シャドーウルフ
シャドーウルフ。それは群れでの狩りを得意とした狼型の魔物だ。
他のウルフ型の魔物との違いはその能力。
シャドーウルフは群れの間での念話と、影に入ることのできる能力がある。
そのため隠密力とチームワークが強いのだ。
そんなシャドーウルフに囲まれた私は本に書いてあった知識を思い出して気持ちを沈めていた。
状況を整理しよう。プリュアリコの納豆の上に立っている私の周りのシャドーウルフ。
…やっぱカオスだな!!
にしても、なんでシャドーウルフ達はこんな態度を取ってるんだろう、?
疑問が解消できる材料がないかと周りを見渡していると、自分が驚いて獣化していることに気づいた。
私の父親のゼインの種族は狼の獣人。
シャドーウルフも狼型の魔物ということで親近感を持ったのかもしれない。
私が何もしてこないのを見て擦り寄ってくるシャドーウルフ達。
…これは懐かれたと見て間違いない気がしてきた。
その証拠として先ほど繋がれたばかりの念話から好奇心と親しみの感情が伝わってくる。
命の危機はないとわかると一気に疲労が押し寄せてきた。1番近くにいるシャドーウルフを眺めていると、つぶらな瞳でこっちを見つめていることに気づいた。
周りを見渡しても七匹ほどいるシャドーウルフ達全てがそうだった。
「一緒、来る?」
念話から読み取れる感情は親しみと甘えたいような気持ち。
私の個人的な思いもあり聞いてみると、「クゥン!」と全員が肯定した。
シャドーウルフは仲間と認めた者の影に入れる。
つまりシャドーウルフ達は私の影の中に入れるということだ。
私が人間の街に着いても一緒に入れるというのが嬉しい。
信頼関係が少しでも築けたことで片言ならシャドーウルフ達とも会話ができるようになった。
『のあ、にんげん、ち、におい』
シャドーウルフも言っている通り、さっきから私の鼻は人の血の匂いとそのすぐ近くの魔物の匂いを感じ取っている。
感知してしまったからには助けたい。
匂いのする方向へと私は走り出した。