12-はじめてのまほうつかい
閲覧して下さりありがとうございます。
素人丸出しのハイファンタジー物ではありますが
生温かい目で見守って頂けると幸いです。
尚、更新は不定期(気が向いたら)となっております。
「…神様。〈調停者〉ってギフト、知ってますか?」
神様は『えっ?』と驚いた顔をし
何かを考えるかのように視線を下に逸らした。。
…どうやら神様には心あたりがあるらしい。
少し戸惑いながらも、ポツリと呟く。
「そっか…やっぱりマサトは…選ばれたんだね」
「選ばれた…?」
「うん。〈調停者〉はね。普通のギフトとは違うんだ。
世界を管理する者への枷であり
創造神様からの祝福でもあり…そうだね。
それは管理者が管理者である為に必要なもの、だよ」
「あのー…すいません。もう少し分かりやすく…」
ぷぅ!と頬を膨らませる神様。
そんな顔されてもこちらはただ尊いだけですはい。
「…邪痕から私を救う程の力を持ってるのに
マサトってばそういう所が本当ダメダメだよね」
ジト目で神様が俺を見る。
えぇはい。それは重々自覚してますとも。
でもこの地頭の悪さは一生治らないと思う。
なので、分からないのは分からないのですよ!
__ても…そんなとこが マサトのいいとこなんだけど
「…え?神様、今何と?」
「んー?なんでもなーい」
神様がクスクスと笑ってアッカンベーしてる。
はは。無邪気だなぁ。笑顔が眩しいぜっ。
球体から今の姿になってから、感情表現が豊かになり
見ていて飽きる事はなくなった。
球体の姿も悪くは無かったが…今の神様の方が俺は好きだな。
「…神様?顔が赤くなってますよ?」
神様の顔がほんのり紅くなっている。
どこか具合が悪いのか?まさか、邪痕の影響がまだ__
「誰のせいだとおもってるのよ!マサトのバカっ!」
__スパァン!
やぁ久し振り紙ハリセン君!
相変わらず良い音出してるねぇ。会えて嬉しいよ!
…でも何で叩かれたんだろう?謎だ。
神様はコホン、と一つ咳き払い。
「そんなおバカなマサト君には、言葉で説明するより
見てもらった方が早いかな。
…前に私が使った魔法、覚えてるよね?」
前…神様が俺にステータスらしきガラス板を出したアレか。
「〈情報開示〉はね、アーレスティでは誰でも使えるんだ。
サイレ…えーと。これは後で説明しよっか。
この魔法の効果は、『自分が持つ能力を知る』事。
魔法の素質が無い子でも使えるから、マサトでも
使えるはずだよ。やってみて?」
「えっと、魔法を口にするだけでいいのですか?」
「これはそうだね。他は色々とややこやしいんだけど」
…よし。とりあえずやってみようか。
そういや、魔法を使うのはこれが初めてになるな。
いや、一度神様に使ってもらったのはカウントされるのか?
まぁいい。今は集中しよう。
記念すべき初めての魔法だ。いくぞっ!
大きく息を吸い込んでぇ…
__スゥゥゥゥゥ…フッ!
「〈情報開示〉っっ!!」
お。あのガラス板が出てきた。
はじめてのおつかいならぬ、はじめてのまほうつかい。
いやー何か感動するなぁ…
「神様、出来ましたよ!…って神様?」
神様は両耳を指で塞いでプルプル身を震わせていた。
「なんて大声だしてんのよ!鼓膜が破れるじゃない!」
__スパァンパァン!
紙ハリセン君、渾身の往復ビンタっ!
あっはっはこやつめ。新しい芸当を身に付けたか。
にしても…少しハッスルし過ぎたか。でもさ?魔法よ?
ちょっとぐらい興奮しても仕方無いよね?
「…もう。次からは普通にしてよね」
「すいませんでした」
悪い事をしたらきちんと謝るべし。祖父の教えの一つ。
「自分のステータスはね、基本的に自分だけにしか
見えない様に出来てるんだ。
だから他人が後ろから覗いても何も書かれてない板だよ。
例外はあるんだけど…うん。マサトなら大丈夫。
でもね、ギフト持ちはバレると色々と面倒なの。
マサト。絶ッッッ対口にしたらいけないんだからね!」
「はい、分かりました」
「絶対の絶対だからね!」
神様の顔は真剣そのものだ。
それだけ、重要な事なのだろう。よし。心に刻もう。
俺は絶対に人にステータスを明かさない。
目の前の神様に誓おう。
さてと。一度は見たけど改めて見てみますか。
どれどれ…
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名前:葛城 真人
年齢:23
種族:管理者(A3806)
ギフト:〈調停者〉
レベル:1
HP: 30/30
MP: ∞
STR: 8
INT: 3
DEX: 5
VIT: 14
MAG:9
保有スキル
〈星命の理〉
〈星々を司る者〉
〈魂の回廊〉
〈思念伝達〉
+++管理者0によるアクセス制限+++
+++管理者権限が不足しています+++
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ふむ。変わらずレベル1のままだな。
ここで筋トレとかしたらレベル上がるんだろうか?
でもここ、トレーニング器具なんて無いから
やれる事ったら走り込みぐらいしかないぞ…
ん?スキルが何か…増えてる?
〈星々を司る者〉に〈魂の回廊〉に〈思念伝達〉ねぇ…
どうせ分からないんだろうけど、目は通しておくか。
ポチッとなー。もはや慣れた物だぜ。
〈星々を司る者〉
管理者専用スキル。
管理者0を除く、全ての管理者への命令と執行を行う
権限を得る。正し、管理者として禁忌に触れる行為は
命令が無効化され、執行もすることは出来ない。
このスキルの発動には、個体名を指定する必要があり
また、行使出来るのは1日につき1回に限る。
…はぁんふぅん?なるほどなるほど。
これは…星命の理以上に訳が分からんぞ…
禁忌はダメだよ!ってのは神様を見てたから分かるが。
知恵熱が出る前に次行ってみよー!(現実逃避)
〈魂の回廊〉
神聖系統 第五位魔法。
術者と対象の魂を輪廻の循環を通し、結合する。
これにより術者と対象者に対し
〈思念伝達〉が永続的に付与される。
どちらかの魂が失われた場合、もう一方の魂も
同時に消滅する。
術式は魂が消失するか、術者と対象者、両方の
合意の上で同スキルを行使する事により解除する事が可能。
【現在の状態:アクティブ】
【対象個体名:アイシャ】
…もう泣いていいですか?いいよね?
魔法には憧れはあったけど、頭がパンクしそう。
そもそもアイシャって誰やねん!
せめてさ!もうちょっと分かり易くっ!
…やっぱりドラ○エは偉大だったんだなぁ。
〈思念伝達〉
精神系統 第二位魔法。
対象を指定し、自分の思念や視覚、聴覚を対象へと伝える。
魔法の熟練度により、より内容を正確に伝える事が可能。
また、任意で起動・停止を切り替えられる。
【現在の状態:アクティブ】
…これぐらいシンプルだと俺も助かるんだけどなぁ。
これなら俺にもわかるぞ。
つまりは魔法版のスマホだなこれは。
使いこなしたらメールとか送れるのかな?無理かー。
知恵熱が出て湯気が出そうな頭を抱え、机に突っ伏す。
多分この数分で俺の脳細胞の三割ぐらいは逝ったかもしれん。
スキルにしろ魔法にしろ俺には荷が重いなぁ…
「…マサト、どうだった?」
そんな憔悴しきった俺を心配そうに下から覗き込む神様。
あぁ癒やしだ…神様見てるだけでご飯三杯はいける。
米無いけど。あ。出来れば生卵と醤油も追加で下さい。
TKGは日本人のソウルフード。異論は認めない。
「アハハ…何か、新しいスキルと魔法が増えてました…
自分なりに理解しようとは努力したんですけど
殆どサッパリでして…どうしたらいいか困ってます」
「マサトはチキューの子なのに、不思議だね」
「その言い方…地球だと何か違うんですか?」
こんな難しいもんを理解出来るなんて普通じゃない。
きっと神様の言う地球と俺の居た地球は別の星だと思う。
…いや、俺が特別に馬鹿過ぎるのか?そうなのか?
「私とは違う世界の管理者達…私もだけど、皆は
全員創造神様から生まれ、創造された知識の断片。
いわば、兄弟姉妹みたいな感じかな。
だから全て…とはいかないけど、ある程度の情報は
私も他の世界について知る事が出来るのよ」
へー。そうだったんだ。
俺ならもう次元の狭間だけでお腹一杯ですわぁ。
「私も実際に見た訳じゃないし、知識として…ね。
他の世界に離魂として来たチキューの子ってね。
変わった子も多いけど、物凄く順応性が高いみたい。
他の離魂と比べて段違いに物凄いんだって。
中には暴れ過ぎて闇に呑まれてしまった子も
大勢いたようなんだけど…」
…神様がそこで言葉に詰まる。
小さな腕を胸に当て、俯いたまま微かに震えてる。
やれやれ。この神様はまた…手の掛かる神様だこと。
ポンポン、と神様の頭をそっと叩く。
「私の事なら心配しなくて大丈夫ですよ、神様」
「…マサトは…消えちゃったり…しないよね?」
あぁもう。また泣きそうな声になってるし。
情緒不安定過ぎるっ!いや…子供ってのはこんなもんか。
大人の俺がしっかりしないとな。うむ。
「何せ俺は馬鹿なんで。大丈夫ですって」
俺は思いっきり口角を上げ、親指を立てて笑ってみせた。
「…何それ。変なの」
目からいくつかの粒の涙をこぼしながら神様は笑った。
そうそう。それでいいんよ。やっぱね。
そっと指で涙を拭ってやる。少し落ち着くまで
話の続きは待った方がいいかなぁ、こりゃ。
また泣かれたらこっちが滅入ってしまう。
__闇に呑まれた、か。嫌な言葉だ。
俺なんかより遥かに頭が良い奴らなら
俺が持ってるこの力を存分にフル活用して
思う存分ヒャッハー!するに違いない。
だけど、神様が言っていた、過去の魂とやらは…
その代償として呑まれてしまったのだろう。
…強大な力がもたらす心の闇に。
__力を求め過ぎるな。
祖父が遺した言葉が頭を過る。
やっぱり爺ちゃんの言葉は正しかったんだな。




