書籍1巻 発売記念SS 幸せホルモン
本日3/8、ついに『姉のことが好きな筆頭魔術師様に身代わりで嫁いだら、なぜか私が溺愛されました!? ~無能令嬢は国一番の結界魔術師に開花する~』が発売されます(*´∀`)♡
レーベルはMノベルスf様!(双葉社)
WEBから約4万文字の加筆に加え、電子書籍は限定SSもあります!イラストはとっても美麗で、紙も最高です……!
是非お手にとってくださると嬉しいです……!
よろしくお願いします!
「どうしよう、ルル……。私、太ったかもしれないわ……!!!!」
とある日の午後。姿見の前でテティスは絶叫した。
ぷっくりとした頬、以前とは異なるお腹のシルエット、むち、とした二の腕、その他エトセトラ……。
ノアのもとに嫁いできてからというもの、徐々に自身の肉体の変化している気がしたけれど、もう見て見ぬふりはできなかった。
「ゔ、うん! 確かに……多少はふっくらされたかと存じますが、テティス様は元々がかなりお痩せになっていらっしゃったので、全く問題はないかと。どころか、旦那様はおよろ──」
「ひゃーー! 腕をふると二の腕のお肉がプルンプルンって動くわよ、ルルーー! 毎日体力作りで走ってるのに〜!」
アルデンツィ家にいた頃と同じ運動量をこなしているのに太るということは、原因が食事であることは言うまでもない。
この屋敷の食事が美味しくて毎日食べすぎてしまうのはもちろん、最たる理由は……。
──コンコン。
「テティス、少し時間が空いたんだ。良ければお茶にしないかい? 首都で一番人気のシュークリームを取り寄せてあるんだ。クリームが二種類入っているみたいだよ」
「シュークリーム……!? しかもクリームが二種類だなんて、食べたいで……って、だからだめなのよテティス……!」
「? どうしたんだい、テティス」
ノアと入れ替わるように、ルルは部屋から出ていく。
ノアと二人きりになったテティスは、心配げにこちらを見つめる婚約者に、切実な声でこう言った。
「ノア様……! 私太ってしまったのです……! ですから、シュークリームはいただけません……!」
「……!」
──そう、最たる理由は、ノアとのお茶の時間であった。
紅茶とほんの少量のお菓子をたまに嗜む程度なら、体形にそれほど響くことはなかっただろう。
しかし、テティスはかなりの量のお菓子を、頻繁に食べていたのだ。
(だ、だって、ノア様がご用意してくれるお菓子も、屋敷のパティシエさんが作ってくれるお菓子も、とーーっても美味しいんだもの……!)
実家で冷遇され、大好きなお菓子をさほど食べられなかったテティスには、自制などできるはずがなかった。
「俺には、そう変わったようには見えないけど。テティスはいつだって、どんな姿だって世界で一番可愛いよ」
「〜〜っ」
穏やかな笑みを浮かべてノアがそう言うが、ある意味彼の言葉は信用ならなかった。
何故ならノアは優しく、甘々の甘、だからである。
「かなり変わりました……! しかしそれを、今日になって気付く私は大馬鹿者です……っ! このまま太り続けたら社交界の笑い者になって、ノア様の名声も傷付けてしまいます……! ですから私、ダイエットいたします……!」
「……! つまりそれは、これから俺とお茶はできないってことかい?」
「ううっ、しばらくは控えさせていただけると幸いです……! シュークリームは、ぜひノア様が召し上がってください……!」
泣く泣くだが、シュークリームを断わった自分を褒めてあげたい。
(しばらくは甘いものは食べずに、運動を増やしましょう……!)
脳内にある数々の煩悩(お菓子)を頭の端に追いやるり、テティスが決意した。
「……テティスが甘いものを断るなんて、本当に本気なんだね」
すると、ノアはそうポツリと呟いて、考える素振りを見せる。
(何を考えているんでしょう。シュークリームを一人で食べ切れるかを考えているのかしら。あ、想像したら涎が……って、こらこら、しっかりしなさいテティス!)
危うい。危うかった。お菓子って怖い。
テティスは、脳内からシュークリームよ出ていけー! と念じる。
──すると、その時だった。
「分かった。テティスが本気でダイエットするなら、俺も協力しなくちゃね」
「ノア様……! ありがとうございます!」
「当然だよ。それで早速だけど、良いダイエット方法を知ってるんだ。とても簡単なんだけど、試してみないか?」
「本当ですか!? さすがノア様です! 是非ご享受いただきたいですっ!」
テティスがキラキラとした目を見せる。
すると、ノアは満面の笑みを浮かべて、両手を広げた。
「テティス、おいで」
「……え? お、おいで? といいますと?」
「好意を持っている相手とハグをするとね、とあるホルモンが分泌されるんだ。それが、ダイエットに効果があると言われているんだよ」
「!? そ、そんなことが!? まるで魔法みたいです……! では、失礼します……!」
テティスはノアの胸に飛び込み、彼の背中に腕を回した。
直ぐ様ノアも抱きしめ返してくれて、二人は密着する。
ノアの体温、トクトクという心臓の音、息遣いに、テティスは安心感を抱くとともに、少し緊張した。
けれど、一番に感じるのは──。
「ふふ、ノア様に抱き締めてもらうと、とっても幸せな気持ちになります。つい、ダイエットのことを忘れていました」
顔をひょっこり上げて、上目遣いでそう話すテティスに、ノアは息を呑んだ。
「……っ、可愛すぎる……。テティスは本当に、俺を喜ばせる天才だね」
ノアから、ぶわりと喜びの花が飛んでいるように見えた。
その後、ダイエットに成功した。
ハグの効果があったかは、神のみぞ知る。
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