27-建前と本音
閲覧して下さりありがとうございます。
素人丸出しのハイファンタジー物ではありますが
生温かい目で見守って頂けると幸いです。
尚、更新は不定期(気が向いたら)となっております。
__どれほど、意識を失っていただろうか。
ゆっくりと覚醒していく意識の中、真人はひとごちた。
「相変わらず、綺麗な空だな…」
常に雲一つ無く、どんなに時間が経っても
朱にも闇にもならないこの空が真人は好きだった。
首だけ少し持ち上げると、俺の胸の上で
神様がスースーと穏やかに眠っている様だった。
「そうか…間に合ったか…」
…あれは半分賭けだった。
時計の宿るガノの魔力に酷く怯えていた神様。
ならばきっと、その魔力を含むこの飲物__
ガノーラもそうだったんじゃないか、って。
今こそ、白く無色透明になってはいるものの…
そんなものを神様が自発的に飲んでくれるかどうか。
それだけが唯一の気掛かりだった。
だけどこの様子だと、きちんと飲んでくれたらしいな。
俺の身体の痛みは大分マシになったが、まだ少し痛いな。
両手を持ち上げる。
上着の裾は相変わらず真っ赤だが、出血はない。
所々、ツギハギだらけの皮膚は見た目こそ不格好だが
魔力がガス欠の神様が必死になって治療したのだろう。
そう思うとグッと胸が熱くなる。
拳を握ると、僅かな痛みとツッパリ感。
…こりゃ、当分の間無茶は利かないな。
相当リハビリしないと。大変そうだ。
ガノーラでも飲もう、と思ったが今の俺は神様のベッド。
神様も相当疲れているはずだ。起こすのは忍びない。
そっと、神様の頭を撫で…ようかと思ったが、
流石に血で汚れた手は無いよなぁ…と考え断念。
再び天を仰ぐのであった。
__俺は今まで、勘違いしていたのかもしれない。
祖父の教えを頑なに守り、ここでもそれを貫いてきた。
力を求めず、必要以上の欲を持たず、人には優しく。
地球では結局死んでしまったが、それで十分生きていけた。
…だが現状はどうだ?
最初はともあれ、あれから二回も死にかけた。
自分だけの事ならそれでもいいさ。
だが、今の俺には自分以上に守りたい存在が出来た。
守る為に、自分も死ねない理由も出来た。
それなのに俺は。
何度も悲しませ、泣かせてしまったか分からない。
何度も命の危機に陥り、俺自身は全くの無力だった。
挙げ句の果てには逆に助けられる始末。
これじゃ守るものも守りきれない。
ただの口だけ達者なペテン師なクズ野郎だ。
「強くならなきゃ、な」
今まで、俺は魔法の力は自分には過ぎたる物だと
ずっとそう思ってきた。
だけど、今は違う。
俺の胸の上で寝ている、この小さな子供だけは。
絶対、何があっても守りきれる程の力が欲しい。
俺は結局…力に怯えていたんだ。でもそれじゃダメだ。
それだと何も守れない。俺自身も、この子も。
もう俺は力から目を背けない。例え相手が何だろうと
この子だけは俺が守ってみせる!
だから創造神様、1つだけ…ワガママを言わせて下さい。
地球でも使わなかった、一生に一度のお願いです。
この子…アイシャを守り抜く為の。ただそれだけの力を。
どうか私に授けては貰えませんか?
…すると、僅かに真人の身体が地面から浮遊する。
ゆっくりと、その胸に神様を乗せたまま。
真人の身体は空へと浮かんでいく。
これは…〈星命の理〉か!?
原初の楽園から、ここに戻る為に使ったスキル。
であれば、このままいけばどうなるか。
どこへかは知らないが、飛ばされる!
「神様っ!!」
せめてこの子だけは!…と両手で神様を抱きしめると
プツンッ、と真人の意識は途切れた。
___
__
_
__言葉が 出ない
真人の眼前には、様々な模様をした星々の光景。
幾つもの星が楕円形になって一つの塊になっている。
片や、一際大きく輝く星の周りを、小さな星がゆっくりと。
__さながらそこは、教科書で見た宇宙そのもの
真っ暗で、何一つ音がない静寂の中で織り成す
そのあまりにも神秘的な光景に、真人は絶句していた。
身体の感覚が全くない。まるで溶けてしまったかの様。
意識は完全に覚醒してはいる。だがそれだけ。
視界以外の一切の感覚が無いのだ。
死後の世界があったらこんな所だろうか。
『ようこそ。葛城 真人君。
真人、と呼んだ方が良いのかな?』
自分と同年代ぐらいか。若い男性の声が空間に響く。
ただ、その姿は見えない。
『そっか。君は喋れないんだったね』
パチンッ!
まるで指を鳴らすかの様な軽い音。
「あ…えっと…」
自分でもどこから声が出てるか分からない違和感があるが
ようやく言葉にする事が出来た。
「ここは…あ!神様は!神様は無事なんですか!?」
『ここが何処かは、大して重要な事じゃないんだ。
神様…うん。君の神様は大丈夫。今も無事だよ』
声の主をどこまで信用していいのかは不明だが
その穏やかで優しい声に敵意は全く感じない。
話を進める為にもあえて追求はせず、次の言葉を待つ。
『私は真人と話がしたくてね。とは言っても
私がそちらに出向く事は出来ないから、こうして
君をここに招いた、って訳なんだ。
突然連れてこられて驚かせた事は謝罪するよ』
「…もしかして、あなたは創造神様ですか?」
ここに飛ばされる前、俺は創造神様に願った。
こんな摩訶不思議で神秘的な場所を創るだなんて
創造神様以外に考えられない。
『答えはノー、かな。
でも私も似たようなものかもしれないね。
私の話はいいんだ。真人、君の話をしようか』
「私の、ですか」
『そう。真人のね。
君は力が欲しいのかい?』
なぜそれを_と聞きたくなるが、ここは素直に答える。
「はい。私には何にも変えられない程に
守りたい存在が居るんです」
『君の言う所の、神様、だね?』
「そうです。ですが…」
自分の無力感がそうさせたのか、僅かに言葉に詰まる。
まるでそれを見透かすかの如く。
『自分には、それを守るだけの力が無い。
だから力が欲しい。そうだね?』
「…はい」
『真人、君に問おう。何故そこまでしてまで
あの存在…神様を守りたいと願うんだい?
確かに君と神様は魂が繋がっている。
君がもし死ねば、神様も死ぬだろう。逆もだね。
もし、だよ。
君と神様にその繋がりが無くなったとしたら?
今と同じ気持ちでその願いを言えるかな?』
何故だって?そんなの決まってる。
俺の命が惜しいなんてチッポケな話じゃない。
〈魂の回廊〉があろうがなかろうが変わらない。
確かにいつかは俺も寿命で死ぬだろうさ。
でも。その時が来るまでの間だけは。
あの子にはずっと笑顔で居て欲しいから。
だから答えなんて決まりきってる。
「例えそうだとしても、俺の願いは変わりません」
『真人ならそう答えるだろうと思ってたよ。
君が守りたいと思う存在は天界に属する天使なのは
君も知ってるね?』
「はい」
『その天使が、真人に対して抱いてる感情も?』
…それも分かってるさ。
いくら馬鹿でその手の話に疎い俺でも、あれだけ
ドストレートに伝えられたら分からないなんて訳ない。
『真人は人間で、神様は天使。
人と神は決して相容れない物なのは知ってるかな?
真人がどんなに割り切ろうとしても、神様は
君の事を愛している。決して諦めない。純粋な愛だ。
だけど、これは決して実らぬ果実。
君がどんなに守ろうと、いつか神様の心に葛藤が生まれ
嫉妬に狂い、絶望し、そして闇へと堕ちるだろう。
真人。…それでも、君はそれを願うのかい?
君は守る者を殺してしまうかもしれないんだよ?』
「……人と天使がそうなるのがいけないのは分かってます。
確かに、俺は神様の想いは叶えられないですけど。
だけど、俺は約束したんです。何があっても助けると」
『…それは少し、矛盾してはいないかい?』
「叶えられなくても、守る事だけなら出来ますから。
神様が間違いを起こせば俺が叱ります。
勿論、そうならない様に気を付けはしますし
出来る限り、正しい道へ導いてあげるのが大人…
保護者の責任、というのではないでしょうか?」
『保護者…真人。君は面白い考え方をするね。
でもそれは、君のただのエゴでは?
それで神様に拒絶されたらどうするつもりだい?』
…人から見たら、確かにそうかもしれないな。
だがこれは祖父から教えられた、人として大事な事。
故に、何と言われても貫き通してきた、俺の誇りだ。
こればかりは例え神様でも、何者であろうと。
その考えを曲げるつもりは毛頭無い。
今のところ、この状態で神様に嫌がられた記憶は無い。
でももし、そんな事になったら__
「その時は、俺がそこまでの人間だったというだけですよ」
拒絶されてもいい。無視されてもいい。
なんなら気の済むまで殴られたっていいさ。
例え神様に刃を向けられても俺の気持ちは変わらない。
それでも、俺はあの子を守りたいんだ。
__俺がいずれ死ぬ、その日まで。
今話もお読み頂き感謝x2!
結構入力に慣れたつもりですが、所々誤字があったり。
赤○先生って凄いんだなぁ。尊敬。
あまりにも文節に違和感が出る誤字は修正しますが
それ以外は皆様の脳内補完でお願いしますっ!




