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キャラクターメイキング

「ようこそヴァーチャルファンタジーの世界へ」


機械音が空間に響いた。俺がいるのは一面真っ白な空間。どうやら視覚以外の身体機能は作用していないらしい。目だけが空間に浮いているような何とも奇妙な感覚を覚える。


「ヴァーチャルファンタジーについての説明書はお読みしましたか?まだお読みでないのならまずそちらの説明をさせていただきます。もし既にお読みならキャラクター設定の方へ移らせて貰います」


「読んだ」と言おうとして、口がないことに気づく。これではどうすることも出来ないじゃないか、と無い口で叫ぼうとした時、またアナウンスが響いた。


「それではキャラクターの設定へと移らせていただきます」


成る程、脳内で思ったことを読み取るのかと思っていたら、今度は目の前に半透明のボードが浮き上がった。


「種族、職業、キャラクターデザイン、初期能力値、名前を決定して下さい。尚、魔族系統の種族を選ぶとパーティー機能の恩恵を受けられないので注意してください。また、人間の容姿外れている種族ほど、操作に慣れが必要となります。また魔族では生活スキルの多くが習得不可となります」


魔族を選ぶメリットが無いじゃないか、と思わないでもない説明だ。ちなみに生活スキルとは家事、釣り、建築など戦闘とは直接関係のないスキルのことを指す。


目の前に「種族」という文字が浮かび上がり、その下に「人間」「亜人」「魔族」という項目が表示された。


俺は迷わず魔族を選んだ。意識だけで選ぶと少し違和感がある。デメリットが多い魔族を選んだのは単に魔族がかっこいいからだ。

現在進行形で厨二病患者な俺は悪役ロールプレーが大好きなのだ。


次に表示されたのは様々な種族。人間や亜人と違い、魔族は進化して強くなるため、リッチーだのヴァンパイアだの強力そうな種族は存在しない。


・スライム

・スケルトン

・コボルト

・ゴブリン

・ウィッチ


取り敢えず、上から順に説明を見ていくことにした。


・スライム→無形物系統。トリッキーな動きが可能。ただしある程度の慣れは必要。

・スケルトン→アンデット系統。スライムほどではないがトリッキーな動きが可能。闇属性のものが多い。

・コボルト→魔獣系統。二足方向にも四足歩行にも進化出来る。四足歩行系統は平均すると、全種族中最も素早い。

・ゴブリン→鬼系統。比較的人間に骨格が近い。物理攻撃力が平均して高い。

・ウィッチ→魔女系統。人間と殆ど同じ骨格。防御力、物理攻撃力は平均して低いが、様々な魔法を使うことが出来る。


大体最終形が分かる説明だ。

別にどれでも良いが、折角のヴァーチャル世界なのだから現実に不可能な動きがしたいと思い、スライムを選んだ。


「魔族の場合は職業設定は省略させて頂きます。次にキャラクターデザインに移ります」


アナウンスと共に、目の前にスライムが表示される。どうやら変えられるのは色だけのようだ。何と無く寂しい気もするが、スライムだし仕方がない。俺は魔王っぽい黒色を選択して、次に進んだ。


次に初期能力値設定画面が映った。

種族:スライム

Lv1

初期ステータス/自然上昇率(レベルアップ時の上昇値)

HP(体力):5/1

MP(魔力):10/1

STR(物理攻撃):5/0

INT(魔法攻撃):5/0

DEF(物理防御):20/1

MR(魔法防御):10/1

AGI(素早さ):5/0

LUCK(運):5/1

スキル:形状変化(人型)


残りステータスポイント15

残りスキルポイント5


まず極振り(一つのステータスのみを上げることで漢のロマンだ)について考えてみる。

LUCKだけ鍛えたらどうなるのだろうかと気になるが、こういうゲームではLUCKを15くらい上げたところで大して変わらないのが常識だ。

魔法防御と物理防御に別れているところを見ると、防御特化もなかなか大変そうだ。素早さ特化なら相手の攻撃を避けられる上に、自分の攻撃も当たりやすくなるのでなかなか便利そうだが、広範囲魔法などを使われるとどうしても避けきれなくなるかもしれない。


俺はそこまで考えて、無難に割り振ることに決めた。なんだかんだ言って大半のゲームで極振りは地雷なのだ。


で割り振り後のステータスがこれ。


種族:スライム

ステータス

HP(体力):5

MP(魔力):10

STR(物理攻撃):10

INT(魔法攻撃):5

DEF(物理防御):20

MR(魔法防御):10

AGI(素早さ):15

LUCK(運):5

スキル:形状変化(人型)


STRとAGIに振った。自然上昇率や初期値から考えるとやや地雷臭もするが、近接型スライムを目指すことにする。

おそらく、自然上昇と合わせるとバランスの良い前衛に育てられるだろう。


次にスキルを選ぶ。どうせレベルアップ時に1ポイントずつ貰えるのだ。最初は対人戦など考えずに効率よく狩りが出来そうなスキルを取っておけばよいだろう。

色々悩んだが、結局俺が取ったのは次の三つだ。


索敵Lv2(半径二十メートル以内の敵を表示)


部分形状変化(刃)Lv1(身体の一部分を刃に変える。変化時魔力消費)


部分性質変化(硬化)Lv2(身体の一部分を硬くする。変化時魔力消費)


索敵はレベルを上げるごとに十メートル範囲が増えてマックスでLv5だった。

Lvを上げると、更に硬くなるらしいので攻撃力強化になると考えて、部分性質変化(硬化)をLv2にしておいた。


他にも部分性質変化(酸化)やウォーターボール、呑み込みなどは魅力的だったが、俺の育成方針と若干矛盾したので、今回は止めておいた。


最後にキャラクターネームを決める。

地味に最も悩む瞬間だ。


悪役ロールプレーだから、それなりに厨二臭くて、しかも人が思いつかない名前が望ましい。

さらに俺の好みで、出来たら漢字が良い。


黒いスライムだし、「黒き魔王」とかかな。いや、それはさすがに安直過ぎるか。「黒き液体」とかはどうだろう。うーん。しっくりこない。

「黒き」がダサいのだろうか。

「漆黒の液体」うーむ。少しはマシだけど……

「漆黒の粘液」なんかエロい。ちょっとギャグセンスが有って良い気もするけど、もう一声欲しいところだ。

「漆黒の潤滑油」ちょっとネタに走りすぎか?何の間に塗られるのだろうか。でも何となく潤滑油の響きは気に入った。

このセンスは紛れもなく上級者のそれだろう。

ただ厨二心が少し足りない。もう少し凝っていきたいところだ。


「世紀末の潤滑油」うむむ。悪くはないが、もう一歩だな。出来たら誰もがビビる二つ名みたいな感じが良い。


「闇より出でし絶望-潤滑油-」


うむ!!これは間違い無いだろう。闇より出でし絶望とスライムを彷彿させる潤滑油の響きが絶妙にマッチしている。悪役ロールプレーにもぴったりだ。恐らくこれ以上のキャラクターネームはないだろう。

俺の名前を聞いただけで恐れ(おのの)く人間たちに姿が目に浮かぶ。

名前を入力し終えて、俺は決定を選択した。


「一度決定してしまいますと、キャラクターを消去しない限り変更出来ませんが、これでよろしいですか?」


決定と同時に機械音が響いた。勿論これでオッケーだ。

オッケーと念じた瞬間に、目の前の景色が暗転した。


設定集

索敵Lv2

自分を中心に一定距離の敵を表示

Lvアップで範囲が広くなる

スキル「隠密」系統を使う敵は発見出来ないこともある


部分状態変化(刃)

身体の一部分を刃に変える。変化時魔力消費

Lvアップで刃が大きくなる


部分状態変化(硬化)

身体の一部分を硬くする。変化時魔力消費

Lvアップで硬くなる


レベルアップ時のステータスアップは合計5(内1はLUCK固定)

レベルアップ時の自由に割り振れるポイントは3

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