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神にも見えざる手  作者: ナウカ・ボリセンコ
2/2

転生


   ボクの名前は松倉光まつくらひかる。この前、大学院に入院してしまった学生( 24歳 )である。大学入試で2年浪人し、やっと入った大学で見事に学問というモノに大ハマリし、大学院まできてしまった。これがもし理系の大学院ならば胸をはることができるのだが、残念ながら文系、しかも人文学系である。別に学問分野に優劣があると言いたいわけではないが、世間一般に言ってしまえば、ボクがやっている研究は趣味に近いものだった。


   将来に多少不安はあったものの、心機一転、海外で自分の興味のある学会が開催されるということで、さっそく飛行機に乗り込み、日本から出立した。しかし航空券をケチったツケがまわったのだろうか、新たなスタートを踏み出すはずが、生死のラインを踏み越えてしまった…



   目を覚ますと、真っ先に木造の天井が目についた。


   ここはどこだ、ボクは死んだはずじゃないのかと考えながら、あたりを見回した。どうやらここは木造の小屋で、あたりは必要最低限な生活用品らしきものが置いてある素朴な感じの部屋だった。


   するとドアがゆっくりと開き、ひとりの見目麗しい女性が顔を出した。一切の淀みのない見事な金髪で、青い目をしており、身体はすらりとしているものの、出ているところは出ている、まさに完璧な女性がそこにはいた。一瞬、その美しさに目を奪われたが、彼女の耳の形がボクの頭を一気に冷静にさせた。


   それはまるでおとぎ話にでてくるエルフの耳をしていたのだ。それを踏まえて改めて見てみると、彼女は完全にボクの知っているエルフの容姿をしていた。むしろ彼女がエルフすぎて、一種のコスプレかと逡巡していると…


「―――――――?」


   なにやらまったく聞き覚えのない言葉らしきものが発せられた。


「-――――――――――-、―――――――――――――――-―?」


   たぶんボクに向けて言っているのだろうが、まったく理解できなかった。ボクが自分の言っていることを理解していないと察したのか、彼女はボクに近づき、自分の胸に手をやり、さきほどよりゆっくり発音した。


「-――、pisnja」


「ピスニャ?」


   かろうじて聞き取れたところを言い返しただけであったが、彼女は嬉しそうににっ

こり微笑んだ。これがボクのこの世界での初めてのコミュニケーションであった。





   人間、本当に理解が追い付かない状況に置かれると、逆に動揺しなくなるものなのかもしれない。



   ボクはさっきの彼女と身振り手振りを使ってどうにかコミュニケーションをとった。(その身振り手振りも、異世界でちゃんと機能したかどうかは定かではないが)



   どうやら彼女の名前はピスニャというらしい。



   そしてここはエルフの村で、ボクはエルフの村のはずれで気を失っていたらしい。その気を失っていたボクを発見し、介抱してくれたのがピスニャであった。



   と、ボクは伝わっているのかよくわからないジェスチャーを通してこう理解した。


まだ主人公の能力が発揮されてませんが、次回は一週間後の予定です。

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