月と殺戮
夜と月に
兇猛な気持ちになる夜
世界のすべてを消す力のない自分にできる
最大のことをいつも考える
こんな兇猛な気持ちを持っても縊れない
キラリ光る刃物持ってズブリと音を立てられない
パンパンと乾いた音を耳に残せない
頭を掻き毟って
咆えるように泣いて
私、膝を抱えて丸く小さくなって
アンモナイトみたいに虹色になるまで
破壊したい
傷つけたい
傷つけられた分だけ
許されていいはず
なのに
できない
月が見てる
気狂いの淡さで包むように光って
卑怯者でいい
正しくなくていい
優しさを私から奪って
兇猛な気持ちのままに蠢く獣にして
サディスティックリップにグロスまで載せて
お願い
私の弱さを殲滅して
月が見てる
お願い
一線を超えぬままでいられるように
シラーで包まないで
夜の苦しみはなぜ深いのだろう