57-しっぺ返し
閲覧して下さりありがとうございます。
素人丸出しのハイファンタジー物ではありますが
生温かい目で見守って頂けると幸いです。
尚、更新は不定期(気が向いたら)となっております。
『ねぇ見てよポポロ!何か居るよ?』
『ホントだ!なんだろう!』
やっかましいなぁ。何だコイツラ。
人の顔の周りをヒュンヒュンしやがってからに。
「そいやっ」
『フギャッ!』
ペチーン!
光の1つを、ほんの軽くはたいて叩き落とした。
お。床に当たって跳ね返った。
まるでゴムボールみたいだな。ちょっと楽しいかも。
「もう一丁っ!」
『ククル!…あいたっ!』
もう片方の玉も叩き落とす。
感触としては柔らかいテニスボール。小さいけど。
『ちょっとあんた、何してくれちゃってるのさ!?』
最初に打った光の玉が戻った来た。
オコですか?オコなんですか?
また叩かれるのを警戒してるのか、少しだけ離れている。
もう片方の光の玉もフラフラと戻ってくる。
「いや、ついなんとなく」
『凄く痛かったんだからね!って、あなた…人間?
なんで強欲のとこに人間なんかいるのさ?』
『あいたた…ククルー。大丈夫?えっ?人間?』
だってさ?顔の周りを羽虫がプンプンしてたら
パァン!ってしたくなるよね?俺は悪くない。
こいつらは何か喋ってるけど。
「おまえらこそ何なんだよ。迷子か?」
『ふんっだ!人間なんかに教えることなんてないわよ!』
『そーだそーだ!』
まるで俺を馬鹿にする様にまたヒュンヒュンし始める。
…よく分からんが、とりあえずお帰り頂こうか。
お客様は神様ではないのですよ。お引き取り下さい。
光の玉を両手を使い捕まえる。
こんな奴でもプチってしまうのは何か嫌なので
逃げられない程度の力で握る。
えっと、扉は…あれ?無くなってる?
確かにさっきまでここにあったはずなんだけど。
『はーなーせー!』
『何で?何で人間なんかが僕達に干渉出来るの?』
手の中でもがく2つの玉。大人しくしろ。
しかしどうしよコイツら。五月蠅いしやっぱりプチる?
あぁ、でも何かなぁ。そうすると後味が悪そう。んー。
ギャースカ喚く玉を掴んだまま、俺はガノの所へ戻る。
知識の塊のガノなら何か知ってるかもしれない。
「おーい。ガノー。ちょっといいか?」
台座を見ると、そこには何もない。
まだ作業は終わって無いみたいだな。
作業の邪魔になっちゃうだろうけど、とりあえず
コイツラをどうにかせにゃいかんのよ。許せ。
『わー。この門、ボロボロだー。変なの!』
『きったないねーキャハハ!』
汚いのはお前らのお口ですよお客様?
俺は、握る手の力を少しだけ強める。
『ちょ、痛い痛いっ!』
『いい加減離しなさいよっ人間っ!』
「お前らが黙ってくれるんなら放してやるけど?」
『人間の癖に生意気なのよ!いいから離しなさい!』
『アッカンべーだ!』
〈…何ゾ喧シイト思エバ鍛冶カ。
全ク。相モ変ワラズ騒々シクテカナワヌ〉
門の中に巨大な目玉が浮かび、俺が握っていた
2つの玉に視線を向ける。どうやら知り合いの様だ。
しかし…スミス?どこのアメリカ人ですか?
〈マサトヨ。離シテヤレ。ソ奴ラハソウ見エテモ
七神ノ一柱、鍛冶ヲ司ル神ナノダ〉
こんなチャラけたガキみたいなのが七神、ねぇ。
威厳も何もへったくれも無いな。
仕方ないので離してやる。お前ら、ガノに感謝しろよ?
解放された2人は、俺には目もくれず
壊れたガノの門をあちこち飛び回っている。
『何かスッゴいボロボロじゃん強欲?老けたの?』
『ポポロ、そんな訳ないじゃん。神は年を取らないんだよ?』
『からかってみただけー』
『知ってたー。キャハハッ!』
門を見てはしゃぐ二人…いや玉か?を尻目に
俺はガノに語りかける。
「…何か悪いなガノ、お前の邪魔をしたみたいで。
散歩してたら何か小さな扉みたいなのがあってさ。
そこを開けたらコイツらが出て来たんよ。
帰って貰おうと思ったら扉が消えててさ」
〈…大方、世界ノ地割レデ偶然ニ鍛冶ノ領域ト
繋ガッタノデアロウ。ドウセソノ内スグニ飽キテ
自ズト帰ルダロウカラ心配ニハ及バヌ〉
「ところで、預けた物はもうちょいかかりそうか?」
〈腕時計ハトウニ終ワッタガ、ブックカバーハモウ少シ
時間ヲクレヌカ。神柱魂ノ調整ハ済ンダガ
ソナタノ…スマヌ。コレハオヌシニモ話セヌノダ〉
ん?まぁ一年とかかからないなら全然いいけど。
1日位なら遅れてもアイシャなら許してくれるだろう。
何せかなりご機嫌だったからな。
『なになに?強欲、あなた人間なんて飼ってるの?』
『羽無しの人間なんて何の役にも立たないのにねー』
あぁもう!一々鬱陶しい!やっぱり潰す?プチっちゃう?
ガノの顔を立てて大人しく我慢してるけど…
いい加減に俺のイライラ棒が火を吹くぞ?あん?
〈イイ加減ニセヌカ鍛冶ヨ。ココハ我ノ領域ナノダゾ。
タダ騒ギタイノデアレバオヌシラノ領域ニテ
存分ニスレバヨカロウ〉
良いぞ。もっと言ったれガノ。
ふぅ。しかしガノーラ君はいつ飲んでも旨いな。
〈…スマヌナマサトヨ。コヤツラハ鍛冶ノ腕ダケハ
確カナノダガ…ソレ以外ニハ全ク興味ガ無イノダ。
普段、人間ト接スル事モナイ故、侮ル気質ガアル。
オヌシノ気ヲ悪クスルダロウガ…〉
「いいって。俺が我慢すればいいだけの話だろ?」
なんたって俺は大人だからな。
でも限度はあるぞ?あまり酷い様なら次はスマッシュ
打ち込んでやるからな。卓球したことないけど。
シュッシュッ。あれ?違ったこうかな。シュバッ!
『強欲、あんた何で人間なんかに気を遣ってるのさ?』
『変なのー。だから変わり者なんて言われてるんだよ』
変わり者、って所には俺も同意かな。
でも、それがガノの個性であり良い所なんだけどね。
「お前らなぁ。ガノの作業の邪魔になるから
少しは黙ってくれよ。騒ぎたいならさっさと家に帰れ」
『うるさいのはあんたよ人間っ!羽無しで
弱くてすぐに死んじゃう存在の癖に!』
ポンっ、とクラッカーの様な音を立てると、
光の玉はその姿を一瞬にして変化させた。
「…妖精、には見えないな。何だコレ?」
人型ではあるが、玉より少しだけ大きいぐらい。
背中からは対になった四枚の羽。トンボかな?
何かサンタ帽みたいなの被ってるし、ヘンテコな
モコモコした服着てるし。
俺のイメージしてた妖精とは大分違うなぁ。
『失礼ねっ!私は天使なの!人間なんかが気安く
声をかけれる存在じゃないのよ。分かった?』
『そうだぞ!羽無しの人間!もっと敬えっ!
四枚翼を授かった僕達はとっても偉いんだぞっ!』
ぺぺチンッ!
…あ。つい反射的にやってしまった。
『あいたぁ…』
『いたた…これだから人間は嫌いなんだ!』
「……あのなぁ。天使だか神だか知らないが
あんまり人様を馬鹿にするもんじゃないよ。
これ以上騒ぐってんなら、今の二倍で行くぞ?」
『ちょっと強欲!あんたの飼ってる人間
どうにかしなさいよ!』
『大体何で人間なんかが僕達に触れるのさ?
お前、本当に人間なの?』
…あー。全く懲りちゃいねぇ。
うちの子も結構やんちゃだけど、これはダメだな。
お仕置きじゃなくて根本的に再教育せんと。
俺は2人に聞かれない様に、〈思念伝達〉を使い
ガノに思念を飛ばす。
(ガノ、ちょっとこの悪ガキ達を懲らしめたいんだが
これから俺がする事、アイシャには絶対内緒に
してくれないか?)
(一体ナニヲスルツモリダ?再ビ我ノ領域ガ
破壊サレル様ナ事デハナカロウナ?)
(俺も初めて使う能力だけど、大丈夫だと思う)
…多分だけど。自信は…無いかもなぁ。
(まぁまぁ。いざとなったらまた魔力分けてやるからさ。
絶対に内緒だぞ?これも男と男の約束だかんな?)
(嫌ナ予感シカセヌガ…程々ニスルノダゾマサトヨ。
アア見エテモ神ハ神ナノダ。手荒ナ真似ハ許サレヌ。
ソレヲ肝ニ命ジテオケ)
さて。家主のガノさんの許可は下りたしやりますか。
丁度、一度試してみたかったんだよね。
アーレスティでも、狭間でも出来ない事だったから。
ここならアイシャにはバレないだろうし。
「おいスミスって言ったか。そんなに天使ってのは
偉いもんなのか?」
『当たり前じゃない!いいこと?私達は天使であり
そして神でもあるのよ。
たった100年も生きられない、少し怪我しただけで
すぐに死んじゃう様な存在なんかとは違うのよ!』
『そーだそーだ!僕達が手を貸さなければすぐに
滅亡しちゃうくせに、ちっとも敬いもしないし!
そんな生意気な羽無しの人間のクセに!』
そりゃ自業自得ってもんでは?
俺なら嫌だね。こんな神に感謝も敬愛もしたくないわ。
ガノに祈る方が百倍マシってもんよ。
「ほぅほぅさいでっか。なら__〈神性顕現〉」
リンゴーン リンゴーン リンゴーン リンゴーン
リンゴーン リンゴーン リンゴーン__
突如、空にとてつもない大きさの鐘がいくつも現れ
連唱するかの様に揺れ、次々と鐘の音を打ち鳴らす。
物凄い大音量ではあるが、全く不快感は感じない。
むしろ心が洗われるかの様に…穏やかで、心地良い。
音が一度鳴る度に、鐘からは羽らしき物が舞い踊る。
『何!?何が起きてるの!?』
『見てよククル!上っ!』
突然現れた鐘の群れに驚く2人。
そして、俺に吸い込まれる様に集まる、鐘から降る羽達。
まるで羽毛布団の様に全身が羽にくるまれたかと思うと
フワァッ!と一気に外側へと羽は飛び散った。
__漆黒の空間に浮かぶ、方々に散った純白の羽。
床に落ちると、雪の様に溶けて無くなる。
何とも言えない幻想的な光景である。
「綺麗だな…まるで雪みたいだ」
宇宙人さんのあの空間には到底及ばない。でも。
星の輝きとは違うが、これもこれでまた美しい。
…いつの間にか、鐘の音は止んでいた。
『あああ…あんたっ!』
『そんな!なんで!』
最初は鐘を見つめていた二人だったが、真人に振り向くと
言葉を失ってしまう。
そんな真人の背中には、4対からなる八枚の翼。
一つ一つは大きくは無いが、細長く、シャープに
その存在感をありありと体現している。
「おぉ。何か羽が一杯生えてる。それにこれは…」
真人の視界には、今まで見えなかった、自身を覆う
白い霧の様な物。触っても何も感じない。
あわわわ、と放心している2人の神にも同じような
まるで松明の灯りとも言える光で包まれていた。
「こいつらは…黄色いな。ガノは…まぁそうだよね」
外見は廃墟のガノの大門からは、黒い霧がもうもうと
立ち上がり、全体をくまなく覆っている。
きっとこれは、神様が持つ力のオーラか何かなのだろう。
アイシャにはこんな風に世界が見えていたんだな…
「……さぁて、スミス君とやら」
『は…あひゃぃっ!?』
素っ頓狂な声を上げるスミス君。さっきの威勢は
どこへやら。こちらを直視しようともしない。
相方の方は虚ろな目をしてブツブツと何か言っている。
「これで俺も君らと同じ天使になった訳なんだが…
___俺の話、聞いてくれるよね?」
今回もお読み頂きありがとう御座います。
のんびりペースで話は続きますが
それでも良ければ今後ともご贔屓に。




