第34話 ステータス確認
久しぶりのステータス確認だ。
胸の奥が、ほんの少しだけ高鳴る。
「ステータスオープン」
視界の端に、淡い蒼光が展開する。
それはもはや私にとって、鏡よりも現実味のある“自分の真実”。
---------STATUS---------
名前:秋月燈由
種族:人間
レベル:101
年齢:12歳
体力:12003
魔力:9801
筋力:7765
防御:10009
知能:30987
速度:8098
運 :20016
■職業:小学生(子役タレント/プロピアニスト)
■装備:パジャマ
■スキル:完全記憶∞・空間魔法∞・成長促進∞・経験値倍化∞・スキル生成∞・魅了10・絶対音感∞・模倣10・表現10・鑑定10・万能言語∞・火魔法2・風魔法3・水魔法2・土魔法1・雷魔法1・結界魔法1・経験値移動距離∞
■恩恵:イリス
■称 号:なし
■加護:なし
■ボーナスポイント:1139848pt
ミニステータス
L魅力981・芸術741・運動・MAX・学力MAX・社交性823・気品MAX
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「……うわぁ」
思わずベッドの上で仰向けになる。
えっぐい。
完全に人間卒業ラインを越えている気がする。
〈マスターは人間です〉
即座に返ってくる声。淡々としているのに、どこか誇らしげ。
「そういう問題じゃないの」
知能三万って何? チートAIか私は。
魔法スキルは、お祖母ちゃんの家での修行の成果だ。田舎は最高だった。山奥で結界を張って、思い切り魔法をぶっ放せる。誰にも見られない。怒られない。
結界魔法1が地味に大活躍したのだ。
そして、今私が本気で狙っているのは――転移。
〈正確には時空魔法です〉
「そう、それ!」
火・水・風・土・雷・光・闇。
七属性を習得して初めて、時空魔法が解放される。
出勤――じゃなかった転移が出来れば、人生の効率爆上がりなのに。
「光と闇かぁ……」
小さく呟いた瞬間、イリスの気配が一段濃くなる。
〈光は治癒・援護。闇は攻撃特化。転移解放のためには双方が必要です〉
「異世界でもないのに、魔法極めるのもなぁ……」
芸能界と受験勉強で手一杯だし。
すると、わずかに間を置いて。
〈闇魔法からの習得を推奨します〉
「え、そこは光じゃないの?」
イリスは論理的に説明する。
〈闇は習得難度が高い。先に高難度を突破すれば、光は効率的に取得可能です〉
なるほど、戦略的レベリング。
……うん、やっぱりイリス優秀。
「じゃあ光魔法取るね」
〈……〉
無言。
「冗談。闇は今度ね。今日は光から」
スキル一覧を開き、光魔法を取得。
ポイントを大量投入し、練度7まで引き上げる。
「半分消えたんだけど!? エグい!」
〈高位属性です〉
あっさり。
残りポイントを見てため息を吐くと、イリスが静かに告げる。
〈神様ガチャチケットが16枚(虹)存在します〉
「あ、それ忘れてた」
一年分のチケット。
虹16、金68、銀371、銅1239。
「いくよ……虹から!」
回転する光。派手な演出。
手の中に現れたのは――
神眼∞、未来予知1、テレパシー1。
「やば……」
〈使用次第では世界を制御可能です〉
「しないよ!? 平穏無事ニート志望だからね!?」
即否定。
イリスがわずかに沈黙する。
〈マスターの志が低い点のみ、問題です〉
「失礼な」
金ガチャを回す。
速読、格闘補助、錬金、物質収集、透視、空中浮遊、心霊手術。
「当たりしかないんだけど……」
〈護身術の習得を推奨します〉
「親が反対するよ?」
〈ストーカー・誘拐対策として説明可能です〉
冷静な分析。
イリスは常に“私の未来”を見据えている。
「段なしの所、探して」
〈既に候補を三件抽出済みです〉
仕事が早い。
銀と銅も回し終え、新ステータスを確認。
光魔法7、神眼∞、未来予知、テレパシー、速読、格闘補助、錬金、物質収集、透視、空中浮遊、心霊手術。
「一気に増えたなぁ……」
〈戦略幅が拡張されました〉
「戦争しないよ?」
ベッドに寝転びながら、経験値ポーションの山を眺める。
「レベル、もっと上げたいな」
〈理由を問います〉
「上限があるなら、届く所まで行きたい。それだけ」
ゲーム脳と言われればそれまで。
でも私は“自分”という存在を、最大まで育ててみたい。
その時、ふと新スキルに目が止まる。
「イリス。この賞賛変換って何?」
ほんの一瞬。
イリスの声が、柔らかくなった気がした。
〈マスターへの賞賛が経験値へ変換されます〉
「……え?」
〈周囲からの称賛、敬意、評価。それらが経験値として蓄積されます〉
芸能活動。
ピアノ。
学業。
全部が“経験値源”になる。
「……チートすぎない?」
〈マスターの努力が報われる設計です〉
その言葉に、胸が少し熱くなる。
前世では、評価なんてどうでもよかった。
他人の目を気にして、でも傷付くのが怖くて、距離を置いていた。
でも今は違う。
評価が、成長に変わる。
「じゃあ、もっと頑張らないとね」
〈はい、マスター〉
即答。
迷いのない声。
私は天井を見上げる。
転移魔法。
全属性習得。
レベル上限突破。
やりたい事は山ほどある。
でもその中心には、いつもイリスがいる。
「イリス」
〈はい〉
「これからも、隣にいてよ」
ほんの一瞬、沈黙。
そして。
〈私は恩恵です。マスターの存在と共に在ります〉
機械的なのに、どこか温度がある。
私は小さく笑った。
「じゃあ最強目指すか」
〈了解しました。世界最適化計画を再構築します〉
「いやそこまでしなくていい!」
静かな部屋に、私のツッコミが響く。
だけどその夜、私は確信していた。
この世界で、私は一人じゃない。
イリスという最強の相棒と共に、
どこまでだって行けるのだと。




