25-激動の再会
閲覧して下さりありがとうございます。
素人丸出しのハイファンタジー物ではありますが
生温かい目で見守って頂けると幸いです。
今話は、神様とマサトの視点がちょいちょい変わります。
少し読みにくいかも。ゴメンナサイ。
尚、更新は不定期(気が向いたら)となっております。
__「〈星命の理〉」
真人の身体を大地から切り離すような浮遊感が襲う。
ゆっくりと、身体が闇の空へと舞い上がる。
「…っととと!危なっ!?」
突然の事に驚き、バランスを崩し掛けるも
持ち前の身体能力で何とか均衡を保つ事に成功した。
おおよそ5メートル程浮いた所でピタリと上昇は止まり
真人の身体全体に淡い青の光が浮かび上がる。
やがてそれは光の卵の形を為し__
___
__
「…来た!」
次元の狭間のベッドの上で今か今かと待ち望む少女は
その気配を感じとるや、ベッドから跳ね起き、駆け出した。
_マサトが、帰ってきた!
気配の主は、ここからはそう遠くない。
その小さな足を、力の限り踏みしめ、ひた翔る。
一秒でも早くマサトに会いたい。
あの大きくて優しい手でまた私の頭を撫でて欲しい。
少し硬い、でも暖かくホッとする胸で私を抱きしめて。
__少女はひた翔る。
そして、ようやく辿り着くのであった。
__
___
「…危ない所だった」
空を見ると見慣れた晴天の空。
床に流れる雲。
間違い無い。俺は帰ってきたのだ。
「…しっかし、危うくガノーラ君を失う所だったぜ。
次使う時は気を付けないとな」
チャプン、と黒い液体に満たされた、硝子の容器に
目を落とすと、思わず安堵の溜め息が出る。
〈星命の理〉でこちらに飛ばされた瞬間。
真人は次元の狭間の上空やや高くに瞬間転移していた。
下を見ると、地面までは目算で10メートル以上はある。
「高ぇぇぇし怖ぇぇぇ!なんでぇぇ!」
そんな真人の叫びも虚しく、無常にも身体は
雲の床目掛けて落ちていく。
このままでは、ネックレスと時計はともかく
割れ物である硝子で出来たガノーラ君は
確実に割れてしまうだろう。
ガノと一緒にあれだけ苦労(脅し)して作ったんだ。
ここで無惨に散らすわけにはいかないっ!
咄嗟に瓶とネックレスが入った箱を抱き抱える。
みるみるうちに地面が近づいてくるっ…!
「男ならぁ!根性だ根性っっ!」
地面に接地すると同時に、膝をバネにし、横へ飛び
衝撃を出来るだけ殺す。
何回転したのかは分からないが、無事に着陸出来た様だ。
ゴメン嘘です。足の骨が何本か逝ってるかもしれん…
根性にもやはり限界はあるっ!
胸の中のガノーラ君は割れる事無く、その姿を保っていた。
「そうだ!ペンダントはっ!」
一緒に抱えていたはずの木箱が…無い!
ちぃっ!転がった時に落としたのか!?
…あかん。あれを無くした、なんて神様にバレたら
絶対怒られる…それもかなり拗ねてしまう…
転がってきたと思われる方を、両手でガサガサしつつ
必死に雲の床の上をまさぐるようにして探す。
やがて、手にコツン、と硬い感触。コレだ!
木箱には軽くヒビが入っていたが、中のペンダントは
緩衝材である布のおかげで無事であった。
ありがとうガノ。マジで助かった…
中で絡んでいたネックレスを再び整え、箱を閉じる。
気付けば身体中がケガだらけだ。よく生きてるな俺。
今こうして、立っているのも少し辛い…けど。
「楽しかったな」
予想外の出来事から始まりこそしたが…
突然飛ばされた原初の楽園。
相手は人では無いが、久し振りに全力を出したあの一戦。
初めて出来た、こちらの世界の友人…目玉だけど。
俺の人生初めての、本物の旅行だった。
旅と言っても内容はハチャメチャ。何もかもが非日常的。
…まだ本当の旅立ちすらしていないというのに。
今からこの調子じゃ、本番のアーレスティでは
どれほど刺激的な体験が待っているのだろうか?
楽しみでならない。ワクワク。
そんな、とりとめの無い事を考えていると
やがて、水平線の向こうから小さな、とても小さな影が
こちらに向かって走ってくるのが見えた。
思わず、真人はその影に向かい呟く。
「ただいま」
_
__
「はぁ…はぁ…」
本来であれば、飛行すればひとっ飛びの距離を
全力で走ったせいで、息が上がる。
目の前には、締まらない顔で苦笑いしているマサト。
本来であれば、今すぐにでも飛び付きたい。
だが、目の前の光景が私の理性に警告を発している。
(なんなの…アレ…)
マサトは全身傷だらけで、特に両手の傷が深そうだ。
多分、上着を裂いて包帯にしたのだろう。
そのどちらの手も深紅に染まっている。
だが、彼女がその場を動けないのは、それが理由ではない。
「神様、遅れ__」
「そこで止まりなさい!!」
キョトン、と豆鉄砲を食らった鳩な真人。
今の彼女に、真人を気遣う余裕は一切無かった。
(なんて…禍々しいっ!)
彼女の視線の先には、彼の左手首に巻かれた
腕輪の様な何か。それはとても小さな物だが
そこから途轍もない密度の闇の瘴気が漏れ出ている。
「えっと、神__」
「止まりなさいと言ったでしょう!!」
それに、マサトが手に持つ、ガラスと思しき容器に
なみなみと入っている黒い液体。
腕輪程ではないが、こちらも同様に
腕輪と同じ気配、強い闇の力を感じる。
彼女は極度に混乱していた。
確かに、目の前にはあれほど待ち焦がれたマサトがいる。
しかし、彼は全身にうっすらと闇の瘴気を纏い
手首には、管理者である私、いや天使族としての本能である
私が「今すぐ逃げろ」と警鐘を鳴らす程に
光を吸い込む様な漆黒の、闇の瘴気が溢れ出ている。
__あれがもし 暴発なんてしたら
あの力は、何らかの理由で抑えられている、もしくは
制御されずに既に暴走しているのかもしれない。
あんな途方も無い力がここで爆発なんて事になれば
私もマサトも、私の世界そのものが終わる。
冷や汗が止まらない。
心臓は自分の物ではないかの様に激しく鼓動する。
身体の芯が冷えていき、やがて震え出す。怖い…けど!
私はこの世界の管理者!逃げるだなんて許されない!
「あなたは…本当にマサトなの?」
__
_
『そこで止まりなさいっ!』
やっと帰ってきた、と安堵も束の間、神様は突然大声で
俺が近付くのを強く拒絶してきた。
その声の切迫した迫力に、思わず一歩後ずさる。
…やっべ。流石に長く留守にし過ぎたかな?
もしかして、伝言がちゃんと届かなかったとか?
でもちゃんと届けたよーってロボ子さん言ってたし。
チラッ。うわぁ…メッチャ怒ってるじゃん。
あれは本気で怒ってる時の顔だわ。ガチのガチ。
やっぱりド○も用意すべきだったか…って違う!
いやでもですね神様?
そもそもあれは不可抗力って物でしてはい。
決して私が全て悪いとも…いや…そうと言えないかも…
最後あたりは結構ノリノリだった気もする…な。
やっぱ俺が悪いのか。
「えっと、神__」
『止まりなさいと言ったでしょう!!』
…こりゃあかん。とりつく島が全く無いわ。
スッゴいこっち睨んでる。えぇ…どうすれば?
あんなプルプル震える程に怒らせた子供なんて
多分何言っても聞かないだろうしなぁ。どうしよ。
今から白旗でも作ろうか?いや、今動いたらまた
神様にどやされそうで怖いなぁ…あぁもう!
『あなたは…本当にマサトなの?』
…へっ?
_
__
「あなたは…本当にマサトなの?」
ガタガタと震える身体を抑え込んで目の前の男に問う。
この感じ、仕草、声。
聞かなくても分かる。私が愛するマサトそのものだ。
でも。どうしても疑念が拭いきれない。
これが、マサトと瓜二つの何かだとしたら
それは決定的な破滅をこの世界にもたらしてしまう。
……男からの返事は無い。
ただ、困った顔だけしてこちらの様子を伺っている。
___こうなったら 確かめるしか
あれは純然たる闇の力。それなら…まだ手は…ある。
でも、もし違ったら…また私は彼を…そんな…
ギリィ!
小さな神が歯を力一杯噛み締める。
…ダメよ。
私はこの世界の管理者。あらゆる物からこの世界を
守る使命がある事を忘れたの?
強くならなきゃ。身も心も。惑わされちゃダメ!
「マサト、暫くの間、そこから絶対に動かないで。
お願いだから…マサトの事…私に信じさせて?」
今から使うは、私が管理者たる使命。
最後の切り札に並ぶ、最大の力の行使。
彼は、私の言葉を受けるとその場に座り込んだ。
マサト…好き…愛してる。だからっ!お願いっ!
「〈管理者権限〉〈封印限定解除〉っ!」
普段、自身が力によって暴走しない為の封印を解除する。
星の命が尽きる、もしくは危機に瀕した時。
今。私の使命を果たす時が来たのだ。
「__我らが主たる師へと希う。我が名はアイシャ。
全てを創りし御神よ、我に世界を清める力を与え賜え」
マサトを中心に聖紋が発現する。
彼は驚いた様子を見せるも、その場から動こうとしない。
「全ては主の袂へ。不浄なり者なりし。無為に還さん。
心清き者への祝福を、分け与え賜え」
最初の聖紋を中心に、次々と無数の魔術紋が浮かぶ。
管理者の私ですら詠唱しなければ制御なんて出来ない。
そんな物を、今私は、愛する者へと向けている。
「光の導きあれ。その慈悲の手をここに。
断罪の力を我が手に顕現させよ!」
聖紋から、周囲の魔術紋へと魔力が伝送された。
後は…放つだけ。お願いマサトっ…どうか…無事に…
「〈抱擁の聖極光〉っ!!」
__
_
「…ガノも大概だったけど、これも何かヤダなぁ」
俺の視界には、光輝く小さな神様と
その両肩から生えている『大きな光の二本の腕』。
…何だっけー。日本にも確かこんな仏像あったよなぁ。
神様に言われるままにその場に座り込んだ俺は
神様から生えた光の腕がただ迫ってくるのを眺めていた。
お?見たらいい筋肉してんね?腕相撲する?
あ…サイズデカすぎ。俺が無理だわ。また今度ね。
ゆっくりと、まるで俺を握り潰すように包み込む
大きな二本の腕。シュュュゥ…
だが、俺の身体には何の変化も…ん?シュー?
音のする方を見ると、ガノーラ君だった。
まるで茹でられた様な湯気を出してるけど…えぇ?
あ。黒い色がどんどん薄くなって行く…
数秒後、ガノーラ君は無色透明にジョブチェンジした。
無職じゃないよ!無色だよ!
キュポッ グビグビ…ゲップ。
とりあえず味見してみる。
「…味は変わらないか。コ○ラじゃなくてソーダだな」
まぁ、良く分からんが旨いんで良し!
「…しかしこれ、いつ終わるんだろう?」
相変わらず、俺は二本の光の手により包まれている。
あれからもう一分ぐらいは経ってるはずなのに
全然終わる気配がしない。どうしよ。
(__ト__我____ガ_____?)
ん?この声…まさかガノか?
だがノイズが混ざってほんの少ししか聞こえない。
そうだ、確か時計…コンコン。何も反応しないな。
まさかの初期不良?いやいやいや。ガノに限ってそんな。
あんな自信タップリに渡された物だしね。
とりあえず、魔法も終わる気配がないし、瞑想でもすっか。
スゥゥゥ…ハァァァ…
(マサ__我ノ___聞____ル__?)
あ。やっぱガノだわこれ。
もっと集中すれば聞こえるかな?よぉし。
スゥゥゥ…ハァァァ…スゥゥゥ…ハァァァ
(マサトヨ。我ノ声ガ聞コエルカ?)
大分集中出来た所で、ようやく聞き取れた。
さっき別れたばかりなのに恥ずかしいじゃんかよ。
何の用だろ?
(一応聞くけど、ガノだよな?)
(オォ…ヨウヤクカ。ソウダ。
今我ハ、オヌシノトケイカラ直接話シテオル)
時計、壊れて無かったのね…疑ってスマンカッタ!
(悪い。こっちはちょっと取り込んでるから
用事なら後にしてくんないかな?)
(ソウモイカヌノダ。オヌシノトケイヲ通ジテ
何者カガ我ノ領域ニ干渉シテオルノヨ。
ソコマデ大事デハナイガ、トカク鬱陶シクテ敵ワヌ。
強イ光ノ力ノ持チ主ノヨウダガ…モシヤマサト。
オヌシノ仕業デハナカロウナ?)
…アー。それ…神様です…すいません…
そういやガノって闇で目玉だったよね。
そりゃ眩しいかこれじゃ。マジでゴメン。
俺はガノにここまでの経緯を話す。
(…番トハ聞イテハイタガ、相手ガ天界ニ住マウ天使…
人間ト天使。本来ハ相容レヌ者。実ニ興味深イ…)
(使いだかつがいだか知らないけど、困ってるのは
こっちも同じなんだよ。
なぁガノ。どうにかなんない?)
(恐ラクデハアルガ、オヌシノ番ノ天使トヤラガ
我ノトケイニ在ル聖柱魂ノ波動ニ
恐レヲ抱キ、排除シヨウトシタノデアロウヨ。
愚カナ。コノ程度ノ力デハ我ヲ滅スル事ハ出来ヌ)
(へぇ…もう一回俺と死合いする?ガノ?)
俺はバカだから良い。
だが神様は駄目だ。
いくら友人でもそれだけは絶対に許さんぞ?
(スマヌ…謝罪スル。悪気ハナカッタノダ)
うんうん。悪いことしたら謝る。これ基本。
んで、何か解決策とかないの?(ハナホジ)
(我ハ闇デモアリ光デモアル。故ニ混沌。
ソノ天使ガ怯エヌ様ニスレバヨカロウ)
ガノがそう言うと、腕時計から淡い光が一瞬だけ光った。
(…コレデヨイ。モシ止マラヌ様ナラ、マサトヨ。
ソナタガ天使ヲ止メヨ。番デアルナラ容易カロウ)
その言葉を最後に、ガノの言葉は途切れた。
集中状態をゆっくりと戻していく。
今回はかなり深く集中したなぁ。あの時以来か。
相変わらず、俺は光の手に包まれたまま。
ガノは、もう大丈夫的な事言ってたけど…ふむ。
キュポッ グビグビ…
くぅ。白くなっても旨いっ!
まぁ…なるようになるか。時間ならタップリあるし!
チビチビとガノーラ君改めガソーダ君をつまみながら
俺は事態を静観するのであった。
まさかのガノちゃん再登場っ!(友情出演)
出番はあると言ったが、いつ出すとは言っていないっ…!




