表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

あやかし商店街 二

§


商店街は、やはり二度目も賑わっていた。

八百屋には口の髭がすごく上半身裸の変なおじさんが腰にエプロンを巻いて大きな声で「今日は胡瓜(きゅうり)が安いよ~!!さぁさぁ、買った買ったぁ!」と言っていたり、達磨(だるま)みたいなものが魚売りをしていたり・・・

とても人間とは思えないものが、賑やかに店を開いていた。

もちろん、訪れる客も人間には見えない。

と、その時、ふと、例の変な八百屋のおじさんから声をかけられた。

「よっ!そこの兄ちゃんどうだい?新鮮な野菜はいらんか?」

「えっ?!」

(ぼ、僕?!)

突然声をかけられた真司は驚いた。

すると、横から真司を守るかのように菖蒲(あやめ)が手を出した。

「これ、山童(やまわら)。野菜は今はいらんぞ」

「えっ!あ!!あ、菖蒲様!じゃなくて、菖蒲姐(あやめねぇ)さんじゃねーすか。へ、へへ、こりゃ失敬失敬」

山童(やまわら)と言われた八百屋の店主は頭を垂れるようにペコペコと謝った。

「イケてる兄ちゃんがいたんで、つい、、ははは」

「はぁ。」

真司は曖昧な返事をした。

そう、真司は前髪を上げれば、そこそこの容姿をしていた。

「うむ。確かに真司は可愛いの。そこは認めようぞ」

と、よしよしと真司の頭を撫でながら山童に言う菖蒲。

(か、可愛い?)

真司は内心驚いていた。

(た、確かに昔は姉さん達に女の子の服とか無理矢理着せられたけど・・・)

何故か、少し複雑な気持ちになる真司だった。

そんな真司の事を山童はチラリと見ると、腕を組み目を細めて真司をジロジロと見た。

真司は一歩身を引いて驚いた。

「な、なんですか?」

「うーん・・・お前・・・もしかして、人間か?」

その言葉に真司はぎょっとした。

(ば、バレた!!)

真司は菖蒲にどうすればいいのかわからず、菖蒲が着る薔薇の柄が入った少し東洋風な着物の袖をクイクイッと引っ張った。

「大丈夫だよ、真司。」

菖蒲は微笑みながら真司に言った。そして、山童に向き直ると

「そうさ。この子は人間だよ。そして、これからは私の店の一員になる。こやつに何か悪さをしたら、私が許さないから覚悟しておくことだねぇ」

と、口元に袖を当てクスクス笑いながら言った。

山童や会話を聞いていた他の妖達は、ゴクリと息を飲んだ。

それぐらい、先程の菖蒲は妖艷で恐ろしい雰囲気が出ていたのだ。

山童は冷や汗をかきながら苦笑した。

「い、いやですよ~姐さん~ははは。」

菖蒲は、ニコリと微笑んだ。

「なら、いいんだよ。ほら、行くよ真司。」

「あ、はいっ」

菖蒲と真司は八百屋を後にして歩きだした。

山童他見ていた(あやかし)達は、菖蒲達の姿が見えなくなると、ほっと安堵の息をついたのだった。

「いや~、これは妙な人間がやってきたもんだ」

と、山童はボソリと呟いたのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ