「 転生先 」
|残業代がでない、家に帰れないなんてざらなブラック企業に勤めてはや10年。
ちょうどその日は23時に上がれて、男は眠たい目をこすりながら横断歩道を渡った。
右を向くとまばゆい光が男を包み込んだ______
目が覚めると豪華な部屋にいた。
初老の執事と若いメイドが近くにいた。
「 おお!お目覚めになられましたかエレン様! 」
「 私、旦那様を呼んでまいります!! 」
二人が起きたことに気づき、初老の執事服着ている人は涙ぐんでいた。
執事は駆け寄り、体を起こす。
そこで男は気が付いた。
( なんか、俺の手小さくね?? )
そう、手が小さいのだ。成人男性なのに、手はまるでまだ8歳ぐらいの手だ。
頬に手を添えるともちもちとした感覚がある。
「 エレン様、どうされましたか? 」
執事が心配そうな目で見つめてくる。
バン!と部屋の扉が開いた。
「 エレン!大丈夫か、怪我はどこにもないな。心配したんだからな?!急に倒れるなんぞ俺の心臓がいくつあっても足りん!! 」
早口でまくし立てる美男。エレンはものすごく困惑していた。
( エレン、急に倒れた。いや俺は現代社会を生きるブラック会社勤めのアラサー男性だ。
しかも独身の!!!! )
「 ぇ、ぇっと、 」
その瞬間激しい痛みが頭を通った。ガンガンと金槌で頭をたたかれるようなそんな感覚にエレンは顔をゆがめた。
頭の中には情景が映し出された。父親の死、母親の後追い。同じ背丈の少年と残された財産。そして目の前にいるのが
自分の養父であることを思い出した。否、思い出せた。その後に男___天野 零の交通事故での死亡も映し出された。
情景が映し出されたあと、頭痛はやみ、目の前には心配そうな顔をしている養父が目に入った
「 ああエレン!!大丈夫なのか?やはりまだ体調が悪いのだろう。あいつらにはまだ遊べないと父様が言っておくから 」
「 あ、ありがとう、ございます。 お、おとう、さま? 」
あいつらとはだれのことなのか。
「 こんな時でさえ感謝を忘れないとはいい子だ!!今日はもう休め。カイン。任せたぞ.....と言いたいところだが俺がエレンの横にいる 」
「 駄目です旦那様。まだ業務が終わっておりません 」
「 かわいいかわいい息子が寝込んでいるのだぞ?!できるわけがない! 」
「 だめです。このカインめにお任せください。はい仕事に行ってらっしゃい! 」
カインと呼ばれた執事が何とか言ってくれ、と言いたげな視線をよこした。
「 お、おしごと、がんばって、ください、おとうさま、! 」
沈黙がしばし部屋を包み込んだ。父親は顔を明るくさせ歓喜に震えた。
カインはよく言ってくれた!とほっと息をついた。
「 い、いい今!がんばれっていってくれたか?!エレン!! 」
声が大きい。近い。もしかして泣いている?うれしいし涙のようだ。
「 い、いいました、 」
嬉しさの最高潮に達したのかにこにことしている。
えへ、えへへ、と言いながらエレンに抱き着く。
数分してから離れ、エレンの目をまっすぐ見る。
「 父上は仕事すぐさま終わらせてくるからな!!それまで寝ておけ、いいな? 」
「 わ、分かりました。 」
「 いい子だ!じゃあ仕事してくる!! 」
風のように走っていった父がいなくなった途端に扉を閉めるカイン。
「 エレン様。食欲はございますか? 」
「 ぇ、ぇっと、ない。です。 」
「 、左様ですか。ならば水分だけでも補給しておきましょう。」
カインは慣れた手つきで水をグラスに注ぎ、水をくれた。
こく、と水を飲むとなんだが甘い気がする。果物だろうか。
「 さて、エレン様。三か月後には属性検査があります。しっかり休養を取り、検査に備えましょう。 」
「 ぁ、あの、属性検査って.....? 」
エレンは__、外見はエレンだが、中身はただの社畜。この世界についての情報は皆無といってもいいだろう。
カインは少しだけ眉をひそめた。まるで何回も言ったよな、と言っているような。
「 頭を打った衝撃でしょうか.....、まぁいいでしょう、属性とは、炎、水、風、雷、光、闇の六つとなります。それを軸にした魔法を習得し、魔法使いになるのですよ。エレン様は現在10歳なのであと2年つまり12歳になったら国立聖魔法学院へのご入学になります。 」
「 、そうなんですね。お、おとうさまは何属性なのですか? 」
「 旦那様は炎の属性でございます。ですがエレン様はわかりません。同じ家族、一族であっても違う属性というパターンが多いです。ですが稀に一族全員が同じ属性ということもございます。それが6貴族といわれる方々です 」
「 そうなんですね、.....、くわぁ、 」
眠いたいのか欠伸をした。
カインは微笑み 寝て体力をつけましょう、 そう言って布団をかけてくれた。
そのまま目を閉じた。深い眠りについた




