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03-出来の悪い子は追試ですっ!

閲覧して下さりありがとうございます。

素人丸出しのハイファンタジー物ではありますが

生温かい目で見守って頂けると幸いです。


尚、更新は不定期(気が向いたら)となっております。




__へっ!?どういう事だってばよ!




天国でも地獄でも無くて、アーレスティが行き先だって?


神様はドヤァな感じにピカピカ光ってるけど

自分には…その言葉の意味が全く意味が分からなかった。



(でもそうかぁ、『別の世界』、ね。)



なにせあれだけ美しい星だったんだ。

表現が人間と神様とで違うだけで天国なのかもしれない。

もしくはあれはただの見せかけで、実はかなり苛烈な所なのか…


しばらくは鬱陶しいぐらいの距離でピカピカしていた

神様も、俺がブツブツと独り言モードに入ると

光るのを止めた。



「えーと…理解したかな?それとも…もしかして

 1から説明しなきゃいけない感じだったり?」



声に反応して神様を見上げる。


球体なので表情こそないが、声のトーンが数段落ちている。

さっきのドヤピカはどこへやら。すっかり大人しくなった。

ちょっとザマァとか思ってもバチは当たらないよね?



「そりゃあ死後の世界なんて普通、誰も

 知る事はないですからね」



たまにテレビで「驚異!○○の生まれ変わり!」とか

見た事はあるけれど、あれはあくまでフィクションだ。


ニュースでも前世の記憶を持って他人に生まれて

前世で自分を殺した犯人を言い当てるとか

ホラー地味た事を観たりするけれど…

やはりああいう類の物は冗談半分でしか見れない。



「そっかー。チキューの世界の人でも、やっぱり

 そういう事もあるんだねー。それはそれとして」



チキュー?それって…地球の事だよな?



「ぐはぁっ!?」



__神様(球体)のドロップアタック!

  お腹にクリティカルヒット!9999のダメージ!



なんてテロップが流れそうな勢いで腹にグーパンならぬ

球パンを食らわしてくる神様。見た目は柔らかそうなのに

質感はボーリング球並みの硬さ。これは死ねるぜ…


あ。もう死んでるから死ねないか。アハハ。

さっきザマァとか思ったのがいけなかったのか?



ごめんなさい。もう二度と馬鹿にしませんからグハァッ!

哀願虚しく、二度目の球パンが容赦無く腹に突き刺さる。



「…あまり変な事考えない方がいいよ?

 こんなんでも一応、管理者の一柱なんだからねっ!」



くっ…まさか思考が読まれてるだと!?

貴様っ…もしやニュータイプの神様なのかっ!?

いや、ロボットなんてどこにも見当たらないけど。



「そーゆーことっ!」


「うんぎゃあ!」



三発目の球パンが炸裂。俺の腹は死ぬ。

身体は相当鍛えて来たつもりだが、こいつぁ…効くぜぇ…


息も絶え絶えに、悶え苦しむ俺の姿を見て

気が済んだのか、神様はようやく身体から離れてくれた。



「それじゃ、チャチャっと済ませちゃおうか」



ベッド上でくの字で悶える俺を横目に、神様は語り出した。



この世には星の数だけ世界が存在するという事。

それらを創りだしたのは『創造神』と呼ばれる存在で

自分は創造神の意識の断片で構成された『管理者』だとも。



管理者の役目は『自分の世界を安定維持する事』らしい。

但し、管理者が直接的に世界に干渉する事は例外を除いて

禁止行為とされており、専らは担当の世界の監視だそうな。



とはいえ、そんな神もどうやら万能ではないらしい。

本来、死した存在はその世界で輪廻の輪に戻り

再び何かしらの生を受けるまで悠久の時を巡る。


これの管理も仕事の1つらしいが、ある世界において

この業務に支障が出ていているそうだ。

そう。我らがEARTH。地球である。



「えっと神様、ちょっと質問…よろしいでしょうか?」


「んー?どこか分からない所あったかな?」



神様の前には何故か黒板があり、俺は学校机と椅子という

見た目は張りぼて、プチ教室みたいな状態に。

気にしたら負けか。もう一々ツッコミいれるのもな…



それとなく、理由を尋ねると…神様曰わく。



「チキューだと、人間に物事を教える場所があるのよね?

 確か…『ガッコー』?だったかな?

 とりあえず、見た目だけを真似してみたんだけど

 どうかな?それっぽくない?」



ってことは、神様が先生で俺が生徒か。


懐かしいなぁ、学生生活…語る程の思い出なんて無いけど。

そういや、高校生活も二年だけだった。

なんとかして後一年通えれば修学旅行にいけたのに。



球体…もとい神様にはどうやって掴んでるのか

謎過ぎる指揮棒が刺さっており、それを振り回しながら

器用に黒板をパシンパシン!してる。



「はいっ!ここテストに出るよー!」



出ねえよ!と心の中でツッコミいれたら

どこから来たのか白チョークが額にクリーンヒット。

心の中のツッコミぐらい許してくれませんかね?



「それじゃ、続けるね?

 質問は説明の後にして。それと…居眠りなんて

 したら…分かるよね?」



ハイ。ドリョクハシマスヨ。

元々俺は地頭が宜しくないので、お手柔らかに…


神様の授業は続く。

黒板は何もしてないのに勝手に文字や図解が描かれては

消えていく魔法チックな教室。すげぇな魔法…



神様曰わく、地球での人間種の増加が異常に高く

地球の管理者の手に負えなくなってきているらしく。

当然死者も多くなり、ちょくちょく輪廻の輪から

外れて他の世界に迷い込む魂が後を絶たないそうな。



この世界の人間種ってどれぐらいなんだろう?

地球の総人口は…確か120億人ぐらいだったはず。

あー。確かに俺が管理者だったら無理かもしれないな。

馬鹿だし。人の上に立てる様なガラじゃない。



「あのねぇ。君もその中の1人なんだよ?」



…そういや、結局何で俺は死ぬことになったのか。

未だに死因が分からないのが少しモヤっとする。

死んでしまった事はもう気持ちの整理がついているのに。



「先生、あの_」


「ん?君の死因?それはね…熱中症だよ」


質問を遮られてしまったけど…

そうだった。神様は心を読めるんだったっけ。

ん?熱中症?マジで?



「チキューの人間って、本当にか弱いんだね。

 少し熱くなっただけで、死んじゃうなんてさ。

 私の星の人間には、そういうのは居ないのに」



またドヤピカしはじめる神様。だが見ない事にする。

余計な事考えて球パンされたらかなわんし。

死んでる筈なのにかなり痛いんよ、アレ…



そういや…最後の日の一週間程前だったな。

電気代未納で電気止められたのって。

電気だけじゃない。そのさらに前にはガス代すら払えずに

ガスが止められてしまった。生きていたのは水道だけ。



日中の暑さを水で凌ぐのも確かに限界だった。

仕事疲れ、更に夜だからって過信してしまったか…

しかし熱中症かぁ。最期までしょーもない生涯だこと。



「コラー!集中しなさいっ!」



__スコーン!



本日二本目の白チョークが額にクリーンヒット!

球パンよりはマシとはいえこれも…中々に痛い。

死後なのに痛覚があるというのも謎である。

この非常識な状態に慣れつつある自分も少し怖い。



「それじゃ続けるよー」



世界をはみ出した魂、これを『離魂』というらしい。

迷いこまれた世界にとって本来であれば異物。

自分の世界の均衡を保つ為に管理者の手によって

排除されるのが原則。やだ何それ怖い。



ただ、知的生命体に限っては例外らしく、よっぽど穢れた

離魂でない限り管理者の意思によって世界に組み込まれる。


他の世界の魂は強い素質を持つ者が多く、力の見返りとして

世界を安定させる為に管理者と協力関係を築くという。

ちなみに俺もその候補として今、授業を受けている訳だ。



「でもそれって体の良いパシ_」



__スパパーン!



どうせこっそり心の中で呟いてもバレるだろうと

ストレートに口に出してみるもあえなく撃沈。

しかも二本同時に飛んで来やがった…ぐぬぬ。やりおる。



「とまぁ、こんなとこかなー?どう?理解できた?」



額に小さなコブが出来てる以外は大丈夫だと思う。

死んでるはずなのに痛覚はあるしケガもするのは何故だ?


俺は離魂の状態のはず。実体があるはずがないのに。

しかもピンポイントで同じ場所ばかり狙いおってからに…

結構、いやガチで痛いんだぞ!抗議する!Boo!



「クスクス…ほんのイタズラしただけなのに。

 少年はひ弱なんだね?

 でも、あなたに死なれちゃうと、私も困るのよ。

 だから、特別だよ?」



__ピョコン!



神様が突然、頭の上に飛び乗ってきたかと思うと

何かブツブツと、日本語では無い言葉を呟き始めた。



__〈生命の奔流〉(エキス・ザナリブート)



ボソッと何かを呟いた次の瞬間、身体全体が熱に浮かされる。

驚きの余り、思わず立ち上がろうとするも…



「メッ。動いちゃダメだよ?

 その火照りは一時的な物だから。すぐに治まるよ」



と言われてもですねっ!?身体全体が熱いんですよっ!


特に額の辺りが焼けてるんじゃないかってぐらいに。

ただ、痛みは感じず逆に額(とお腹)の痛みが引いていく。

痛みが完全に無くなった所でウソだったかの様に

身体の熱も綺麗サッパリと消え失せた。



「痛みが引いていく…これは…また…凄いな」



おでこに手をやると、出来ていたタンコブは引っ込んでおり

さすっても全く痛みを感じない。


神様を見ると二倍増しの『ドヤァ!』してるし。

凄いのは分かりましたから光量下げてくれませんか?

距離が近いんで尚更眩しいんですよ!



「今のは治癒魔法の1つだよ。人間が持つ自己治癒力を

 最大限に高めるのさっ!えっへん!」



ほぉ。やっぱり魔法の効果だったのか。

そりゃあね。こんなの地球じゃ有り得ない事だもの。

流石異世界と言った所だろうか。



「さっきも話したけど、私の世界…アーレスティもね。

 ちょーっとだけ困った事になってるのさ。

 私が直接手を下す程でもないけど、かといって

 ホイホイ見逃せる程小さくも無いんだよね。


 何か良い方法が無いかなーって時にいきなり

 君という離魂が来た訳なのよ。

 ねぇ、これって運命だと思わない?ねえねえ」



突然真面目口調かと思いきや最後は少しウザ…いやよそう。


せっかく治った怪我を拾いに行くほど馬鹿じゃない。

んで。シリアスな話な所悪いのですがとりあえず頭から

降りてくれませんかね?神様。



「ありゃ。チキューの君には私、重かったかな?」


「いえ。単に頭の上だと会話し難いだけですよ」



実際、頭に載ってる間も重さは全く感じなかった。

ただ、それとは別の何かがモゾモゾしてるような…

言葉では表現出来ない『何か』は感じたが。



「へぇ…やっぱり君は変わってるね?

 そっかそっかー」



__ピョコン!



神様が学校机に飛び乗った。


何だろう。神様が鏡餅に見えてきた…イカンイカン!

不敬な考えは罰当たりだ。何本飛んで来るか

恐ろしくて考えたくもねぇ…



「それじゃ…コホン。改めて聞かせてもらおっか。

 チキューの離魂である、人間。

 葛城 真人(かつらぎ まさと)よ」







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