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初恋。一目惚れ。一途。
少女漫画の三大巨頭。
誰もが憧れる、恋愛における要素。
じゃあこの3つが合わさればとびっきり素敵な恋ができるのか?答えはーーー「否」。
初めて出会った瞬間に分かった。私の人生はきっとこの人に捧げることになる。
「あ、ちぃおかえり〜」
「...ただいま。最近女の子の家いたんじゃなかったっけ」
「あーいたけどそいつが浮気してるんでしょっつってぶん殴ってきたから帰ってきた〜。セフレの分際で調子乗んなよって思わない?」
今目の前でそう言っているのは私、伊勢谷千景の同居人で初恋の人である七海唯人。
私が3歳の時隣に引っ越してきた唯人。おじいちゃんがドイツ人だと言う彼の光り輝く金髪、綺麗な青い目に目を奪われた。
「まま、ちぃ、おうじさまみつけた」
それこそ、王子様だと思うくらいに彼は綺麗だった。たまたま私が外を見ているタイミングで通りかかったため家に挨拶に来ていない段階だったから母には怪訝そうな顔をされたのを今でも覚えている。
「隣に越してきた七海です」
「伊勢谷です。よろしくお願いします」
「ほら、唯人もご挨拶して」
「ななみゆいとです」
「唯人くん、これからよろしくね。千景もご挨拶しなさい」
「いせやちかげです、ゆいとくん、おうじさまなの?」
顔を真っ赤にした私のこの言葉を聞き唯人のお母さんは首を傾げ、うちの母はこの直前の私の「王子様がいた」発言を思い出し思わず吹き出していた。
「確かに唯人くん、とっても綺麗な髪の毛と目ね。どこかとのハーフとかですか?」
「あ、違うんです。今は海外に長期出張中なんですけどうちの旦那のお父さん、唯人にとってのおじいちゃんですね。が、ドイツ人なのでクオーターになります」
「なるほど。唯人くん、何歳?」
「よんさい」
「うちの子と1個違いだね。これから仲良くしてあげてくれる?」
「うん」
紛うことなき初恋だし、一目惚れだった。私はこの人のために生まれてきたんだと、3歳にして思った。
そこからは保育園、小学校、中学校、高校と全て同じ。毎年バレンタインには唯人だけに手作りのチョコを渡し、クリスマスにはプレゼントを渡し、誕生日パーティーに混ぜてもらった。1度、小学生の時に真剣に「好き」を伝えたが返事はなく、今まで通りの関係が続いた。1つだけ年齢が違うから毎回最後の年に置いていかれるのが悲しくて、でも絶対に行事とかには来てくれて。...私が中学3年の時は何も来てくれなくて1年間会えなかったけど。唯人が他県の高校を受ける、と聞いた際には驚いたけどなんとか両親を説得して私もそこに行くことにした。
「じゃあちぃちゃんも唯人の家行けば?」
唯人と同じ高校に受かって浮かれる私に降り注いだ1番の問題は家だった。その事で頭を抱えていたらそれを知った唯人の母、朱里さんがそう言ってくれた。
「え、朱里さんはそれでいいの?」
「だってそっちの方がちぃちゃんのパパとママも安心できるでしょ〜?流石に家賃まで全負担は出来ないけど半々で負担してもらえるなら家も助かるし」
「うーん、確かに唯人くんがいた方が我が家としては安心できるかな。じゃあそれでいい?」
こうしてトントン拍子で唯人との同居が決まり、中学の卒業式を終え、その日のうちに引っ越し作業に取り掛かった。
「唯人、結局今年何も来てくれなかった」
「流石に遠いから難しかったのかもね」
「行ってくるね、パパ、ママ」
「頑張っておいで。月1くらいで顔は見せてね」
ちょうど唯人に用があったという朱里さんの車に荷物を乗せ、両親に挨拶をして2人で唯人の家に向かう。
「唯人〜!ちぃちゃん来たよ〜!」
緊張する私とは裏腹に朱里さんはごく自然に唯人の家に入っていった。
「お、ほんとにちぃじゃん」
「ゆいと」
「何でそんなに緊張してんの?」
1年ぶりに会う唯人は、最後に会った時より10センチは伸びたのでは無いだろうか。目線が以前より格段に高くなっていた。
「せ」
「全部平仮名に聞こえる(笑)18センチ伸びたよ。もうちょい伸びたかな。今184」
ちょうど学校に何か用事があったのか、白いブレザーの制服を着る唯人は本当に王子様のようで。
「唯人、王子様なのかな...」
無意識に声に出していたみたいでそれを聞いた朱里さんが涙が出るほど笑い
「初めて会ってから10年も経つのにまだ唯人の事王子様だと思ってるの!はー面白い」
「母さん、うるせぇよ」
「だって初めて会った時と全く同じことを同じ表情で言ってるんだもん!」
「恥ずかしいからヤメテ。はい帰って帰って」
「はいはい帰りますよ〜。唯人、ちぃちゃんのことよろしくね」
「朱里さんここまでありがとうございました!気をつけて帰ってね」
「...ほんとにちぃちゃんは何歳になっても可愛いね!!高校も頑張るんだよ」
笑うだけ笑って帰っていった。
「ちぃ」
「.......はい」
「ちぃ、こっち向いて」
「.......なに」
「まず家の中おいで、玄関に立ちっぱじゃ疲れるでしょ」
「.....お邪魔します」
「これからはただいまになるんだよ」
改めて2人になり、私の緊張は最高潮に達していた。初恋の人のお家でこれから2人で一緒に住む、という事実を唯人の匂いでたくさんのリビングに入ることであらためて実感して顔に全ての熱が集まった。
「顔、真っ赤」
「うるさい」
「本当に俺のこと好きだね〜、ちぃは」
「.......うるさい」
「とりあえず部屋案内するね」
そう言う唯人に着いていく。リビングも脱衣所もお風呂もトイレもキッチンも、全て綺麗だった。
「ちぃの部屋はここね。隣が俺の部屋。ちぃは入られたら困るとかあるかもだから許可が降りない限りちぃの部屋には入らないけど俺の部屋にはいつでも入っていいよ」
「.......今入ってもいいの?」
「ん?いいよ」
「...やっぱやめとく」
「ふは、なんだそれ」
そう言って笑う唯人の横顔に見惚れた。
「今日はちぃが家に来た記念に俺が特別な料理を振る舞います!」
「じゃあ私も手伝う」
「だーめ。今日は俺がもてなすんだからちぃはソファに座って本を読むなり漫画を読むなり録画溜まってるからそれ見るなりゲームをするなりしてて下さい」
「お風呂はいる」
「はいよ、お湯溜まるまで待っててね」
唯人の指示に従いお湯が溜まるまでは大人しくしておこうと思い、とりあえず本棚に目を通してみる。
「.......私が好きなやつしかないじゃん」
私が好きな小説や漫画しか置いてないことに気付きテレビを付けて録画一覧も見てみる。
やっぱりそこにも私の好きな番組ばかりだった。
「高校入ったら新しい恋を探すつもりだったのに無理そうだなぁ...」
溜息をつく私のその言葉を唯人が聞いていたなんて、知る由もなかった。
初めまして。未満と申します。
長らく少女漫画みたいな物語を書きたいと思っており、とうとう書いてしまいました。
言葉が変なところ、誤字脱字等ございましたら遠慮なくご指摘いただけると幸いです。
マイペースに更新するので一気に投稿される日や急に更新が止まったりするとは思いますがよろしくお願い致します。




