば、都市ゼロに行って普通に装備の封印解除を行った方が早いのである。そこあたりのさじ加減は各プレイヤーに任せるのである」
聖霊武器を作っているかどうかで最初のスタート時点から異なる。
聖霊武器を持っているプレイヤーに対する優遇措置として考えてしまえばズルイとも言えるが、都市ゼロに関してのみだと聖霊武器がないと厳しい面があるので仕方が無いだろう。
というか、聖霊武器が封印対象から除外されるという話は、運営のイベント告知の中で既に説明されていた部分なのだから、今更ここでごねるようなプレイヤーはいないだろうが。
「次に都市ゼロにおける各種施設の利用方法である。これについては、基本的に最初から利用できる施設は存在していないのである。他の都市サーバーでは生産ギルドや冒険者ギルドが利用できるため問題ないのであるが、都市ゼロだけはどちらの施設も閉鎖されているのである。なので、生産設備等は自力で用意するしかないのである」
「ちょっと待ってよ。それじゃあ、生産職は携帯生産セットを持ち込まないといけないって事? できれば普通の生産セットを使いたいんだけど」
「それについてはこの後説明するのである。とりあえず初期段階では使える施設はほぼないと考えてもらって構わないのである」
「初期段階って事は何らかの方法で施設を増やすことは可能って訳だな?」
「それは可能なのである。ただし、条件が存在しているのである。それについても説明するのである」
「わかった。説明を続けてくれ」
「では、生産設備等の施設を開放するための方法を教えるのである。南大通りに面した教会、そこにいる住人『巫女ユーノ』がキーNPCとなっているのである。彼女と話すとクエストを受注することが出来るのである。このクエストをクリアすることで、通常サーバーで所有しているクランホーム、またはマイホームをイベントサーバーでも利用できるようになるのである」
「ちょっと待ってくれ。それじゃあ、マイホームもクランホームも持っていないプレイヤーはどうなるんだ?」
「そこまで検証出来ていないのであるが、おそらくはクエスト自体が発生しないのである。それ以前に、元々ホームを持っていないプレイヤーは携帯生産セットしか持っていないはずであり、携帯生産セットはイベントサーバーでも利用できるのであるから変わりないはずである」
「普段は生産ギルドで設備を借りているプレイヤーはどうなるわけ?」
「諦めて携帯生産セットを購入するのが早いのである。そもそも都市ゼロは最上位プレイヤー向けのサーバーである。運営側としてもホーム持ちプレイヤーが前提であることは容易に想像できるのであるよ」
「……確かに、そう言われると生産系のプレイヤーでホームを持っていない最上位クラスなんてごくわずかか。話を続けてくれ」
「では、クエストの内容についての説明である。クエスト内容は巫女ユーノから指定された個数の魔封石を集めるという内容である。既に都市サーバーにアクセスしてモンスターと戦った事があるプレイヤーならわかると思うのであるが、魔封石は都市サーバーのモンスターを倒したときにドロップするアイテムである。都市ゼロ以外ではかなり遠くまで移動しないとドロップするモンスターが現れないのであるが、都市ゼロに限っては都市のすぐ側にいるモンスターからもかなりの確率でドロップするのである」
「ねえ、魔封石ってそのクエスト用のアイテムなの?」
「クエストアイテムなのは間違いないのであるが、その他にも装備の封印を解除するためにも使えるのである。ちなみに、普通に使った場合の封印解除には装備の品質と同じだけの魔封石が必要になるのである」
「……って事は、★10装備だとそれ1つに10個の魔封石が必要なのか。それってかなり辛くないか?」
「都市ゼロ以外では魔封石以外でも封印解除する方法が用意されているのである。都市ゼロでも普通に魔封石で解除する以外にも解除方法が用意されているので、そちらについても後で説明するのである」
「わかった。それで、魔封石を集めるとホームを使えるようになるんだな」
「その通りである。ちなみに集めなければいけない魔封石の数は、クランの規模と設備の内容、または個人用ホームの設備の内容によって増減するのである。今のところ少ない例だと20個、最大の例だと150個まで確認済みなのである」
「150個って言うのは穏やかじゃないな」
「モンスターのドロップ率から考えると、6人パーティで300匹程度を倒せば150個集まるのである。ちなみに、150個必要だったのはクラン『クラフター連合』である」
「『クラフター連合』か……」
「確かにあそこなら設備が充実しすぎてるからな……」
おや、聞き慣れないクラン名が出てきたな。
どうやら参加者の大半は知っているようだけど……
柚月にでも聞いてみるか。
「柚月、『クラフター連合』って知ってる?」
「生産系クランの最大手よ。私達クラスの生産職を10人くらい抱えてるクランね。その他にも、中級者レベルから初心者まで生産系プレイヤーが数多く所属しているクランよ」
「へえ、そうなのか。全然知らなかった」
「……生産系クランとしては間違いなくトップクラスなんだけどね。トワも他のクランについてもう少し興味を持った方がいいと思うけど?」
「気が向いたらな」
正直、俺の場合は直接関わる事になったクラン以外については全然知らないからな。
クラン同士の会合とかは柚月の仕事だし、俺が覚える必要もあまりないだろう。
「さて、話をクエストに関する内容に戻すのである。ホーム開放クエストをこなした後、巫女ユーノからは次のクエストを受けられるようになるのである。クエストの内容は『個人の装備の封印開放』、個人が所有している装備の封印状態を全て開放してくれるクエストである」
「そんなクエストがあったのかよ! それならもっと早く教えてくれてもいいだろう」
「それについては、こちらとしても検証が追いついてなかったので諦めてほしいのである。クエストの内容は先程と同じように魔封石の収集である。集めなければいけない魔封石の数は、封印されている装備の数と品質によって変わるのである。品質★12の装備一式であっても防具2セット分くらいまでなら魔封石20個で済むので非常にお得なクエストである」
「……流石にそのクエストはもっと早く教えてほしかったな。既に装備の封印を解くのに魔封石を50個程度消費しちまったよ」
「それは申し訳ないのである。ただ、こちらとしても情報提供のための準備時間が必要だったのでどうしようもないのである」
「ちょっと質問なんだが、俺は都市ゼロ以外のプレイヤーだけど、教会に行ってもそんなクエストは発生しなかったぞ?」
「このクエストであるが、現時点では都市ゼロのみで確認されているクエストである。ホームの開放については他の都市サーバーでも確認出来たのであるが、装備の開放については確認出来ていないのである」
「そうか、わかった」
「それでは、その他にわかっている事を説明するのである。まずはモンスターの配置について。都市ゼロについてのみ言えば、一番レベルが低いモンスターであってもレベル60である。そして、都市ゼロ付近に出没するウサギ型のモンスターは5~6匹の集団で行動しており、数が少なくなると増援を呼ぶ習性があるのである。なので、都市ゼロ付近で戦う場合、ウサギ型モンスターを避けるか、ウサギ型モンスターが出現しなくなる範囲まで離れた方が多少は楽である」
……その情報は早く欲しかったな。
それなら30分以上も戦い続けることもなかったのに。
「採取物については街の北側にある岩山で鉱石類が、街の東側の森で木材と薬草類、西側の湖周辺で各種食材、南側の丘陵地帯で皮系素材が手に入るのである。特に食材関係は小麦粉や米と言った物までモンスターのドロップアイテムなのである。生産系プレイヤーでは入手困難なので戦闘系プレイヤーと組んで採取を行うか、戦闘系プレイヤーに依頼するかの方がいいのである」
「ちなみに、どの程度のランクの素材が手に入るんだ?」
「鉱石類はモンスタードロップでダマスカス以上、採掘ポイントからの採掘でミスリル以上である。採取系スキルが育っていればかなりの高確率でダマスカス以上の高ランク素材が手に入るのである」
「……それは随分と気前がいいな。そうなると、何か制限でもありそうなのだが」
「制限はあるのである。まずは都市サーバーで入手した素材と通常サーバーで入手した素材は、混ぜて使うことが出来ないのである。これは、イベントサーバーに素材アイテムを持ち込めない仕様上、当然の結果であるな。次に、都市サーバーで入手した素材は都市サーバー内でのみ利用可能で通常サーバーに戻ると使えなくなるのである」
「それって通常サーバーには帰ってくるなって事か?」
「都市サーバーに戻れば使用可能になるので問題ないのである。また、都市サーバーの素材で作った装備品は都市サーバー内でのみ使用可能で通常サーバーでは装備出来ないのである」
「それってどういう意図なのかしら?」
「おそらくイベントサーバーでは高ランク装備で身を固めろという意味と推測できるのである。アダマンタイトやオリハルコンと言った最上位素材がボロボロ入手出来るのは、今回の都市防衛イベントがそのクラスの装備がないとキツいという意味であると推測できるのである」
ここの運営の事だ。
最上位素材がそこまでドロップするのであれば、ラストの防衛戦イベントではそれを使った装備を前提としたモンスターが襲撃してくるに違いない。
となると、どうやって装備を行き渡らせるのかだが……これは揉めそうだよなぁ。
「さて、ここまでの話を前提として今後の動きを決めていきたいのであるがいかがであるかな」
いつもお読みいただきありがとうございます。
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もしよろしければそちらの方もよろしくお願いいたします。
それと、誤字報告の際、矢印付きで修正したり、『~だと思います』と言った形で報告してくださる方が時々いますが、そういった報告では修正できませんので削除させていただいております。
誤字報告はとてもありがたいのですが、修正する際は変更箇所だけを変更して、それ以外の文言や矢印などを入れないようにお願いいたします。
~あとがきのあとがき~
ざっくりまとめ
1.まずは拠点を開放するクエストを受けてね
2.次は装備の封印開放クエストを受けてね
3.素材関係は街の四方にある各採取ポイントで手に入るよ
4.さあ、これからどうしよう?
前にも書きましたが、都市ゼロは難易度ナイトメアです。
他の都市では当たり前に受けられるサービス(消耗品や素材の購入・生産設備の利用など)がまったくサポートされてません。
なので、まずは拠点開放イベントが必須になります。
……ホームを持たないプレイヤー?
最上位プレイヤーの集まりで生産系プレイヤーがホームを持ってないとかあるわけないじゃないですか。
 





