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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

エッセイ

いじめで思うこと

作者: HOT-T

最近、あの頃の夢を久々に見たんですよね


 私の元上司は『いじめられる側にも問題があるのよ』と言っている人だった。

 優秀な人だったがこのひと言で私の中で彼女の評価は超暴落した。


 いじめというものは無くならないと思う。

 ただ、『いじめられる側にも問題がある』というのは間違いだと思う。


 単にいじめる側がいじめる為の理由、いじめても『いい』という勝手な理由を見つけているだけなのだと思う。


 私は子どもの頃から足が速かった。

 ただ、運動部のノリが苦手だったのでずっと避けてきたが何をトチ狂ったか高校の時に思い切って陸上部に入ってみた。

 勿論、所詮は他の子より少し足が速いだけの生徒でしかない。ずっと陸上をやってきた様な子達にはかなわない。

 それでも新しい環境、色々な事に挑戦できるのは嬉しかった。

 

 夏の合宿。

 私は練習後、ウォータージャグを洗うよう言われて頑張ってひとり洗っていた。

 その後、皆の元へ帰ったがそこで待っていたのは『部屋が無い』ということだった。


 初日だったのだが練習の時はまだ部屋割りとかはされていなかった。

 そして肝心の部屋割りについては私がウォータージャグを洗っている最中に勝手に決まっていた。

 私は省かれていた。

 

 困った私は各部屋を回っていくが何処も『いや、別の部屋に入れて貰えよ』という返答。

 顧問に相談すれば良かったかもしれないが何だかいけない気がして黙っていた。

 結果、私は一晩を外で過ごすことになった。

 朝に顧問が気づきとりあえず適当に割り振られた。そう、『適当』になのだ。

 この事で誰かが叱責されたとかそんな様子は無かった。


 食事の時、『お前は遅いからもっと栄養をつけろ』と残飯を皿に入れられた。

 結局そんな事ばっかりで合宿を終え、段々と私は練習に行くのが嫌になり秋には退部した。

 私の異常に気付いた親が学校に抗議した時、顧問は『訴えませんよね』と自己保身に走ったそうだ。


 私がいじめられるのは当然だったのだろうか。

 確かに出来が悪いしかわいい後輩ではなかったかもしれない。

 だからといって外で一夜を明かしたりさせられる理由にはならない。


 私にとって高校時代の思い出などこういったものしかない。

 単に学校へ行き家に帰る。そして勉強。それだけだ。

 修学旅行は行かなかった。出席してひとり図書室で課題をやっていた。

 

 さて、上司の話に戻ろう。

 この上司はチーム力を鍛える為と称して『いじめてもいい人間』をひとり定め、取り巻きにその人物の悪口を吹き込む。

 そうやって『一番の弱者』を作り出してターゲットにしていた。いつ自分に矛先が向くかわからないのでみんなその弱者を攻撃するわけだ。

 これをやっているのが長年この業界に携わって来た70歳の大ベテランだというのだから凄い事だ。

 福祉とは、思いやりとは何だろうか。


 ただ、救いがあるとすればこの上司は最終的に左遷されることになった。

 それでも彼女が刻みつけた傷は未だに職場を蝕んでいる。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 以前、同じテーマでエッセイを書いたものとしては、このテーマをあつかった勇気と、取り上げてくださったことへの感謝を。 正直、この論法って、法律における「注意義務違反」と同じ理不尽を感じま…
[一言]  いじめられる側も悪い、なんて理由は、いじめられる側が残虐非道で暴虐の限りを尽くした最低最悪な人間か何かでなければ絶対通用しません。  いじめる側はそもそも、背が高い低い、太っている痩せて…
[一言] 組織の操縦術として心得てしまったのか、スケープゴートを作る手口をやるやついますね。 できないやつの悪口を言われたら、「でも~」とのんびり言いながら良いことを指摘する。できるだけ何気なく。熱…
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