表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

魔法の項

ユーザーネーム変更しましたが、気にしないでください。

 あれからどれだけ経ったろう。

 毎日本を読んでいる。

 初代勇者の書。本人が書いたわけではないのに、この本は不思議だった。きっと、初代勇者から話しを聞いて、この本を書いた人も魔法使いだったのだろう。

 まず、この本は少し厚めの本程度の厚さしかない。だけど、ページは信じられないほど多い。めくってもめくっても、次のページが出てくる。試しに後ろから開いてみると、そこにはちゃんと最後のページがあったので、無限に続いているわけではないみたいだ。きっと、一ページがものすごく薄いのだろうと思う。けれど、その割には全く透けていない。その上、紙の上を軽く撫でるだけで、綺麗に一ページだけがめくれる。魔法素材なのかもしれないし、もしかしたら紙に何かの魔法がかけてあるのかもしれない。……もしくは、その両方かも。

 それに、この本をもらって以降、私は文字を読めるようになった。いや、……そう、思っていたのだけれど、それが本当かはわからない。なんでそんなことを思ったかと言えば、目で文字を読んでいるのか、本の内容が直接流れ込んできているのかわからないからだ。なにせ、信じられないほどするりと頭に入ってくる。人の話を聞いて、その内容を理解することが、私はあまり得意ではなかった。それなのに、これほど容易に頭が内容を理解できるのは、やはりこの本が普通ではないからだと思う。あるいは、胸の紋章が刻まれたときに、私の頭も良くなったのだろうか? まぁ、どちらにしても、この本の力には違いない。

 ともかく不思議な本だ。この二つの他にもいろいろと不思議なことがあった。その中で最も不思議だったことは、突然私が魔法を使えるようになったことだ。この本には、この世界の魔法についても多くの事が書かれている。その全てが非常に高度で応用的なのだが、私はそれを理解できていた。自分が本の内容をすらすらと理解出来ることに疑問をもった際、応用的魔法が理解できることは特におかしく感じた。だから、試しに本を閉じ、魔法について考えてみると、基礎的な魔法知識がいつの間にか身についている事に気づいたのだ。更に、実際に使ってみると、魔法は容易に発動した。私自身全く気づかない内に、魔法使いとなっていた。


 本の最初には簡単な前書き、その後この世界の魔法に関しての記述がある。ずっと先を適当に開いてみると、この世界の外のことが載っているようだった。ようだった、というのは曖昧だからだ。困ったことに適当に開いたページの内容はほとんど理解できない。書いてある内容が頭に入ってこない。本による理解補助が亡くなったためか……それとも、飛ばして読もうとすると認識阻害や理解妨害の魔法が発動するためか、どちらかはわからない。どちらでも同じことだ。そこは重要じゃない。

 この現象はずっと先のページにかぎらず、今読んでいるページを読み終わらずにめくってみても同じことが起こる。この本は順番に読まなければ理解できないようにできているのだ。

 あの少年は”しっかりと読んで、内容を頭に刻みつけるといい”と言った。こうも簡単に理解出来るよう作られた本なのに、わざわざあんなことを言ったのはこのためだろう。

 幸い、魔法を使えるようになったおかげで、生活は楽になった。もとより、死ねない体だ。苦痛さえ感じないようにしてしまえば、飲食も呼吸も必要ない。なぜ未だに、生存に不要なものを摂取しないことで体が苦痛だと感じるのかわからなかったが、実際に苦痛であることは仕方ない。だからそういった苦痛を無理やり魔法で抑えこんだ。

 魔法を維持に失敗した場合が怖いので、たまには動物の死骸を探しに行く。しかし基本的には魔法の維持、そして本を読むことだけが私の一日だ。

 私は毎日、読んで読んで読み続けた。

おそらく木曜更新。

ただ、木曜には用事があるのでずれるかも?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ