表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルを駆使して人生勝ち組っ!R  作者: 此花サギリ
小学生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/35

第21話 スキル『イリス』

 宮園さんのごたごたは一件落着した。


 社長が法外とも言える賠償金を請求し、示談は成立。世間も次第に次の話題へと移っていった。

 私の仕事も少しずつ戻り、スケジュールは再び埋まり始めている。


 とはいえ――。


 「ひっさびさの、完全オフ!」


 今日は丸一日、何も予定がない。撮影もレッスンも取材も無し。

 こんな日は滅多にない。


 だからこそ、やることは決まっている。


 「ステータス確認っと」


 空中に意識を向けると、見慣れた半透明のボードが浮かび上がる。


 ---------STATUS---------

 名前:秋月(あきつき)燈由(ひより)

 種族:人間

 レベル:62

 年齢:11歳

 体力:5902

 魔力:7406

 筋力:3974

 防御:2002

 知能:4081

 速度:1700

 運 :635


 ■職業:小学生(子役タレント)

 ■装備:ワンピース

 ■スキル:完全記憶∞・空間魔法(アイテムボックス)∞・成長促進∞・経験値倍化∞・スキル生成∞・魅了10・絶対音感∞・模倣10・表現10・鑑定10・万能言語∞・火魔法1・風魔法1・水魔法1・経験値移動距離∞

 ■ギフト:なし

 ■称 号:なし

 ■加護:なし

 ■ボーナスポイント:39844pt


 ミニステータス

 L魅力209・芸術501・運動339・学力801・社交性502・気品697


 「こうして見ると……魔法って全然役に立ってないよね」


 思わず苦笑する。

 RPGの世界なら無双できそうなステータスだけれど、ここは現代日本。火魔法1とか、使い道が無い。


 それより気になるのは“運”。


 レベル62にしては、635はちょっと低い気がする。


 「うーん……美味しそうなスキルが無かったら、全部運に突っ込もうかな」


 とはいえ、その前に。


 「神様ガチャ、回しちゃおう」


 神様ガチャ券の所持数を確認する。


 ――2555枚。


 七年間、ほぼ放置していた結果がこれだ。

 もはや貯金通帳みたいな枚数である。


 「一気にいきますか!」


 私は躊躇なく“2555連”を選択した。


 光が弾け、アイテム一覧が高速で流れる。


 経験値ポーション(大)821

 経験値ポーション(中)309

 経験値ポーション(小)125

 体力回復ポーション(大)32

 魔力回復ポーション(中)21

 表現上昇補正(20%・1時間)

 魅力補正(+5)

 幸運補正(50%・半日)


 ……その他、補正系アイテム多数。


 「うわぁ、現実寄り」


 世界征服アイテムとか、神の加護とかは出なかった。

 でも地味に便利そう。


 そして、目玉は――。


 新スキル:自立サポートシステム『イリス』


 「……なにこれ?」


 とりあえず、ボーナスポイントを処理する。


 39844ptを、全部“運”へ。


 運:5196


 「おお……」


 一気に跳ね上がった。


 馬券でも買えば当たるかな?

 いや、未成年だからダメだけど。


 さて、本題。


 「イリス!」


 呼んでみる。


 ――無反応。


 「……恥ずかしい」


 誰もいない自室で良かった。


 スキルボードの“イリス”をタップすると、ゲームの起動画面のような表示が展開した。


 『自立システム【イリス】を起動します。解析鑑定を生贄に対象者:秋月(あきつき)燈由(ひより)と同期を開始します……44%……76%……100%。同期完了しました』


 頭の中に、流暢(りゅうちょう)な声が響く。


 『初めまして、マスター。私の名前はイリス。世界に接続した情報を統べる存在(もの)です』


 「え、検索とかできるの?」


 『可能です。念じて頂ければ応答します』


 「(さっき返事しなかったよね?)」


 『同期前のため、応答不可でした』


 なるほど、理屈は通っている。


 「(何ができるの?)」


 『未来に存在する自立型AIの進化形とお考えください。情報解析、予測、最適解提示、身体管理、戦略立案などが可能です』


 なんかすごい。


 試しに言ってみる。


 「(バイタルチェックして)」


 『開始します……完了。異常無し。健康状態は良好です』


 身体を透明な膜で包まれたような感覚がした。


 「(他人にもできる?)」


 『可能です。異常部位の可視化、最適治療法の提案、神経伝達補助も行えます』


 ……医療革命では?


 でも私は医者より、まずは子役で稼いで将来ニートになる予定だ。


 「(医療特化?)」


 『いいえ。あらゆる分野に適応可能です』


 ちょっとドヤ顔された気がする。


 『マスター、知識の蓄積を推奨します。図書館へ』


 「ちゃっかりしてるなぁ」


 とはいえ、面白そうだ。


 私は県立図書館へ向かった。

 本当は市立で良かったのに、イリスが「蔵書量が違います」とうるさい。


 パソコン席に座り、ふと思う。


 「……株、やってみよっか」


 賠償金で会社の懐は潤っている。

 でも私は、自分の資産も増やしたい。


 まずは入門書で基礎を確認。

 専門書で応用理論。

 チャート分析、指標、需給。


 『銘柄A、短期上昇確率73%』

 『銘柄B、決算発表後に急落予測』


 イリスの提示は具体的で、根拠データも瞬時に示される。


 私はネット証券口座で、少額から売買を開始した。


 ……二時間後。


 利益:100,000円。


 「すご……」


 イリス、有能すぎる。


 『マスターの運値上昇も影響しています』


 なるほど、運5196の恩恵か。


 「この調子で増やしていけるかな?」


 『長期分散投資と短期戦略の併用を推奨します』


 完璧な回答。


 図書館を出る頃には、空は夕焼けに染まっていた。


 私は鼻歌を歌いながら帰路につく。


 宮園さんの件で学んだことがある。


 ――力は、持っているだけじゃ意味がない。


 正しく使わなければ。


 イリスという新しい力。

 高まった運。

 積み上げた経験。


 今度は、ただ芸能界で成功するためじゃない。


 もっと、はっきりした目標がある。


 私は立ち止まり、夕焼けの空を見上げた。


 「ねぇ、イリス」


 『はい、マスター』


 「私、自衛官になれるかな?」


 頭の中に一瞬の静寂が落ちる。


 『適性分析を開始します……』


 数値が高速で流れる感覚。


 『身体能力、学力、精神耐性、リーダー資質――総合評価:高。現時点到達確率41%』


 「まだ半分以下かぁ」


 『最適訓練計画を実行した場合、到達確率87%まで上昇可能です』


 思わず笑みがこぼれた。


 芸能界での経験も、注目を浴びることも、

 炎上を乗り越えたことも、

 全部、無駄じゃない。


 人前で堂々と立てる強さ。

 どんな状況でも冷静でいられる精神力。

 仲間を信じ、守ろうとする気持ち。


 それはきっと、将来誰かを守る仕事に繋がる。


 「じゃあ、やるしかないよね」


 『はい、マスター。目標を“国防従事”に設定しました』


 胸の奥が、静かに熱くなる。


 私は芸能界で輝きながら、力を蓄える。

 知識を学び、身体を鍛え、精神を磨く。


 そしていつか――


 本当に誰かを守れる存在になる。


 夕焼けの向こうに広がる空は、どこまでも高い。


 秋月(あきつき)燈由(ひより)、十一歳。


 未来の自衛官候補生は、小さく拳を握りしめた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ