表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

Mirror numbers

作者: で、お茶
掲載日:2026/01/01

目を覚まし、時計を見ると8時8分。

日曜日なのに早く起きてしまった。なんだか勿体なくて二度寝をしようとした。

その時だった。


「寝るなぁぁぁあ!」


いきなり甲高い声が朝の脳に響く。


「な、何!?」


僕はバッと起き上がり、声のする方へ顔を向ける、と……。


「うさぎ……!?」


そこには両耳と両目が数字の「1」の形になっている白いうさぎがいた。これはまるで……。


「マイナンバーカードの……」

「ストーーップ!違う違うちがーう!僕の耳をよく見るがよい!両耳が1になってるんだ。片耳だけのそやつとは違う」

「はぁ」

別になんでもいいんですけど。そんなことより。

「……なんでいるの!なんで喋ってるの!」

「おっと、自己紹介が遅れて申し訳ない。僕は株式会社Mirror numbersの社長、ミラナだ」

……そのまんまー。

「そんな会社聞いたことないんだけど……」

「そりゃそうだ。だって今初めて言った」

「は!?」

「株式会社〇〇の社長っていうのが夢でな」

「このうさぎ怪しすぎるでしょ」

「まぁそんなことは置いといてだ」

「いやあの」

まだ聞きたいこといっぱいあるんですけど。

「とりあえず聞け」

「はい」

「ここはMirror numbersだ」

「み、みらー……?」

「Mirror numbers」

「いや、発音良く言われても」


「ここは普段お前がいる世界とは違う。ゾロ目の時間になると何かが起こる。0時0分、1時11分、2時22分、3時33分、4時44分、5時55分、6時6分、7時7分、8時8分、9時9分、11時11分、22時22分、にな。このゾロ目の時間にはほぼみんな起きてるんだ。12時12分などもゾロ目の時間と言えなくもないが、それを言い始めると寝れなくなるからな」


「え、ってことは、Mirror numbersでは11時12分から22時21分の間にみんな寝てるってこと?」

「そういうことだ。まぁ、11時12分に寝るのは幼稚園生とかだがな。お前の世界で21時に寝てるやつは大体12時に寝てる。まぁ何にせよ、お前、この世界では大寝坊だぞ」

「え?あ、そっか」

なんか変な感じだな。っていうか。

「なんで僕はここにいるんですか!ちゃんと帰れますよね?」

「おう、そこは安心するがよい。お前はMirror numbers24時間体験コースだから」


……なんか軽くない?

「起きたら世界が変わってました!」なんてだいぶイレギュラーなことだと思うんだけど……。


「じゃあ次のゾロ目の時間まで、Mirror numbersがなぜゾロ目に特化しているのか教えよう」


「調べたらわかることだから詳細は省くが、ゾロ目をよく見るのは幸運のサインだと言われている。実際にMirror numbersに残されている歴史書にも、何かいい事が起こった時はゾロ目をよく見かけていたという記載が多い。そこで、我々が普段よく見る時間がゾロ目になったとき、何かいいことがある、とまぁ、いわゆる言い伝えみたいなものができたんだ」


「ふーん、ゾロ目の時間にはいいことがある、か……」

何も起こらない僕の人生にも、Mirror numbersではゾロ目の時間に何かが起こるんだ。

僕は胸を踊らせ、9時9分を待った。


〈9時9分〉

「さ、お前にとって初めての起きている間のゾロ目時間だ!何が起こるかな」

「何だかわくわくするな」


そんなことを話していると、下からいつものように母の声が聞こえた。

「ご飯できたわよ〜!」

「はーい!」

Mirror numbersのご飯なのだから、何か特別なものなのだろうか。カニとかあったりして……。

僕はるんるんで階段を降りた。


しかし

「生姜焼き……?」

「なによー。何か文句?あんた生姜焼き好きじゃない」

「あー、うん、好き。ありがとう」

……まぁ、ゾロ目の時間はまだあるしな。最初はこんなものだろう。


僕はご飯食べ、ゾロ目の時間はしばらく来ないのでいつも通り過ごし、少し変な時間だけど13時に眠った。


そして、22時22分に間に合うよう、22時に起きた。僕の世界で言う、7時より少し前くらいだ。


〈22時22分〉

目玉焼きトーストを食べた。


〈0時0分〉

友達といつも通り話す。


〈1時11分〉

授業中、先生にあてられる。


〈2時22分〉

また先生にあてられる。


〈3時33分〉

何も起きない。


〈4時44分〉

短縮授業の日だったらしく、いつも通り友達と下校。


僕は帰って一直線に部屋へ行き、ミラナに言った。

「何も起きないんだけど!?むしろ先生にあてられるとか嫌なことも起きるしさ。やっと何も起こらない僕の人生が変わると思ったのに!」


僕のそんな様子を見て、ミラナは呆れた顔をした。


「そんなこと当たり前さ。毎日何か特別なことが起こるわけじゃない。むしろ何も起こらないことの方が多い。それはお前の世界もMirror numbersも一緒さ。大事なのは見つけることと、意味を見出すことだ」


見つけることと、意味を見出すこと……。


「何も起こらないんじゃない。何が起こったか、見つけに行くんだ。もし何も起こっていなかったら自分が何かを起こす。嫌なことが起こっても、ゾロ目の時間に起こったのだからと、良いように捉える。言ったろ?ゾロ目の時間になるといいことが起こるというのは、Mirror numbersの()()()()、だと」


〈5時55分〉

僕は何となく、散歩に出た。ゾロ目の時間に散歩に出ると何かいい事が起こるような気がして。

結局散歩中に大きなことは起こらなかった。

けれど、いつもの世界ではこんな時間に散歩に出たりすることはないから、少しギリギリだけど、5時の空気を知れたことが少し嬉しかった。


〈6時6分〉

僕の好きなシリーズのゲームの新作が出るとの発表があった。Mirror numbersだから、ゾロ目の時間にお知らせがあるのだろうか。これは買うしかない。なんてったって、ゾロ目の時間に発表されたゲームなのだから!


〈7時7分〉

鳥が鳴いている。普段気にしないようなことだけれど、なにか良いことを知らせてくれているような気がして、そっと耳を傾けた。


〈8時3分〉

「さっ、お前がMirror numbersに来てからもう少しで24時間が経つ。体験コースは終わりだ。最後に言っておくが、ゾロ目の時間になったら何かが起こるのはMirror numbersだからじゃない」

「うん」

「Mirror numbersがお前の世界と違うところは、寝る時間と起きる時間くらいだ。他は何も変わらない。Mirror numbersの人間みたいにゾロ目を常に意識して生活する必要はない。けど、たまに気にしてみな。きっと、いいことが起きる」



目を覚まし、時計を見ると8時8分。

僕はほんの少し気分が上がった。

モチーフ楽曲

乃木坂46「Same numbers」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ