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Unlimited World ~生産職の戦いは9割が準備です~  作者: あきさけ
第5章 妖精郷 ―RAID ATTACK―
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151.レイド攻略に向けて

「よし、これで装備の詳細は大丈夫じゃな」

「そうね。全員の希望の聞き取りは終わったわ」


 夜時間のログイン。

 なお、ユキは昼間に言ってた通り不在である。

 ユキの場合は装備の作成には一切関わらないので今日の打ち合わせにはなんの影響もない。


 今日の打ち合わせでは、昨日話した通りにもう一度集まり、新しい装備についての打ち合わせが行われた。

 その際に、おおよその装備ステータスも伝えられているのだが……


「……やっぱり最大の問題は素材の収集ね」

「じゃのう。さすがに18人分の装備素材となるとかなりの数じゃ……」

「うむ。そこについては全面的に協力する所存であるが……それでもきつそうであるか?」

「どうせ作るなら最高級の素材を使いたいしねぇ……」

「俺達も集めてくるつもりだけど、それでも足りそうにないのか?」

「はっきり言って足りんのう。普段から安めに市場に流れている素材を買い集めてはおるが……さすがに、これだけの人数分を一度に作るとなるとのう」


 そう、最大の懸念事項は『生産用素材の入手』だ。

 市場に流れている最高級素材というのは、基本的に個人か上位生産職と繋がりの薄い上級パーティが流してるものであって、供給量がとても少ない。

 それでいて値段の付け方もまちまちのため、なかなか数を揃えられないのだ。


 最高級素材の中でも低品質な品というのは少なくない数が流れているわけで……それらは基本的に無視している。

 逆に高品質な品は、手頃な価格(とは言ってもやはり高価)だった場合は買い集めているようだが……大抵の場合、市場の相場など気にせずふっかけている物がほとんどのため、やはり手を出してはいないのだ。


「わたし達的には、そこまで最高級の品にこだわらなくてもいいんですが……」

「そこはこちらが妥協したくない範囲ね。いくら装備品が弱体化させられるとは言っても、やっぱり出来る限りの装備を作りたいからね」

「職人気質というのも難儀なものであるな」

「さすがに最高級素材だけって訳にもいかないから、それよりも1つ下のランクも混ざると思うけど……教授達は支払いの方は大丈夫なの?」

「そこは心配ないのである。前線組はしっかりと資金を貯めてきているのであるからな」

「まあ、それならばよかろう。後は『白夜』か……」

「少し遅くなるって言ってたしそろそろ来るんじゃないか?」

「やあ、お待たせ。そっちはもう済んでいるのかな?」


 ちょうどいいタイミングで白狼さんがやってきた。


「白狼さん達の方は話がまとまったの?」

「うん、僕達のクランはガイスの……ああ、ボクのパーティのタンクだけど、彼の盾だけ新調したいかな。出来ればアダマンタイト製で」

「ふむ、というよりもアダマンタイト製でなければ新調する意味がないのであろう? しかし、そうなるとやはり素材の供給量が問題になってしまうな……」

「僕達の方でも可能な限り集めてみるつもりだけど、それでも足りないかい?」

「足りないのう……さて、どうしたものか……」

「はあ、足りないならあるところからかき集めてくるしかないわね。あまり、取りたくない手段ではあるけども」

「うん? 柚月、何か考えがあるのか?」

「まあね。不良在庫の一斉処分も兼ねて考えがあるにはあるわ。その辺の話は後にしましょう」

「わかった。それで、今後どうやってあのレイドをクリアするのかだけど……」

「そうだね。装備の更新には3週間ぐらいかかるんだっけ?」

「出来次第、渡していく形にはなるが……全員分となるとそれくらいかかるのう」

「こっちも同じね。イリスは?」

「ボクの受け持ち分は少ないからもっと早いけど、ボクだけ早くても仕方が無いよね?」

「まあ、そうよね。という訳で2週間から3週間程度は見ておいてほしいわ」

「わかった。それじゃあ、装備の更新に3週間かかると考えて、攻略目標は3週間から4週間後という事にしよう」

「4週間後であるか……ずいぶんのんびりとした目標であるな」

「同じクランだけで行うわけじゃないからね。トワ君達もまさか毎日レイドアタックをするわけにはいかないだろう?」

「さすがにゴメンだわ」

「そういうわけだから、レイドアタックは毎週土曜日の夜だけという事にしないかい? 週に1日だけなら負担も少ないだろう?」

「そのくらいならね。問題ないと思うわ」

「わたし達も大丈夫です」

「俺らも大丈夫だぜ」

「もちろん私達も大丈夫である」

「という訳だから、土曜の夜は出来る限り予定を空けておいてね」

「了解、気をつけるよ」


 土曜の夜なら大丈夫だろう。

 4週間となると7月に入ってしまうが……まあ、そこはそれだろうな。


「それでこれからのことなんだけど……まず、『ライブラリ』はレベルをもう少し……制限レベルである45くらいまでは上げてもらえないかな?」

「だってさ、どうする皆?」

「……まあ、私達が見つけてきたレイドだし断るわけにはいかないわよね」

「うむ、そうじゃのう。ただ、装備の更新や他のオーダー対応もあるからすぐには対応できんぞ?」

「うん、それはわかっているよ。出来れば今月中にはレベル上げを終わらせておいてもらいたいところだけど」

「それくらいなら大丈夫よ。問題はどこでレベル上げをするかだけど……」

「うーん、そうだね……ちなみに2次職に上げるときはどこのダンジョンをクリアしたんだい?」

「墓地ダンジョンですね。ユキの転職クエストが特殊クエストで墓地ダンジョン指定でしたので」

「ふむ……それじゃあ、神聖属性の攻撃方法は揃っている訳か。それなら墓地ダンジョン奥の『封じられた古代神殿』がお勧めかな」

「ふむ。その根拠は?」

「古代神殿もアンデッド系モンスターがほとんどで神聖属性が使えるならおいしい稼ぎ場になるからだね。ドロップも魔鉄製の装備が落ちるから、それを素材にして魔鉄のインゴットにしてしまえばそれなりに使い道はあると思う。注意しなきゃいけないのは、奥の方に進んでいくとレベル60の敵まで出てくるからそこは注意かな」

「レベル60って……ずいぶんと極端ね」

「レベル45から60までの敵が揃っているんだよ。ボスも道を塞ぐように配置されているんじゃなくて、神殿の各所に配置されているしね。ついでに言えばボスのレベルは55以上だよ」

「……まあ、ボスに挑まなければ何とかなりますね。他に気をつけた方がいいことってありますか?」

「うーん、アンデッド系モンスター以外で魔法生物系が多少出るけど、その中に神聖属性無効っていうのがいるからそれに気をつけた方がいいかな? もっとも、そいつらが出現するのはレベル55以上のエリアだけだけど」

「なるほどのう。踏み込むエリアに注意すればおいしい狩り場という訳か」

「神聖属性の使い手が揃って初めて『おいしい』って言えるレベルだけどね」

「まあ、そう言うことなら俺達は問題ないですね」

「そうなるかな、とりあえず僕の方からはそんなところ。あと、ドワンさんから依頼を受けているダマスカスの納品は水曜日頃になるよ」

「それは助かるのう。これでオーダー対応が出来るわい」

「それじゃあ僕はこれで。この後もちょっとレイドに行かなくちゃいけないからね。よろしく頼むよ」

「ああ、ちょっと待ってください。サンプル代わりのSTRポーションとINTポーションが出来上がっているので少し持っていってください」

「本当かい、それは助かるよ。それでいくつぐらいあるのかな?」

「とりあえず50本ずつ用意しました」

「ふむ……値段はいくらになるのかな?」

「今回は試供品って事で結構ですよ」

「さすがにサンプルで50本ずつは多すぎるよ。まあ、とりあえず5万Eほど支払わせてもらうよ」

「じゃあそれで。レイド攻略がんばってくださいね」

「ああ、ありがとう。それじゃあ、またね」


 白狼さんは足早に去って行った。

 確か65レベルレイドの攻略もやっているって話だし、忙しいんだろうな。


「さて、装備の話し合いも終わったことだし、俺達は行くとするぜ。装備用の素材をかき集めてこないとな」

「わたし達も行くね。とりあえず、アラクネ狩りで魔蜘蛛の糸を集めてくるよ!」

「それじゃあ、俺達は先のエリアで鉱石集めと行くか。アダマンタイトは無理でもダマスカスなら集められるだろうからな」

「ああ、それじゃよろしく頼む。あ、あと2人のパーティにもポーションを配るよ」

「おう、それはありがたいな!」

「使った感想を後で聞かせてくれよ」

「任せといて! それじゃあまたね」


 ハルとリク達のパーティもそれぞれ出発し、残るは『インデックス』のパーティのみだ。


「それでは我々も失礼いたします。教授はこの後も話があるそうですが……」

「話?」

「うむ、装備の更新の話である」

「そういう訳らしいのでよろしくお願いしますね。それではまた来週お願いします」


 教授を残して『インデックス』のメンバーも引き上げていく。

 さて残った教授だが、どんな話だろうか……


「さて、話というのは他でもない。私の装備の強化である」

「装備の強化も何も、さっき柚月と話をしてただろう?」

「あれは防具の話である。今度は武器の話であるよ」


 教授の武器というと……グリモアールか。


「それってグリモアールの話か?」

「そう言うことである。グリモアールは最終的に錬金術で作られる装備なのである」


 錬金術? そんなレシピはランク14でも一覧になかったはずだが……


「ちなみにレシピ入手に必要なギルドランクっていくつなんだ?」

「ランク10で入手できることは確認済みである」

「……俺のランク14だけど購入可能なレシピの一覧に載ってなかったぞ?」

「それは仕方が無いのである。グリモアールのレシピを入手するには少し手順を踏む必要があるのである」

「手順ねぇ……クエストが必要って事か?」

「クエストとは呼べる手順ではないのであるよ。特定のアイテムを持った上で錬金術ギルドでグリモアールについて聞けばいいのである。この後は私も用事があるゆえ付き合えないが……そうであるな、明日の夜は空いているであるか?」

「うん? 大丈夫だが」

「それでは明日の夜にレシピを入手しに行くのである。よろしく頼むのである」

「ああ、わかった。それじゃあ、また明日……ああ、その前に特殊ポーションを渡さなきゃな」


 俺はインベントリとクランの共有倉庫からステータスアップ系ポーションと移動速度増加ポーションを取り出して教授に渡す。


「ふむ、これはまた大量であるな。とりあえず私も5万E渡しておくのである。有効性が確認されたら相応の金額を追加で払うのであるよ」

「まあ、試供品だからお金は余りいらないんだけどな……それよりも中毒値なんかの検証をしてもらった方がありがたい」

「わかったのである。ともかくまた明日、よろしく頼むのであるよ」


 そして教授も引き上げていった。


「さて、これでレイド攻略までにやることは決まったな」

「そうね……はあ、またレベル上げかぁ……」

「そこは諦めておくがよかろうて。どうせどこかでレベルを上げなければいけない機会はある。それが早まったと思えばいい」

「そうだねー。柚月ちゃんももう少し積極的にレベルを上げようよ」

「わかってはいるのよね……レイドに参加する以上、迷惑はかけられないわ。最低限は上げさせてもらうわよ」

「とりあえず今日決まった事はユキにメールしておくよ。まあ、ユキは戦闘を嫌がるタイプじゃないから大丈夫だろうけど」

「そっちは任せるわ。あとは素材の収集よね……」

「そっちについて、何か考えがあるようじゃったが?」

「まあね。それについてはまた今度話すわ。それから生産ギルドのギルドランクだけど、まだ12までしか上がらないらしいわ。これ以上は特別な許可が必要らしいけど、まだ許可が出ていないそうよ。おそらく、未実装という事じゃないかしら。……あと、確認することはないし、今日は解散にしましょう」

「おっけー。それじゃボクは少し在庫補充したら落ちるねー」

「わしはオーダー対応かのう」

「私もそんな感じね。トワはどうするの?」

「んー、ガンナーギルドに行って銃製造受けてから在庫補充かな」

「了解。新しい中級調合セットは空き部屋だったところに設置済みだから、場所を動かしたいなら自由に使って」

「わかった。それじゃ、俺は出かけてくる」

「またねー、トワ」

「気をつけてな」


 打ち合わせも終わったので、俺は日課の銃製造を受けるためにガンナーギルドへと向かう。

 ……明日はグリモアールのレシピを入手しに行くのか。

 面倒事にならなければいいけど……

いつもお読みいただきありがとうございます。

「面白かった」「これからも頑張れ」など思っていただけましたらブクマや評価をお願いします。

作者のモチベーションアップにつながります。

誤字・脱字の指摘、感想等ありましたらよろしくお願いします。


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