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「ちぃご飯出来たよ〜」
「はーい、今出る」
シャンプーやボディーソープ、入浴剤までも私の好みに合わせて揃えてくれたのであろうお風呂に入って寛いでいると声がかかる。
「唯人ー、ドライヤーどこあるー?」
「ちょっと待ってね」
「あ、見つけたから平気ー」
さっきまであんなに緊張していたのに割とすぐに落ち着いた自分に適応能力が高いと感心してしまう。
「出たよー。化粧水とかって置いていいところある?自分の部屋に置いておいた方がいい?」
「そう言うと思って棚買っといた」
「え、シャンプーとかも私に合わせてたでしょ?そんなに私に合わせて平気?」
「うん、たまに代わりに俺も使っていいっていう条件で」
唯人は昔から私に甘いけど、高校生になってもそれは変わらなかった。
その日のお夕飯はデミグラスソースのハンバーグオムライス。私の大好物。
その後、一緒に住む際の小さな決め事などをして入学式までを過ごした。
私だってもう高校生。家事の2つや3つ出来ると言ったのに「ちぃに包丁なんか握らせて傷が出来たら困る」「洗濯物干す時につまずいて怪我しちゃうかもだからだめ」と全てにNGを出されて私は何もしなくていい、ということになった。
ただ1つ変わったのは、私の髪の色。それなりに頭が良く割と校則が緩かったため思い切って唯人とお揃いの金髪にした。
無事に高校の入学式を終えた日のこと。
元々人見知りで男の人なんか唯人以外無理な私は友達が出来そうもなくて途方に暮れていた。
「あの子、可愛くね?」
「え、俺も思った。声かける?」
なんて声が聞こえていたけど自身に向けられている物だとは到底思わない私は1人静かに本を読んでいると
「あ、見つけた。ちぃ早く帰ろ」
「...唯人!」
唯人が迎えに来てくれた。突然の上級生、しかもとんでもないイケメンの登場にザワつく教室。分かる、分かるよ女子の皆さん。王子様みたいだよね。
「友達できた?」
「.......できない」
「ふは、そうだと思った」
「がんばるもん」
「はいはい、俺がいるからいーデショ」
なんて軽口を叩き合いながら唯人に手を引かれて教室を後にした次の日、教室に入るなりクラスメイトからの質問攻めに合うことになるとはこの時の私はまだ知らない。
「あっ、来た!」
翌朝、教室に入るなりクラスメイトに囲まれた。
「昨日のイケメンとどういう関係!?」
「あの人なんて名前なの!?」
「上級生だよね!?2年?3年?」
「え、髪の毛染めてる?地毛?あの人も染めてるの!?」
「伊勢谷さんって彼氏いる感じ!?もしかしてあの人が彼氏!?」
女の子だけでなく男の子からも質問が飛んできたことに「唯人って男の子にもモテるんだ...」と内心驚きながら質問に答えていくが
「幼馴染、かな」
「七海唯人だよ」
「1個上、2年生」
「私は染めてるけどご先祖さまの関係で唯人は地毛。目も青いよ。今度また唯人が来たら見てみてね」
「色々あって今は唯人と一緒の家に住んでるんだけど、彼氏はいないよ」
同じ家に住んでいる発言をした途端、教室が静まり返り、質問攻めはピタリと止まりみんな蜘蛛の子を散らすように去っていった。
「伊勢谷さん、俺と友達にならない?」
「あっ、私もそれ言おうと思ってたのに」
この2人を除いては。




