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14-大人の処世術

閲覧して下さりありがとうございます。


素人丸出しのハイファンタジー物ではありますが


生温かい目で見守って頂けると幸いです。


※今話は少しだけR-15的な表現を含みます。

 限り無くボカしていますが、苦手な方は次話へどうぞ。

 読み飛ばしても違和感が少ない様に繋げますので…


尚、更新は不定期(気が向いたら)となっております。



一悶着…いや、俺の自爆から1日が過ぎ。

俺は今、少し困った事になってしまった。と言うのも…



あの一件から、神様は全く笑わなくなってしまった。


よほど、あの出来事が衝撃だったのか、口数も減り

たまに返ってくるのは相槌程度。

少し前に逆戻り…どころか悪化してしまっている。


ご機嫌を取ろうと頭を撫でるも効果が無い。

撫でさせてはくれるものの、反応は…かなり薄い。

どうしたらいいものかと途方にくれる事になり…



「ハッハッ…フゥ。しっかし、参ったなぁ」



そんな俺は今、雲の上を走っている。


ジッとしているとどうしても暗い気持ちになるので

気分を変える為に時空の狭間という校庭を

絶賛ランニング中である。運動はいいぞぉ。



神様はというと…俺の首を両足で挟むようにホールドし

俺の頭にしがみついている。器用だな…

でも、髪の毛…禿げないといいけど。頑張れ俺の毛根。


子供を肩車している程度のウェイトなので、走る事に

さほど問題は無い…んだけど。

そうじゃないんだよな、問題は。どうしよ。



あれからというもの、神様が俺を放してくれないのだ。


椅子に座れば膝の上に、休憩しようとベッドに横になれば

背中側からギュッと俺に抱きついてくる。


結構揺れるだろうに、走っている間すらこの有り様だ。

離れてくれないか、とのお願いの答えは全て「ヤダ」。

この一択のみである。ねぇ神様?幼児退行してない?



あぁそうさ。原因なんて…分りきってる。俺のせいだ。


全ての原因は俺にある。だから強く言えないのだ。

はてさて、どうしたらいいもんかね…

とりあえず後100周追加だな。走ろう。

悩んだら身体を動かすのが一番だ。



「ふぅ…走った走った!

 せめて、ハードルとかあれば良いんだけど…

 まっ、それは贅沢ってもんかねぇ」



結局、物足りない俺は追加で100周走りこみ

合計200周を走って、ようやく休憩する事に。



ベッドに戻ってきた俺。


こんだけ有酸素運動したっていうのに、俺の身体…

不思議な事に、時空の狭間ではお腹も空かないし

喉も渇かないし汗もかかない。


それでもやはり、運動した後はサッパリしたいのだ。

贅沢を言わせてもらえばシャワー室でもあれば最高だが

まぁ…今はそれどころでは無いな。どうにかせんと。



ベッドに腰掛け、俺が移動する気がないのを察すると

神様は頭から降り、いつもの定位置へ移動する。


こんなやりとりが数日続いた。これは良くない。

俺はともかく…神様の精神状態が心配なのだ。


こんな、引き籠もり…とは違うけど。

心がどんよりしたままじゃ、成長に悪影響が出てしまう。



…打開策は走ってる時に思い付いた。


だけどそれは、神様にとってあまりにも酷な仕打ち。

下手したらいよいよもって危ない事になるかもしれない。

言わば荒療治に近い。半分賭けのようなもんだ。


でもやるしかないか。このままでは永遠に2人とも

次元の狭間の牢人となってしまう。

それは、俺の本来の望みとも違う。俺は旅がしたいのだ。



「神様。気分転換に、私とお話をしませんか?」


「………」



これはまぁ、予想内の反応。

「ヤダ」の一言でもあれば、普段なら上出来だ。


決して無視されている訳ではない。聞こえてはいるが

『何か』を恐れて、心を閉ざしているんだと思う。



「神様は、私の事が嫌いなのですか?」


「………」



僅かに神様の身体がピクッとするが、応答無し。


ここまでは予定通り。ここからが博打だ。

いつもとは違い、感情を押し殺した機械になる。

これの真意を神様に読まれてはいけない。



台本は既に出来上がっている。

賽は投げられた。いざいかんっ!



「そうですか…残念です。

 嫌われない様に努力はしたつもりなのですが

 どうやら…私は神様に嫌われてしまったようですね」



わざとらしく大袈裟に。はぁ。と深い溜息を一つ。



「力になれなくて申し訳ありません神様。

 そうですよね、魔法もロクに使えない人間だなんて

 神様のお手伝いなんて大それた事、出来ませんし。

 そんな、役立たずの私は__」



…言え。言うんだ真人。恐れるな。

リスク無くして成果は得られない。

失敗したらしたらで、別な方法をまた考えればいい。



__役立たずの私は ここらで消えようと(・・・・・)思います


「消え…る?」


ここ数日は口も聞いて貰えず。

ろくに顔を合わせようとしなかった神様が振り向いた。

「ヤダ」以外の言葉がようやく聞けたよ。…だがまだだ。



「もう私はこの世界に必要とされてないでしょうから」


「違うよマサトっ…違うっ!そんな事は無いっ!」



「でも神様、私の事が嫌いなのでしょう?

 話しかけても口も聞いてくれず、目も合わせてくれない。

 まるで空気です。そんな私のどこに価値があるのでしょう」


「それは…それはっ!」



神様の表情がコロコロと変わる。

時には泣きそうに、時に怒り、戸惑い。



「なぁに。前に神様がした事と一緒ですよ。

 罰…とはちょっと意味合いが違いますけどね。

 働かざる物食うべからず…って分からないか。


 神様にとって、無価値__ただの置物ならば。

 存在価値が無い私はここでは異物。なら消える(・・・)べきです」


「そんな!マサトが消える…?そんなの、絶対にダメっ!」



やっぱりそうか。読みは当たっていたようだ。

彼女は怖れているんだ。失う事を。


どんな問い掛けにも無反応な神様が『消える』という

単語に過剰に反応している。


ここに来て色々な事があったけど…彼女は初めて

『孤独』以外の物事を知った。

俺への評価は…まぁ期待しないでおこうか。

だが、そんな俺を失う事を、彼女は恐れている。



「…では私はどうすればいいんです?

 ここにずっとあなたと一緒に居ろと?

 嫌われている私がですか?それはおかしいでしょう」


「違う…私はあなたを嫌ってなんかっ…!

 なんでさ…なんでそんな意地悪言うのっ!?」



ジワリと神様の目頭に涙が浮かぶ。


ごめんな、神様。また泣かせてしまって。

だがダメだ。ここで終わらせてはいけないんだよ。

悟られるな。今だけは心を鬼にしろ真人。



「私は神様の本心が聞きたいんです。

 神様は私の事が嫌いだと言いました。

 なら私は必要無い、と言うと違うとも。

 さて。私は神様にとって『何』なのですか?」


「それは…マサトは私の命を救ってくれた…」



「確かに救った事は事実ですが…お互い様では?

 私も一度、神様に救ってもらったのでおあいこです。

 

 __では。もう一度だけお聞きします。

 神様。私は神様にとって『何』なのですか?」


「それは…命の恩人で…マサトは私にとって…」



__ここらが潮時だな。



俺はズボンのポケットに手を伸ばし、それを取り出した。

ランニング中に偶然見つけた、椅子の足の破片である。


神様のイタズラに度々使われ…その時に砕けたのだろう。

短いながらもそれは、割れた先端は鋭く…尖っていた。

これなら、神様をも騙せるはず。



「…答えは出ませんでしたか。本当に残念です。

 これ以上の問答はお互いに無意味ですよね。

 では神様。短い間でしたが…お世話になりました。

 さようなら(・・・・・)



破片の鋭い方を逆手に持ち、大きく腕を振り上げる。


上げきった所で神様も、それが何かに気が付いたようだ。

狙うは首筋。こんな木屑でも刺されば間違い無く…死ぬ。

躊躇無く、俺はその手を自分の首筋に向かい振り下ろす。



「っっ!マサト!!ダメーーーーーーーー!!!」



どこから出てるんだその声は、と言いたい程の大音量。

神様の絶叫が辺りに響くや否や、俺の顔に飛び付く。



(…えっ?この感触…マジで?)



首筋どころか半分も届かない場所で寸止め。

元々刺すつもりもなかったので、早めに止める予定だった。

とりあえず、博打には勝った…のだかま。



__んっ…チュッ…



…だが何故だ。どーしてこーなる。

俺の考えていたシナリオとは全く異なる展開に。



視界には神様の髪がヒラヒラと舞い。

唇には暖かい、小さな柔らかい感触。

首は細く小さな腕が回され思いっ切り締められている。



(賭けには勝ったが…これは想定外だな…この後どうしよ…)



真人は持っていた木屑を後ろに放り投げ、いつもの様に

神様の頭をそっと、出来る限り優しく撫でる。


数秒とも、一時間とも言えるような刹那。

ようやく神様の顔と手が真人から離された。



「…少しは落ち着きましたか?神様」



詰問していた時の機械的な雰囲気を投げ捨て

一転、穏やかな口調で話しかける。


「………な…さい」


「ゆっくりでいいですよ。消えませんから。話して下さい」


そこからはまるでダムの堰を切ったかの如く。


「マサトの事キライだなんて言ってごめんなさいっ!

 優しくしてくれてるのに無視してごめんなさいっ!

 本当はずっと謝りたかった!悪いのは私なのに!

 マサトの気持ちなんてこれっぽっちも考えてなくて!


 好きなんです、私…マサトの事が大好きなの!

 だから…だから消えないでよ…もう、1人にしないで…

 …う…うぅ…うう…ウワァァァン!!」


「…はい、良く出来ました。神様はいい子ですね」



…やっと本当の声が聞けたね。ありがとう。

俺じゃ…神様の願いは叶えられそうにないかもだけど…

今は全てを忘れてゆっくりお休み。小さな神様。




はいそこ。このロリ○ンが…とか言わないでね。

彼女に取っては純粋な想いなんだから

どうか茶化さないであげて下さいませ。


頭の中のプロットでも

ここは外せなかったので書きました。

後悔は無いっ!(笑)

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